おもむろにひとひらの感想を書きたくなった

ひとひら 7 (アクションコミックス)

ひとひら 7 (アクションコミックス)

ついに最終巻を迎えました。
人前に出ることが極端に苦手だった麦の物語も終了です。自分の言葉、自分の気持ち・・・、思うことはたくさんあってもそれを表現しきれなかった1巻から、演劇を通して自分を出せるようになりました。演劇だったからよかったというよりも、出会えた人々が大きかったな〜という気がします。実際のところ、きっかけは何でも良かったんだと思います。


とはいえ、演劇というのは自分ではない何かを演じる・・・というのが主目的なだけに、あがり症の麦としては逆に良かったのかもしれません。まぁ、何にでも立ち向かうというのはいいことですよ。


最終巻に全然出てきてはいませんが、やっぱり麦に一番影響を与えたのは一之瀬野乃先輩だろうと思います。というか、俺が野乃が好きだということが大きいんですが。ええ、主人公の麦以上に好きですよ。麦には悪いですがw 野乃が卒業してから購読をやめようかと思ったくらいです。


そういえばこの作品はアニメ化までしたんでしたっけ。全然見てませんねぇ・・・。好きな漫画作品がアニメ化するのって苦手なんですよね。あぁ、でも演劇が主体であったことを考えると動く麦たち(主に野乃)を見たかったかも?評判もあまり知らないのでどうだったんでしょうね?


閑話休題的に話を戻しますが、最終巻である7巻はちとせとの友情ものがメインでした。このちとせというキャラも麦に多大なる影響を与えたように思います。ただ、演劇というよりは甲斐を巡る恋愛事情がメインだったかもしれませんが。甲斐にふられたちとせがちょっとだけ麦に嫉妬しました。本当の親友だからこそ複雑だったのかもしれません。それでも立ち直ったちとせはホントいい女だぜー(←野乃には負けるけど)。
好きだったはずの演劇からちょっとだけちとせは逃げ出しました。それを引き止めたのは麦。二人が仲直りするシーンは結構見モノです。まっすぐな麦のいい性格と、ちとせの優しい性格がとてもよく現れています。何にせよずっと仲良くいってもらいたいねー。


仲良く・・といえば、佳代なんですよ。7巻に来る途中で抜けちゃうんですが、7巻版麦を語る上では欠かせません。色んな人が麦を応援したり支えてくれたりしてますが、佳代は唯一、麦に自信を与えるような存在だったと思います。まぁ、そんな感じ。



で、まぁ、7巻最大のイベントは演劇・・・ではなく甲斐の告白イベントですよ。よーするに麦が告白されたわけですが、その場面で無音を使ったのがいいなぁと思いました。麦の表情の一つ一つで全てが分かる・・というか、言葉が浮かんできます。さすがは演者ですな。にぶーーーーーーい麦の照れ方、きょどり方、OKの仕方、全てがらしいなぁと思います。今更ながらですが、桐原いづみ先生はキャラの演じさせ方が上手いのかもしれません。



せっかくだから麦たちが卒業をするところまででも・・・と思いましたが、麦の成長物語であると捉えるとここらが潮時でしたかね。実にバッチリなタイミングでした。
「演劇やってて良かった!」
という帯文が素敵です。努力したからこそ得られたものがあるという結論を導き出せる作品は素晴らしいですよ。道のりが困難なほどその魅力は増えます。とてもいい作品でした。



物語について語ってこの感想を終了させようかと思っていましたが、やはり特筆すべきは桐原先生の絵の上手さだなぁと思ってみたり。掲載雑誌を考えると7巻というのはわりと長かったような気がします。また長めでもいいですし、短期中期でもいいのでまた何か違う作品を読みたいものです。絵がこれだけいいなら何でもいけるかもしれません。できれば、また野乃みたいなキャラを作ってほしいです。次回作にも期待。