躍動するチームとまとまり始めた応援団の巻「GIANT KILLING・26巻」



ETU vs 千葉

GIANT KILLINGの26巻が出ました。いきなり雑誌の話で申し訳ないんですけど、現在雑誌では五輪予選の日本代表に選出されたETUの選手が描かれています。これがめちゃくちゃ熱い!驚くほどに熱い!!誰が〜というのは容易に想像できると思います。アイツです、アイツ。単行本派の人はまだまだ先かもしれませんが、楽しみにしていていいと思います。
もちろん、25巻から引き続きのお話となる26巻の対千葉戦も熱いです。


本当に強いチームってのはさ
自分に厳しく相手をリスペクトして
自分と相手双方に常に挑んでいってるような奴の集まりだよ

これはハーフタイム中にタツミが選手に語った言葉です。常に挑戦者であれ・・・というのはよくある言葉ですが、具体的な気持ちを伝えるというのは珍しかったかも?まぁ、とにかく相手の千葉が強かったんです。タツミが選手を信頼する形とはちょっと違う信頼感が千葉の中にあります。先生と生徒と揶揄される関係性ですが、それが上手くいっているからこそ集団としての強さが見え隠れするチームです。




○千葉は強い



練習通りだ〜い!

前半戦、千葉の監督ミルコビッチの戦略がどハマりし、千葉が1得点をもぎ取っています。何がすごいって、ドンピシャな得点方法だということでしょう。ジーノを抑え込み、サイドの裏を狙うという戦術。これをミルコビッチが考え、それを忠実にこなそうとする千葉の面々。
相当厳しいようですが、チームができるギリギリの戦術を用いて、チームの勝利+チームの成長を促します。タツミのような選手の個性を見るやり方ではなく、あくまでも相手のチームを調べ尽くした結果をチームに反映させるやり方。でも、それを選手たちは嫌だと思っていないというのがいいですねぇ。厳しい鬼教官と教え子たちの信頼感・・・。監督の信頼に応えられたぞー!やったー!やったー!という選手たち・・・。俺はこの千葉というチームが大好きだなぁ。






○ETUの逆襲!



ぶっつけ本番ですが・・・

先述したタツミの言葉の後、大胆な戦術変更を行うETU。千葉のトップ下であった戸倉を下げることでジーノ潰しを行なっていた千葉に対し、椿とジーノを入れ替えるという場当たり的な方法を取ります。しかし、これがまぁ大当たりするわけでして・・・。
司令塔をボランチまで下げる戦術はよく見かけますね。G大阪の遠藤なんか最たる例だと思います。前線ではなく一歩引いた場所で長短織り交ぜたパスで攻撃を彩る。ただ、ジーノがDFの前にいるって・・・怖すぎますねwww ジーノの守備をしない、走らない、汗をかかないレベルは群を抜いてますから。実際には、景色が広がって攻撃へのやる気を取り戻している&相手の攻撃を読んで守備をやっているという効果を生むことになりますが・・・。ちょっと意外でしたね。
椿が前にいる。そして世良がいる。それによりカウンター狙いの相手DF陣をスピードでかき回すことができます。それもボランチジーノの中央パスで。どこまでタツミは狙っていたんでしょうね。タツミ曰く、そっちの方が選手たちがイキイキしそうだったらしいですけど・・・。


タツミがニヤリ

サポーターとも色々ありますが、今のETU=タツミであることは疑いようがありません。彼がやってきて、チーム内、選手一人一人の意識改革もあり、楽しいチームへと変貌しました。ある程度の方向性を示しつつ、選手の個性を生かそうとしています。とはいえ、割とその方向性も「ワーッとやっとけ、ワーッと!」みたいな感じがして面白いんですけどw ミルコビッチみたいな1から10まで説明する監督もいれば、感性だけでやる人もいますし・・・。ただ、タツミに限って言えば感性だけのように見えて、実は考えていたりするので侮れません。
・・・でまぁ、後半は新戦術がピタリとハマり、同点にまでしています。すげえぜ、ETU!!






