君の物語を探して「永遠図書館」

世界の全てが分かればきっと何かあるんじゃないかと思うわけですよ。夢物語の様な神話から、過去の歴史、もしくは自分の近くにいる人のお話とか。最近は個人情報云々と言われそうなので、やっぱり身近な人の物語はやめておきましょうか。そうなると、例えばこの世の中の漫画を全部知るくらいでいいかなぁ・・・とか、あはは。
さて、去年好きだった作品を挙げるとすればシリウスで連載中の「永遠図書館」を1つ挙げたいなぁと思います。全宇宙の歴史と英知が集まる永遠図書館で働く白道司書のメシェを主人公としたお話。白道司書のお仕事は全宇宙から集まる、知識や記録を焼灼によって紙に収めること。永遠図書館という名前は正式名称ではないんですけど(コネプルシア図書館)、白道司書たちが焼灼で集めた様々な出来事を綴った本が置いてあるため、永遠図書館なんて名前で呼ばれているようです。



白道司書のメシェ

例えば亡くなってしまった自分の大切な人の記憶も、永遠図書館に本となって集まります。条件によって閲覧も可能なようですが、見たいような見たくないような・・・。
白道司書が何人いるのか分かりませんけど、そんなたくさんの記憶を焼灼し続けるのって大変そうですねぇ。焼灼っていわゆる文字起こしみたいなものでして、空から集めた光(この中に色んな記憶が入っている・・・らしい)を真っ白な紙に当てると文字が書かれていきます。漫画で見ている分には大変そうに見えない(←失礼)んですが、ただ、人の大切な思い出とかなんだと思うと失敗できません。
去年出た1巻でメシェは白道司書(見習い)に昇格し、最新2巻では白道司書としての物語が1つずつ描かれます。なお、このメシェという主人公は割と落ち着きのない感じです。いわゆる普通の図書館にいる司書さんなんかって清楚で可憐、そして物静かなイメージがあるんですけど、メシェさんは全然違います。もしかするとアホかもしれません。・・・嘘です。




神話に触れる

白道司書になるというのは実はかなり名誉なことでして、街の人からも憧れの対象だったりします。なお、メシェは白道司書前に散々やらかして残念がられたりしているようです。本が好きすぎて図書館で色々やらかしたようです。別名、図書館の帝王。ただ、白道司書という名誉ある職についてからも奇行の数々は抑え・・・られてるのかなぁ。
(本来は)皆の憧れでもある白道司書。そんな職業に就くと、やはり素敵な出来事が起こります。例えば、カトレリ神話(この世界の神話)の住人が見えるようになることです。神話世界の大きな魚レムレイ。本を盗む屋根裏のニャル。毎日の季節の移り変わりを本に書き続ける366匹のカレナック。大地の女神の子メルゲン・・・etc。最初は見えなかった住人たちも、成長(?)していく中で見えていくようになっていきます。で、この住人たちとの話がとても素敵。最高に素敵。
子供の頃に読んだ本の中でしか見れなかった様々な出来事たち。それが現実にあったら・・・きっとキュンとしちゃいますよね。30手前のおっさんでも、キュンとしちゃいますよ。キュンキュン。


メシェの伴星はミュカレに決定!

2巻の終わりでは、そんなカトレリ神話に触れるお話の1つとしてメシェの伴星探しが始まっています。”伴星”というのは白道司書の相棒のことで、自分に関係する星座にまつわる神話の住人が担当してくれます。誰になるかは不明。だけど、伴星がいる=一人前の白道司書ということ。メシェの伴星は一体・・・。



まぁ、一体・・・とか言いながら、↑でミュカレだって言ってるんですけども。ミュカレは宝瓶の少女と呼ばれ、神話世界の住人ながら人間に憧れた少女。しかし、お偉いさんに怒られ、でっかい剣で切り殺されています。そのため夜空にはミュカレに相当する星は、夜空の傷痕と呼ばれる星たちの集団によって見えなくなっている=ミュカレはいないと言われています。つ・ま・り、メシェに伴星はいない=白道司書として活動できないということです。ここからどうなるかかは、2巻&2巻以降を楽しんでいただければと思います。




1巻で白道司書について学び、カトレリ神話に触れる。2巻では神話の住人を一般世界で見るというレベルアップを果たし、神話の住人を力を借りて問題を解決するような物語を迎える。伴星という存在を知り、自分の伴星を見つけるためのあれこれをする。この作品を1つの物語として読むための順番がきれいに整頓され、非常に楽しんで読めます。まるで小説を読んでいるよう??
正直に言わせてもらえば、シリウス内にあって多少絵は拙い気はします。ただ、裏を返すと、とても可愛らしさのある絵だと思うんですよ。少なくともミュカレの丸っこさは好きです。内容を言えば、とてもとても物語が優しいと感じます。自分の話になりますが、主人公のメシェには絶対になれない性格なんですよね。彼女自身には感情移入できませんが、メシェの冒険譚を見ているのが楽しくなってくるんですよ。
一度読んでもらいたい作品です。今年もオススメ。