世界で一番熱いAO(あお)「ALL OUT!!・第6巻」



青春には青い空がよく似合う

最も熱いスポーツ漫画
今一番好きなスポーツ漫画を聞かれるとするならALL OUT!!」(以下、AO)を挙げたいなと思います。最近ではめっきり減ってしまった“ラグビー”を題材にした作品となりますが、ラグビーってこんなに面白いんだと思わされることが多いです。某キャプ翼のようにものすごい必殺技が飛び出すわけでもありません。どちらかと言えばジャイキリのようなリアル寄りの作品でしょうか。とにかく、鍛えたもん勝ちだと、全国に行くために練習に練習に練習しまくってます。武器は己の身体と仲間、そんな作品です。
ドラマのスクールウォーズラグビーだったなぁと思ったのですが、あそこほど生徒たちがヤンチャではないのですよね。むしろ今風な男の子ばかりです。ただ、物語的には昭和風の熱血スポ根を感じさせます。言い換えれば、昭和風スポ根を今風アレンジしたような作品といったところでしょうか。あと、何と言っても女性人気が高いです。Twitterなんかで、AOの話をしている男性をほとんど見かけたことがありません。まぁ、気持ちはわかります。かっこいしい、なーんかかわいいんだよね。


合同練習してます

さて、6巻では5巻に引き続き、慶常高校と合同練習をしています。あんまりこういうこと言うと怒られるんでしょうけど、さすがにここまで人数多いと判別つきにくいですね(笑)。主人公がいる神奈川高校、通称ジンコーのメンバーだけでも主要キャラを覚えるので精一杯だったりしますが。ただ、読みこめば読みこむほどキャラへの愛着が湧くような物語になってます(キャラ掘り下げが良い)。だからこそまぁ、このキャラが好きだ!という女性人気も理解できます。←キャラ萌えまでは範疇外で申し訳ないですが


ゴリゴリのラグビー

キャラたちがかわいい(のは分かる)・・・・とか言いつつ、やってることはゴリゴリのラグビーです。肉弾戦です。防具のない体当たりばかりです。6巻まできてようやく分かってきましたが、試合描写がとにかく泥臭くていいんですよね〜。あと、ルールを知らなくてもなんとなくわかるように描いてくれてるのもいいです。本当は戦術・戦略ありきのスポーツなのだろうというのは何となくわかるのですが、作者の雨瀬先生がうまく隠しているように感じます。まぁ、主人公(後述)がド素人(&アホ)なのでそこまで戦術的なものを描けないようにしているんですが。




アホの子

というわけで、主人公の祇園健次。「とにかくでっかいヤツをふっ飛ばしたい」という単純な理由でラグビーを初めました。最初は本当にやみくもに喧嘩してたようなところもありましたが、今ではラグビーを本当に上手くなりたいという欲求がすごいです。
残念ながら、本当に主人公なのか?と思うほどに出番が少ない気もしてますが、彼を中心に動くことがよくあるので、主人公なりの活躍はしているのかなぁとか思ったり。まぁ、一番の活躍どころがコーチの籠さんを連れてきたことなわけですが・・・・。





籠(こもり)さんの休日

AOという作品の中で個人的に一番好きなのが、この籠さん。本当に大好き。渋いしかっこいいんだけど、熱い人。かっこよすぎる。
そんな籠さんは元日本代表だったようです。やることがなくなって、コーチでもしようかなぁと思ってたところ、偶然主人公の祇園から連絡をもらい(この時点では面識なし)コーチを引き受けてます。アホの子・祇園に騙されたつもりで行ったら、ラグビーに飢えた若い子たちがいた。厳しい練習を課してもついてくる子たちがいました。なんだかそれが楽しくなってきた6巻目のお話。
籠さんも良いお年なので、昔の仲間とちょっと飲んだりもしてます。そこで話されるのは昔の話よりも、自分たちの教え子のことばかり・・・・




