ベイビ−ステップという歩幅

週刊少年マガジンで連載中のテニス漫画「ベイビーステップ」が面白い!!

ベイビーステップ(1) (講談社コミックス)

ベイビーステップ(1) (講談社コミックス)


この話は、超がつくほどの几帳面少年・丸尾栄一郎(エーちゃん)が、自身の性格を武器に成長していく漫画です。
几帳面さを表す最たるものが「エーちゃんノート」。最初は学校の授業をキレイに板書したものが始まりでした。そのキレイなノートはクラスの教科書にもなり、優等生・丸尾栄一郎を印象付けるものとなっています。本人曰く、「人より不器用で、そこまでやらないとできない」とのこと。・・・・いやいやいや、仮にそうだとしても普通の人はできませんが。コツコツと地道な作業が出来ることは本当に凄いことだと思います。


ちなみに、そのエーちゃんノートはテニスにまで活かされており、試合、練習、気付ける場面は全部チェック。練習内容、対戦相手の弱点、試合の結果(1球1球まで!)、ヒロイン・ナツからのアドバイス等々・・。単行本6巻にして冊数は20冊を越えています。作品を読めば分かりますが、ノート内の挿絵も字もきれいだったりします。勝手な予想ではありますが、下書きノートと本書きノートがある気がしたりしなかったり。とにかく、このエーちゃんノートこそが作品を語る上で重要な要素になっていることは間違いありません。


なおヒロインのナツ(鷹崎奈津)には、最初エーちゃんノートを「キモイ」と言われていますが・・・。



この作品はエーちゃんのキャラに負けず劣らず地味です。地味ではありますが、人気もあります。それも地味に・・・。「2008テレビブロスコミックアワード スポーツ漫画部門」で1位だそうです。すげー。まぁ、知る人ぞ知る面白いテニス漫画として確立しつつある同作品ですが、どうも「知的なエーちゃん」がいいよという評価が多いような気がします。



俺はそうではなく、いや、もちろんエーちゃんの試合中に「常に考える」姿勢に面白さを感じはするんですが、タイトルにこそ全てが詰まっていると思っているわけで。テーマはズバリ「着実な成長」です。


いきなり上達するのではなく、一歩一歩着実な成長を魅せていることこそが、この漫画の最大の魅力です。試合中に考えるだけ考え、目の前の壁を越えていきます。しかし越えられない壁もあるのも事実で、そうなった場合はまた一つ努力を積み重ねていきます。壁がどこにあり、どうやって越えていこうとするかを魅せてくれるからこそ、成長を実感するわけで。さらに、色んなスポーツ漫画にもある「練習して努力する」という描写についても、この作品では「練習して努力し続ける」描写が必ずあります。そうすることで、エーちゃんがずーーーーっと何かを続けていることを思いしらさせてくれます。



ベイビー(赤ん坊)のステップ(歩幅)は着実に大きくなっていきます。



赤ん坊が絶対にやめないことは何か?それは成長です。この作品も同様で成長をやめることはありません。そして、ベイビーの成長を誰よりも待ち望んでいる人間こそ我々読者ですよ。


テニスに出会うことで生まれた、テニスプレーヤー・丸尾栄一郎。
6巻ではプロになろうと志したわけですが、ちょうど立ち上がったところでしょうか。手を引かれながらではありますが、一生懸命歩んでいます。


この作品が10巻になることにはきっと、週刊少年マガジンの看板作品として自立しているはずです。今から先物買いしといてもまだまだ遅くはない良作です。





・・・・とまぁ、色々書いてきたわけですが一つだけ書ききれなかったことがあります。それはエーちゃんとナツの恋の行方です。7巻で確実に収録されるであろうニヤニヤイベントが実はあります。雑誌掲載中に萌え死にしそうになりました。合言葉は「なんて言ったらよかった?」です。もし二人が結ばれた暁には、マガスペにでもナツサイドからのストーリーを是非是非やってもらいたいです。絶対に面白いはず。期待してます。