君だけに届け→「四月は君の嘘・第14話」



14話は少女の祈りの物語

月刊少年マガジンで大人気連載中の四月は君の嘘ですが、常に予想の1つも2つも3つも越えてくる物語にドキドキしています。今月号は泣いた。感動した。10回読んで10回感動した。この作品はすごい。すごすぎる。どんな言葉も軽いと感じてしまうほどにこれ以上褒める言葉が見つかりません。ただ1つ、今月号のお話を読んで、四月は君の嘘という作品がもっと大好きになりました。



「響け」



先月号から公生の本当のライバルたちの演奏に魅せられております。1人はコンクールで公生に負け続けた少年、そして今月号の話を飾る井川絵見という少女―。



ピアニストを目指す絵見

彼女は小さなころから何でもできる少女だったそうです。スポーツだって習い事だって、人より上達する、いわゆる”天才児”の部類だったのかもしれません。そんな彼女をピアノという舞台に引きずり込んだのが主人公の有馬公生だったそうです。
初めての公生の演奏に「だただた感動した」と言う絵見。もしかすると、公生に会わなければサッカー選手になっていたかもしれません。オリンピックの選手だったかもしれません。素晴らしい絵画を描く画家になっていたかもしれません。そんな絵見の才能の方向性を決定付けたのが有馬公生なのです。



「響け」





これが中学生の演奏だろうか

彼女はかなりの気分屋だったそうです。調子が悪い時はそれはもう酷いの一言。しかし、今回の演奏では皆を驚かす演奏をしています。
弾いている曲はショパンエチュードop.25-11。技術力が必要な曲だそうです。残念ながらそっち方面の知識に疎く、youtubeで探して聞いてみた程度の知識しかありませんけども、手がギュワンギュワンと動くんですね〜。色々と解説も見てみたりしましたが、やはり難解な曲だということが言われていました。そんな曲を情感込めて弾く絵見。いつも見ていたライバルですら驚く内容だった・・・ということは、公生が彼女のやる気と本気を引き出したと考えるのがいいでしょうね。



「響け」



彼女は何を思って弾いているのか。「本当の有馬公生は初めての演奏の中にしかいない。」そう言い切る彼女は、自分の思い出の中にある有馬公生を甦らせるためにピアノを弾いています。
ピアノ界から消えたと思われていた公生が戻ってきた。いつまた消えるか分からない公生に向かって弾く彼女の最高のピアノ。メトロノームのような公生ではなく、あの日の絵見を感動させた「本物の公生」を取り戻すために弾きます。コンクールで何度負けても公生に向かって弾き続けていたそうです。負けても敗れても弾き続けたそうです。それだけ「本物の公生」は彼女に大きなものを与えていた・・・。




「響け」




彼女は演奏中に何度も「戻って来い」と心の中で呟きます。自分の未来を決めたあの時の公生に向かって。自分が憧れたあの時の公生に向かって。
彼女は演奏中に何度も「響け」と心の中で叫び続けます。母親によって与えられたピアノじゃない、本当の公生のピアノを思い出させるように。



「響け、響け、私のピアノ、響け」



「響け」



「響け―」



気の強そうな彼女の命令ではありません。少女の懇願というわけでもありません。これは井川絵見による祈りです。演奏後の笑顔からはやりきった感が伝わってきました。第14話、絵見の人生をぶつけた今月号の話に涙が止まりません。



鳴り止まない拍手と響けという気持ち

自分の憧れを呼び起こす姿にただただ感動させられました。彼女の人生の清廉さに拍手が止まりません。そして、主人公ではないキャラクターでここまで描いている作者の新川先生にも・・・。
この作品を読んだことがない人にとっても、今月号の話だけで面白さを説得できるんじゃないかと思うほどです。是非読んでほしい回でした。




少し気になっているのは、公生の母親がもしかして絵見と同じようなピアニストだったんじゃないかということ。公生に徹底的に正確なピアノを教えていた=叶えられなかったことを公生に・・・と考えれば、自身がコンクールで優勝していなかったのでは?と思うんですがどうでしょう。ちょっと気になるところです。
どうでもいいけど、この作品は女の子が強いですねー。そして共通するのは公生を甦らせたいと考えていること。三者三様ですが、誰が公生に影響を与えるのやら。羨ましくないと言えば嘘になります。誰か俺にも響けって思いながらアタックしてくれる子いないかなぁ。募集しています。