○椿が特にすごい



椿、渾身のシュート

しかしまぁ、26巻一番の見どころは椿さんでしょうねぇ。躍動感がハンパなかったです!!身動きの取れない前半とはうって変わってイキイキとしてた・・・かなぁ?(←w 最初は初めてのポジションでフワフワタイムだったんですけど、徐々にやるべきことを把握して動きはじめました。何だかんだで同点ゴールは椿のおかげですしね。そうそう、新フォーメーションがイケるぞ!という雰囲気を作り出したのも椿でした。


お前ん中のジャイキリ起こせ

話は最初に戻ってきますが、タツミは前半終了後に“挑戦者”であるかをチームに尋ねます。順位が上だとか、クラブとしてどうかではなく、チャレンジ精神について説きました。驕るような気持ちではなく、自分に厳しく、相手に敬意を払ってプレーをすること。それがチャレンジ精神であり、「GIANT KILLING」。結果としてのジャイキリではなく、気持ちとしてのジャイキリ。これを胸に後半、チームも椿も試合に臨みます。






○ゴール裏の挑戦
結局、ジャイキリという作品の魅力って何だろうなぁと思うと、“観客”という要素が思い浮かびます。相手チームの選手が驚くだけではなく、見ている人もアッと驚くような描写がある。これだけでジャイキリという作品はリーグサッカーを描く作品として頭一つ抜け出してしまいます。そして、その観客物語も見どころたっぷりという・・・。



田沼吾郎にこの場を預けてくれやしませんかね?(〃´・ω・`)ゞえへへっ♪

チームの低迷期を応援し続けた羽田さんが謹慎し、バラバラ模様のスカルズ。一方、昔応援していた街の皆が来ることになり、慌てふためいていたゴロー。案の定ハ・・・、シゲちゃんがスカルズと喧嘩し始めます。そこは昔取った杵柄で、場を取り仕切ろうとするゴロー。
「ETUに勝ってほしいと思うのはみんな同じ」
このゴローの一言で全ての流れが一変しました。スカルズも、古参も、子供たちも、一緒に一緒にコールを始めます。


E ー T U !!

いつもはこれをスカルズの中心メンバーでもある羽田さんがやっていました。他のチームのサポに負けないような集団を作り上げていました。今回はこれをゴローがやった。選手は新しい挑戦をしている中、ゴローも、サポーターたちも挑戦を始めようとしています・・・。





いつもの浅草みたい

終盤、ETUコールは爺さん婆さんによる「あ、そーれ」へと変化していきますw 「あ、そーれ」も面白いですが、もちろんいつものコールも現代風サッカーという感じがしてカッコいいですよね。どちらが良いかはこれから考えていけばいいことかもしれません。ただ、コータが感じた“いつもの浅草感”というのは大切にした方がいいかもしれません。きっと、より多くのサポーターを増やす要素となるかもしれません。まぁ、その雰囲気を羽田さんたちが感じていないというのが気になりますが・・・。
コータが指した“浅草らしさ”が、祭りのような雰囲気のことなのか、のんびりした雰囲気?なのかはよく分かりません。スカルズ曰く緊張感がないとのことですがw ・・・ゴローでも羽田さんでも、誰がまとめるかというのはそれほど重要ではないかもしれませんね。重要なのはまとまることだと思います。





楽しく応援できる場がある。タツミがいる。タツミを思い起こさせる選手がいる。新旧入り交じって次のETUというチームが見えてくるかもしれません。ゴローがタツミが戻ってきたーと言いながらスタジアムに行き、スカルズに睨まれた時代が懐かしい。・・・って、同じシーズン内の話か!!これ1年以内の話だっけ!?チームの成長を感じる・・・。
チームの戦術の違いで楽しめる部分もある。選手の成長を見て楽しめる部分もある。タツミの采配に酔いしれる部分もある。そして、サポーターたちの成長も見ることができる。ホンマ、すごい作品やで・・・。