ネコが姉になる、それは100%大好きで作られた物語「ネコあね。・最終巻」



ネコが姉になりました

別冊少年マガジンで連載していた「ネコあね。」の最終巻が出ました。進撃やどうぶつといった大きな物語が目立つ雑誌にあって、ちょっと変わった日常を描いた良作として別マガを支えていました。最近終わった超人学園カウントラブルとあわせて、創刊後の不安定な時期から、イケイケになった現在までを支えてくれた作品だったなぁと感慨深く感じています。特に新連載第二陣群でもある、カウント&ネコあね。は一時代を築いてくれた作品だと思います。
いつもいつも俺の言葉は誇張表現がすぎると言われますが、どうしても言わせてもらいたい。ネコあね。たちがいなかったら、きっと大味な雑誌になってたと思うんです。それをピリッと締めてくれてた作品があった。マガジンブランドとして立派な雑誌に成長させてくれた。だから・・・ありがとうって言ってあげたい。



銀ちゃんと杏子

主人公の銀ちゃんと、元ネコの杏子のお話。銀ちゃんの祖母に姉になってねと頼まれた杏子。両親を亡くし一人ぼっちで沈んでいた銀ちゃんを一人前とすべくネコ時代から奮闘していました。まぁ、銀ちゃんからすればタダのネコではありましたがw
そして、銀ちゃんを想い続ける杏子がある日、人間へと変身します。実際には猫又と呼ばれる存在であり、見た目は人間の女の子な姿ではあるけれども、ネコ耳に尻尾のある不思議な存在。ただ、人間になったからといって人間世界に馴染めるかといえばそうでもなく・・・。銀ちゃんに迷惑をかけながらも少しずつ人間らしく(?)、ドタバタしながら家族の絆を深めていきます。
ネコだから・・・って言い方は適当ではないかもしれませんが、杏子の実直な性格がウルッとさせてくれます。本能として銀ちゃんを大切に思ってくれる姉。新しく(?)増えた家族に安らぎを感じる銀ちゃんに、どこかホッとさせられます。まぁ、杏子が銀ちゃんに迷惑をかけることが多いので、どちらかといえば杏子は妹みたいだなぁと思うこともしばしばですが・・・。





イジワル??

さて、そんな楽しい毎日を過ごす銀ちゃんたちでしたが、6巻で大問題が発生します。主に杏子に・・・。


「どちらさまですか?」


二人で楽しくお喋りしながら歩いていたと思ったら、急に銀ちゃんが杏子を忘れてしまいます。銀ちゃんどころか、今まで杏子と出会ってきた人間全てが彼女のことを忘れてしまいます。“猫又は死が近づくとヒトの記憶から消えていく”らしいです。まるで、普通のネコが死に際に自らいなくなるかの如くですね。
あり得ない話ではありますけど、自分の大切な人が急に自分のことを忘れたとしたら・・・?ましてや杏子にとっては、銀ちゃんは大切な家族。わざわざ人間になる程に銀ちゃんを思い続けたのに、忘れられてしまう。こんなこと絶対に許されないよ。



忘れられた杏子がどうなるのか。本当に死んでしまうのか等々は是非是非読んでもらいたいなぁ・・・と思います。1巻から読み続けている身としては、素敵な終わり方だったということだけ。とはいえ、ちょっとだけ言及したいので書いておこうかな〜。最終の6巻に収録されているラスト4話では、これまでの銀ちゃんと杏子の関係をすべて凝縮していたと思うんです。出会う前、ネコとしての家族という存在、人としての家族という存在、そして・・・。
杏子の波瀾万丈さがこの4話に集められ、そのおかげか、思い出を噛み締めるように読んでました。死に際の杏子を助けたネコ。家族を連れ戻してくれた銀ちゃんの家族。何というか・・・とても優しい作品でしたねぇ。誰も彼もが“好き”以外の感情が出してこない作品でしたよ。杏子は銀ちゃんを思い、銀ちゃんも杏子を大切にしていました。また、彼らを見守る存在も・・・。





まぁ、自分の話ですけど、ネコも姉もいない人生でした。自分にないものがある作品なので、新鮮な気持ちで読める作品でした。ちょっと極端な設定の作品ではありますけどねw いや〜しかし、一つとして悪意のない100%大好き産の作品でした。作者の奈良先生には戻ってきてほしいですが、さてどうなることやら・・・。次はイヌあに。でもやりますか??俺は妹がいいですけど(←  
とりあえず、奈良先生お疲れ様でした!次回作も期待しています。俺はちょっと姉になってくれそうなネコを探しに行ってきますね〜。