サッカー漫画の極み「GIANT KILLING」

モーニングが誇る最上のサッカー漫画GIANT KILLINGがすごい。そもそもサッカーが世界中の人々に愛されているスポーツであることを考えると、その最高峰として日本の漫画誌上にいるというだけですごいですよね。特に23巻は”サッカー”を詰め込んでいたように思います。まず試合が面白い。そしてサポーターのやり取り、スポンサーとのやり取り、監督たちの心理戦等々。22巻から24巻へと続く対川崎フロンティア戦は、過去のジャイキリを振り返っても最高の試合だったと思うわけで・・・。



川崎とガチンコ対決

サッカーは90分の中で勝負を決めるスポーツです。その中で贔屓のチームが何点取るか。それを楽しみにしてサポーターは集まります。もちろん見ている分には。選手たちとしては0点に抑えつつ、大量得点できるような試合が一番望ましいのかもしれません。しかし、テレビゲームと違ってそうそう上手くいかないのが現実です。いやまぁ、ジャイキリも漫画なんですけどね。
Jリーグを知っている人からすると川崎というチームは”攻撃的”だったりします。前線の速い攻撃陣を使ったカウンターサッカーというイメージなんですけど、ジャイキリの川崎も同様のカラーを持っていますね。そんな川崎とガチンコで打ち合いをすることにしたタッツ。前年まで守備的なチームだったのに、リーグを代表する攻撃チームと打ち合いを選べるようになるなんて・・・。攻めたサッカーの方が面白いに決まっています。そして、そんなチームになるように成長してきたETU。打ち合いに勝ってこそ、成長した証になるはずです。




立場なんか関係なく・・・

ジャイキリの”間”が好きなんです・・・。サッカーは常に走り続けるスポーツではありません。90分間の中にスピード感溢れる場面と、そうではない部分に分かれています。ジャイキリでは作中でもそれが表現されています。試合中の激しいプレーもあれば、観戦側からの視点がある。この切り替えがとても上手いし、とても好きです。
川崎戦ではなんとスポンサー様が観戦に来てくれました。タッツがサッカーを知りたければ試合を見に来いと言ったことを守ったスポンサー様ですが、失点から始まる試合に少しガッカリ気味のご様子。さらに、ホームの試合だというのに自チームのサポーターだけで埋まらない状況にも苦言を呈しています。そもそも、ホームを自チームカラーだけで染められること自体が凄いと思いますが、某埼玉や新潟のチームや日本代表をテレビのニュースでしか見ていないと勘違いしがちかもしれません。

そんな状況でもサッカーの、サッカー観戦の楽しさを解説してくれる仕事人の笠野さん。


「大人も子供も会社のお偉いさんも、立場なんか関係なくゲームに夢中になる」


すごい当たり前のようで名言です。リーグ戦とは違いますが、例えば昨年のなでしこのW杯優勝なんていい例ですよね。あまりの大殊勲のためテレビの前であっても感じた感動。どれほどの人が見たかは分かりませんが、大人も子供もどこぞのお偉いさんも、もしかすると天皇だって平等に喜んだはずです。全く同じ場面ではありませんが、そんな場面を観戦で味わえるわけで・・・。贔屓のチームを見つけて、一喜一憂する。それだけでサッカー観戦の楽しみの一端を感じ取れるはずです。まずは地元チームの試合に行ってみてはいかがでしょう。





すごいね 面白いね

コータの下心で初観戦となったキョーコちゃんの一言がものすごく印象に残りました。点が入れば楽しい。非常に単純なルールであるため、見ている分にもきっと盛り上がれるはず。”すごいね”、”面白いね”。単純な一言ではありますが、ド直球過ぎてグッとくる一言でした。単純でいいんです。コールとか分からなくてもいいんです。(←ただしゴール裏を除く。多分チームによっては怒られるだろうし・・・怖い。)まずは見に行きましょう。


10年見続けた重鎮

ETUで問題になっているのは、スポンサー撤退問題とゴール裏騒動でしょうか。タッツがいた時期までいた人間と、チームが苦境の時期も支えた人間と、新しく加わる人間と。今回はそれに、タッツ時代から見続けているおじちゃんたちも登場しています。正直言ってしまえば、サッカー観戦も娯楽の1つでしかないと思っています。そこからウルトラのような人生を賭けてまで応援するような人たちが出てきてもおかしくないですし、それも1つの選択肢だなぁと思ってます。
ちょっとジャイキリとしてのゴール裏サポ問題はどこに着地するのか分かりませんが、実は色んな人間がいるというのがどの様に影響を与えるのやら・・・。コータの言葉に耳を貸したスカルズの羽田さんのちょっと嬉しそうな顔。ETUを自分たちの応援の仕方で応援し続けていたじいさまを見たコータ父の顔。何かいい方向に向かえばいいですね。





ジーノのFK

しかしまぁ、サッカー漫画なので、試合のシーンに見所がなければいけませんよね。イチオシはジーノのFK。蹴った瞬間に入るのが分かるレベルの場面でした。見てくださいよ。ジーノの足を離れたあとのボールの軌跡が見えそうじゃありませんか??
それ以外にも、チームの精神的支柱でもある村越さん抜きでも試合ができている〜というのも見逃せません。キャプテン代理と裏キャプを中心に、タッツがやりたいサッカーを話し合い、ガブを使ったり星野のアーリーを使ってみたり。あぁそうか・・・、これが”チーム”なんだな。





ちょっと昔サッカーをやっていたのを思い出しました。色んな試合をしましたが、やっててすんごく楽しかったなぁ・・・。
冒頭にも言っていますが、川崎戦はかなりの名勝負だと思います。やっぱり点が入ったほうが楽しいですよ!!まだこの上のレベルの試合が見れるならそれはそれで楽しみ。命を燃やし尽くすような必殺技の応酬をするサッカー漫画とは違う盛り上がり方をするだけに・・・ね。ジャイキリはサッカー漫画的に最高峰ですが、川崎戦はその中でも頂上でした。いいものを読ませてもらいました。この試合の結末も楽しみです。