ハロルド作石先生新連載、漫画で奇跡を起こせるか?「RiN・1巻」

漫画家漫画をどう読んでいますか?近年の漫画家漫画といえば、某ジャンプでやっていた二人組の作品が思い出されるでしょうか。読者側からすると、普段は見れない現場を見ることができて楽しいことこの上なしです。同業者さんからすると、そこまで描くの!?とか、いやいやそんなことは無いよとかあるんでしょうかね。漫画家漫画を担当する編集さんも大変だったりするんだろうか・・・。
講談社でも最近は漫画家漫画が出てきてますね。例えば、別フレHOPEもその1つ。



めざすは日本一の少女漫画家

作者は「ライフ」「リミット」でお馴染みのすえのぶけいこ先生。そういえば、リミットがテレビドラマ化するそうじゃありませんか。みんな!エスパーだよ!の後番組というのを知り、ギャップの激しさに戸惑っています。パンチラとかあるのかなぁ(←
帯文にもある通り完全なる漫画家漫画となっています。前作、前々作を見るに、流れ的なものは分かるかと思います。今回は小学生時代から描かれ、友人や敵となるべき人物たちと紆余曲折ありながら、自分のやりたいこと(漫画)に邁進しています。


持ち込みの場面にて

第1話では主人公が漫画を出版社に持込するところが描かれます。その後、過去に戻り主人公の人生が描かれる1巻。小学校ではクズ教師がいました。高校では漫画を描くことを隠して生活していたり。イケてる勢との葛藤、自分以外にも漫画を描く仲間に出会えた主人公は・・・というところで1巻終了。うーん、なかなか楽しみなスタートじゃありませんか。
リミットの後の打ち合わせで、熱い漫画を描こうという編集さんとのお話でスポーツをやろうとしたそうです。そちらはすえのぶけいこ先生側が思いつかなかったためボツとなってますが、漫画だって熱い作品は作れますからね。漫画家漫画と言いつつも、やっぱりすえのぶけいこ先生だな〜と思う要素が散りばめられていました。ここからどんなイジメが発生するのか楽しみです(違




一方、講談社の少年漫画側も負けじと漫画家漫画を出しています。こちらもビッグネームのハロルド作石先生。タイトルは「Rin」



この物語を描くのは僕の最大の挑戦

約5年ぶりの月マガ復帰作がまさかの漫画家漫画でした。スポーツ、音楽、というジャンルの漫画で成功を収め、お次は漫画を題材にしています。いや〜、これ絶対面白いっしょ。面白くなる未来しか見えません。え、シェー・・・クスピ・・・ア?分からん。他社のことはよく分からん!!


主人公・伏見紀人

退屈な学園生活を送る主人公の伏見くん。ただ、学園生活以外の部分では、彼の人生は将来の夢に向けて充実しているようにも見えます。暇があれば絵を描いて練習をする毎日。一般的なサラリーマン人生ではなく、あくまでも漫画家が彼の夢。
そういえばBECKコユキも似たような境遇だったかもしれませんね。いや、コユキの場合は夢などない状態だったのでちょっと違うかもしれませんが・・・。もちろん、主人公たる伏見くんにとって大切な出会い、大切な友人ができるのはコユキ同様といったところでしょう。これから夢を目指すという中で、どんな物語を描くのか。とても楽しみな部分ですね。


ヒロイン凛ちゃんは不思議な能力持ち

あと、ハロルド作品といえば可愛いヒロインも特徴の一つです。どの作品でも主人公に対しほどほどに影響を与えていくヒロインたち。
今作のヒロイン、石堂凛ちゃんは特殊能力を持っています。見えないもの、見てはいけないであろうもの、そういったものを見聞きできる能力を有しています。ヤーさんにとある4人の写真を見せられ、カマをかけられたのに対し、4人中2人は死んでいることを当ててしまっていたり。もちろん何も言われていないのに見抜いています・・・し、そのヤーさんに(何らかの力で)危害を加える寸前だったとまで。顔は可愛い。方言も可愛い。芸能活動もちょっとやっている。ただ、謎の能力を持っている。
そんな彼女が伏見くんと一体どんな物語を描くのか・・・。このあたりも見ものでしょう。もしかすると多大な影響を与える、作品自体の方向性も動かしかねない存在でもあります。


今のトーラス面白くありません

沢村叡智賞という新人賞で大賞を取ったライバル?の瀧カイトという存在も気になります。トーラス(雑誌)が面白く無いとハッキリ言うあたり大物のニオイを感じますね。なお、同じ賞の中で、伏見くんは期待賞レベル。いきなり差が付いていてビックリですが、もしかするとライバルというよりはコユキにとっての竜介という可能性も否定出来ません。こちらも伏見くんに影響を与えそうで楽しみだったり。
あ、そうそう。トーラスというのはもちろん雑誌名になるわけですけど、各描写を見る限りでは講談社っぽい会社の雑誌のご様子。もちろん沢村叡智というのは、大御所中の大御所です。なお、一番売れている雑誌は、少年ビートルという雑誌。トーラスにとっての沢村賞と同様に、ビートルではクリスティ賞というものがあります。ハロルド作品信者にとっては聞き覚えが強い、クリスティ作石先生の名前が冠されています。
読んでいると当然気付くんですが、やはり過去のハロルド作品と同じ世界観であることが分かります。もちろんあのストッパー毒島でお馴染みのアスレチックスの話が出てきます。火野のエラー数とHR数の話題という、これまたお馴染みの話題あり。伏見くんが作業中に聴く音楽はBECK。で、さらにまだまだ過去作品の影響が出てきそうな予感。これでハロルド先生が伏見くんにゴリラーマンで描かせれば完璧ですね。いや、あり得ない・・・か。