長く、長く・・・・

この作品は青春を描いた作品です。青春は短い。本当に短い。籠さんがコーチをする子たちは、たった3年しか高校生をやれません。ましてや今から教える子たちの中には、数ヶ月しか教えてやることのできない3年生がいます。ラグビーが大好きでしょうがない、ちょっと不器用なキャプテンもいます。キャプテンの理想を一緒に追いたいと思ってくれた仲間、キャプテンがいるから頑張ろうと思う下級生たちがいます。
そんな人生のほんの一部の短くて長い時間のため、籠さんはラグビーを教えようと決心してます。






それは、残せなかった自分の子供を思っての行動だったのかもしれません。








子供に・・・・

子供の話になったとき、籠さんは嬉しいような悲しいような表情をしてます。誰が悪いわけでもなく自分の子供を授かることができず、でも数十年後にたくさんの子供達とラグビーをやることになった籠さん。仲間からは表情が柔らかくなったと言われました。子供の話が出て以降、暗かった籠さんの表情が柔らかく・・・・。それはもう、ジンコーラグビー部のおかげ以外のなにものでもありません。
・・・・なんかね、泣いちゃったよね。コーチをし始めてからの籠さんを見てたら、絶対に子供が好きじゃん!って性格なだったわけですよ。そんな籠さんに、運命のイタズラのようにたくさんの子供たちができるわけですよ。半ば諦めていたのに、やっぱり嬉しいって表情するんですよ。なんかね、やっぱり読んでて泣いちゃうよね。


気田、部活やめるってよ

AOという作品は試合描写こそが醍醐味だと思ってるわけですが、6巻では試合以外の部分で激動だったと思います。個人的に好きな話である籠さんのお話はもちろん、部活を辞めるという生徒も出てきてます。これが連続するからさあ大変。こまかーいところは是非是非読んでほしいところではありますが、最上級生は特に思うところはあるようで。
特にキャプテンの赤山なんかは内心やばかったようです。


確かにまぁ、大変だし、痛いだろうし、ご飯が食べれないって言われたらね・・・・。難しいところですね。ラグビー部が嫌になったとかでもないですし、応援してるって言われた時の赤山の顔はなんとも言えませんでした。たった3年。その3年に何をするかは自由ですが、赤山は気田にもラグビーを選んでほしかったと思います。ずっとずっと泥んこになって走りたかったと思います。



一緒に全国に行きたい。一緒にそんな想いも叶わない。
自分と他人の熱量の差を埋めるのは・・・・本当に難しいですね。






ガムシャラさが好き

責任を感じた赤山は、そんな状況に追い込んでしまったことにイラつき、八つ当たりまでする始末。そんな赤山を気遣って言葉をかけたのが、やはり籠さん。OTONAってかっこいい。




スポ根で優秀な指導者がいるってのはいいなぁ。ガムシャラにやって強くなりきれなかったところに、強くなる理由(指導者)が来てくれた。「部活」というものにはお約束?でもある退部なんて話題も出てきました。はたしてAOという作品は、ラグビーを描いているのだろうか、若者の成長を描いているのだろうか。
6巻ラストでは、籠さんの奥さんが出てきてます。彼女が喜ぶ(籠さんと同じ気持ちで子供ができたような喜び)姿、表情にまた嬉しくなるのですが、それはまぁ読んでほしいなぁと思いました。






籠さん無双!な6巻だったと思います。そう思うのは自分が籠さんの大ファンだからかもしれませんが。皆さんはどうだったでしょうね?イワシとかですかね?個人的には祇園フランカーわかってねえwwwwが面白かったです。
読んでいると無性に母性本能・・・・じゃなかった父性本能をくすぐられます。こんな高校時代を過ごしてみたかったなぁという、どこか寂しさも感じます。作中で皆が笑うとこっちも笑顔になります。



あぁ・・・・これが“青春”か。




6巻表紙のAO空が光ってるなぁ(しみじみ)。




籠さんが好きというか、自分(31)がオッサンだから共感してるだけかも。