夢を叶える二人の出会い「ランウェイで笑って・第1巻」


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これは奇跡の物語

週刊少年マガジンの新風、「ランウェイで笑って」がかなり良いです。少年漫画でまさかの『ファッション』をテーマにした作品であり、週刊少年マガジンとしては「ファッションリーダー今井正太郎」以来となるはず。賛否あった気がしますが、今井正太郎は好きでしたよ(余談)。
ただまぁ、今井正太郎がファッションに悩む男の子を描いた一方、ランウェイは世界的ファッションモデルになりたい少女と、夢を追いかけはじめたデザイナーの少年の物語として描かれます。作品的に絶妙なバランスといいますか、作品としての『熱』を失わず、物語を成功させるための『奇跡』もありつつ。かなり面白いと思います。


ところで、作者の猪ノ谷言葉先生ですが、マガジンの新人賞で特選を受賞した「星に願いを」が去年の週マガ読み切りで掲載されていました。日本一の漫画ブログとして有名なヤマカムさんも、2016年に面白かった読み切りとして取り上げています。
yamakamu.net
なお、マガジン新人賞の特選はこれまでに4人しかいません。猪ノ谷先生はもちろんとして、現在別マガ連載中でテレビCMでもお馴染みの「将来的に死んでくれ」の長門知大先生。その17年前に(まさかの)島田英次郎先生。その前がコータローで有名な蛭田達也先生。特選の基準は分かりませんが、すげーなってのが個人的な意見です。







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夢が叶うとは限らない

モデル事務所の社長を父親に持つ藤戸千雪。当然自分もモデルになり、将来はパリコレに出たい!と夢見る高校三年生。しかし、その夢はかなり困難なものとなっています。無名だから?実力がないから?コネがないから?いやいや、そもそも身長が足りないって話らしいです。
そういえば、テレビで見るモデルさんってスラーっとして身長も高いですよね。調べたら最低でも170cm以上、世界のトップともなると180cm前後はあるみたいですね。それでいてヒールも履いているとなると、本当に背が高く見えますよね。まぁ、俺も182cmくらいありますが。←いらない情報



で、千雪は158cmです。



モデルの才能というものに身長があるのであれば、才能がないと分類されるものです。スタイルもいい、顔もいい。ただ身長が足りない。たったそれだけとも言えますが、それがないとどうにもならないという部分で千雪は夢を叶えられない状況となっています。





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ガール・ミーツ・ボーイ

そんな状況の中、学校の進路希望表でうだうだしていたクラスメイトの都村育人と出会います。デザイナーになりたい。でも、家庭事情で就職しなければ・・・・と悩む高校三年生。
おそらく片方ずつではお互いの夢には届かなかった可能性があります。しかし、二人が出会ったことで夢が繋がっていきます。第1話で語られたのは、この作品は千雪がトップモデルになるまでの道のりであり、育人がトップデザイナーとなるまでの道のりを描いたものだということ。現状はジリ貧ですけどねw
ただまぁ、どうやって二人の夢が繋がったかは試し読みをどうぞ。
www.shonenmagazine.com





千雪が一つ勘違いをしていたとすれば、パリコレモデルが着ていた服を着たからといって自分がモデルになれるわけではないということ。身長が低くても、そんな千雪に似合う服があればいいわけで。ただし、そんな服は当然千雪の周囲にはない。でも、千雪のための服を作ってくれる人がいたら・・・・・?






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主人公は君と僕

家庭事情に難あれど、デザイナーの学校に行く余裕がなかったとしても、なんやかんやあって期待の若手デザイナーの下で働くことになった第1巻。そこはとんでもないブラック企業状態でしたが、自分のデザイナーの夢を貫くのであれば良い場所かもしれません(多分)。
育人はデザイナーとなれるのか。今後が非常に楽しみです。千雪とどちらが困難かは分かりませんが、1巻の時点で遥か遠くって感じです。普通の人が通過するであろうデザイナーの学校を通らないことがどうなるやら。奇跡がないと厳しそう??

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東京コレクション

なお、話のスピードはそこそこ早く、1巻のうちに東京コレクションへと参加しています。当然、育人はお手伝いです。
ところで、東京コレクション東京ガールズコレクションは違うそうです。朝のめざましテレビなんかで取り上げられてそうなのが後者であり、前者は一般の人が入れないデザイナーの登竜門的なものだそうで。ここで魅せれなければ海外なんて無理めとも言われています。まぁ、その辺よく分かりませんが、大変だってのはよく分かります。あるよね、うんうん、あるある。←分かってない

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繋がる物語

そんな大切な東京コレクションなのに、いや、大切な場所だからこそトラブル発生。そして、代打モデルとしてやってきた千雪。自らの才能(身長)のなさを噛みしめている千雪の表情。対比として身長にあまりにも差がありすぎる後ろのメインモデル。こちらはもうやべーわって顔をしているのがちょっと絶望的ですね。さてさてどうなるやら。←知ってるけど








2巻は11月とのことですが待てませんね。期待度が高いというか、雑誌でも追いかけてますがかなり面白いです。話を読めば読むほど二人の道のりが困難であり、奇跡を何度も起こさないと無理だろうなあと思わされます。まぁ、その都度、奇跡があるのだからたまりません。
とはいえ、なんでもかんでも奇跡と言ってしまうのはよくなかったですね。彼らの努力と才能が開花する、彼らが困難な状況から成長する姿が楽しい作品とも言えます。マガジン新人賞特選が奇跡でも何でもなく、実力だったということを世に知らしめてやってほしいものです。アニメでも見たい。ドラマでも見たい。今年、かなりオススメの作品です。