さて、話題は再度、ヒロインの凛ちゃんへ。



人がいる




人がいない


これらは同じ場面です・・・が、とある人物が凛ちゃんの横にいたりいなかったりしています。このオッサンは沢村叡智。超大御所の漫画家さん。なお、死んでいます。
死んでいるのに漫画賞授賞式に霊的なものとなってそこにいる。それに気付いているのは凛ちゃんのみ(当然ですが)。存命中、新人賞は自分が選んでいたこと。自分が選んでも瀧カイトが大賞にしたであろうこと。伏見くんはまだまだムケてないということ。そういったことを独り言のように語ります。聞き手は凛ちゃん。この場面、最初は何のこっちゃ!?と思いながら読んでいたんですが、沢村先生死んでると出てきて「おおっ・・・」となってしまいました。
漫画賞授賞式にやってきた元審査員長の大御所漫画家・・・の霊。意味深。あまりにも意味深。これは絶対に何かある・・・と思わせる1巻目でした。やはり何かの暗示でしょうか・・・?



2人の邂逅

この作品、ハロルド先生という実績ある漫画家さんが漫画家漫画を描いているというだけでワクワクさせられるわけですよ。何を描こうとするのか。何を見せようとするのか。絶対に一筋縄ではいかないのは明らか。1巻では伏見くんの現状、漫画がどれだけ好きか、どれほど漫画家になりたいか、リアル学園生活とのギャップ、ライバルの登場等々が描かれています。
漫画家を目指す少年がいる。特殊な能力を持つ少女が大漫画家の霊を見る。そんな2人が出会った物語。もちろん漫画家を目指す少年の物語というのが大前提ですけどね。普通の成長の仕方をするとは思えませんよ。担当さんが付いて、ネームを描いて読み切りを載せてもらって、連載をしたり。それだけの物語となるのだろうか・・・。




落ち込んだり




喜んだり


話は最初に戻りますが、漫画家漫画としてどう読むのか〜ということになるわけで。漫画家漫画というジャンルができて、というか某ジャ○プの作品が色々と裏事情を描いていたりするわけですよ。最近だと某別マガの班長がそこまで言っていいの?なんて事情を出してきたり、○○賞授賞式模様なんてのもあったりなかったり。昔に比べて漫画家さんという存在が表に出てきている昨今。
HOPEがきっとすえのぶ先生テイストで描かれるであろうことは1巻の時点で何とな〜く見えてきてます。きっと困難多い人生になりそうだなぁ・・・と。一方のRiNという作品。ハロルド先生+月マガという組み合わせを考えると、どうしても「成功する未来」を期待してしまいます。漫画家を夢見る少年が現実を直視する以上のもの、それこそ奇跡に遭遇しながら付きす進む物語を期待するわけです。というわけで、普通の漫画家漫画としてだけでは読まないことは必至。その期待に応えるからこそ月マガ作品なんですけどね〜(ハードル上げ
ただ、やっぱりハロルド先生から見た漫画家の成功物語という点は外せませんな。他にも、漫画賞受賞式はこんな感じなのか〜とか、もしかして伏見くんの境遇ってハロルド先生のものなの?とか気になったり。ハロルド先生って愛知出身なんですけど、伏見って名古屋の地名にあったり、伏見くんが愛知県にいるんじゃない?という描写があるようなないような。うーん、どうなんでしょうね。まぁ、今後何かしら出てくるでしょうし、編集さんが実在してたら面白いな〜とかも思ってたり。




さてさて。俺みたいなサラリーマン人生からすれば、漫画家さんというルートは結構大博打だな〜と思ってしまうわけでして。いや、自分の子供の頃からの夢を追いかけるって凄いじゃないですか。スポーツ選手や音楽系とはちょっと違った夢の追いかけ方だと思います。当たり前ですけど、俺は漫画が好きです。そして漫画家さんという存在には尊敬という概念以外ありません。というか、絵を描ける、絵という技術を磨いてきた方々に対して敬意を表する以外の何があるというのでしょう。
そんな“漫画家”という業種を描いた作品。そして、最高に好きな作家さんでもあるハロルド先生が描いているという事実。たまらない。この作品、たまらないよ・・・。とはいえハロルド先生の作品なので、長く長く見続けていってこそ楽しめる作品になるだろうなぁとは思います。1巻から盛り上がるには早かったかな・・・?この先、何年も楽しめると思うと楽しみで仕方ありませんが。2巻はまだかな〜。






何回読んでも泣ける、何回読んでも元気になる
この漫画がある限りおれは世の中に絶望しない

いきなりですが・・・漫画って本当に素晴らしいですよね。皆さんにとって、この一冊と言われたら何を挙げますか?“この漫画がある限りおれは世の中に絶望しない”と思える作品として何を挙げますか?漫画自体を読むのも楽しいですが、こういった自分にとっての漫画を語るというのもまた楽しいものです。伏見くんは漫画を描くのも好きですし、読むのも好きなようで。漫画という文化が好きなのが伝わってきます。
ちなみに俺はいくつも挙げていいという前提であれば「BECK」は入れてしまうでしょうね。また、「RiN」でも“俺のこの一冊”となることは間違いないなぁという確信めいたものがあります。ただ、まだ1巻なので、何回読んでも〜と言い切るには早いかもしれませんが・・・。何にせよ期待は大きいです。