近年まれに見る豊作回「四季大賞2012秋」



四季大賞2012秋

新年明けての感想となってしまいましたが、2012秋の四季賞です。新年明けてしまったからか、今年の雪の量、寒さが信じられないレベルであるためか、“秋”ですよと言われても不思議な気分になります。俺の知ってる秋じゃないや・・・(窓の外を見つめながら)。
しかしまぁ、今回の四季賞はすごかったですね!!毎回、好みに合わない作品があったりするものなんですけど、そういうレベルを通り越して、四季大賞、四季賞、特別賞全てが掲載レベルでした。豊作です。なお、毎回のように「10年に1度の逸品」「品質は前回より良い」「過去10年で最高と言われた01年を上回る出来栄え」とか言っているような気がします。




○四季大賞
四季大賞は赤星トモ先生の「思春期シンドロームが受賞



死ぬまえにセックスしたい

2〜3P、12話で構成された短編集。ただただ淡々と女子高生たちのちょっとしたお話が描かれています。男子高校生の考えていることなら分かっていますけど、なかなか女子高生が何を考えているか分からない。おお、そうか。この作品を読めば女子高生のことが分かる。女子高生と付き合うことができる。そんな気分にさせてくれる作品です(嘘です
2Pが基本なので、すごく読みやすかったです。それなのに、出てくる女子高生たちが個性的(?)で面白い。いや、これが本当の女子高生の考えていることなんだと思うと、とても清清しい気分になりますね。好きだった作品としては、地球最後の日に何をしたいかという話の中、同級生・後輩の前で「セックスしたい」と大人ぶってみた女の子の話がとても良かったです。そのあとで恥ずかしがる姿もGOODです。他には男は顔より中身だ〜というお話、本当は無理矢理にでもいやらしいことをされたい女の子のお話、昔仲の良かった男の子に彼女がいて云々・・・等々。12話あって、12の個性があって・・・。1つとして同じ物語がなく、よくまぁこれだけ描けるなぁと感心しきりでした。まさに思春期の塊です。
あと、作画がとても凄い良かったです!!アフタヌーンに掲載されていても不思議じゃな・・・って、どうやら掲載決定らしいですよ。さすがです。ちょっと気になるのは、もう少し長いページの作品だとどうなのか、連載だとどうなのか、長編ではどんなものを描くのかというあたりでしょうか。1冊まるまる思春期シンドロームというのも面白そうですけどね〜。





四季賞
四季賞は丈山雄為先生の「解体ザナフ」が受賞



解体ザナフ

ちょっとした衝撃作です。キレイでいてとても優しく、そして残酷で・・・。過去に殺人を犯したお肉屋さんのザナフと、お店の近くで泣いていた少女・アリスの物語。ザナフという男は普段の物腰の柔らかさとは裏腹に、好きになった女性を“切り刻みたい”という欲求を持つ異常な性格の持ち主。過去に好きな女性を切り刻んでしまい、20年も服役していました。もちろん異常であることは自身も重々承知であり、20年という刑期と引き換えに反省をしてきました。
ある日、店の前で泣いていたアリスを助け、一緒に暮らすうちに心が安らいでいくザナフ。しかし、母親に見つかり、その幸せな生活は終了してしまいます。なお、母親の命も終了してしまいますが・・・。まぁ、どういう話であったかは買って読めばいいと思います。何にせよ、幸せ描写と解体ザナフの描写のギャップがすごいです。あと、最後の最後で、ザナフもアリスも幸せそうな顔をしていたのが印象的でした。まぁ、あの終わり方だとアリスは後々泣いてしまうのかもしれませんね。うぅ・・・辛い。
絵柄を言えば、見ただけで中山敦支先生の影響受けまくりだなーと一瞬で分かります。どうやら元アシだったそうで、女の子のキラキラした表情なんかとてもソックリ!!現在はジャンプSQで連載を持っている実力派な丈山先生。いつか講談社で連載を持ってくれることを祈り続けたいと思います。もちっと言えば、この解体ザナフが本誌に載っていても不思議ではありませんでした。いや、本当に上手すぎて・・・。いっぺん読んでもらいたい作品ですよ。





○特別賞
特別賞は恵三朗先生の「彼女の鉄拳」が受賞



見ててね

元鉄拳、今JK。そんな少女たえのお話。昔は最強の空手少女としてすごしていましたが、高校生になり、出会った女子力高めの友人に合わせようとしている毎日。自分を隠しながら、でもちょっと窮屈で、だけど憧れた親友に追いつきたくて・・・。そんな生活を送っていたら、謎のロボが送られてきて、生活が一変してしまいます。なお、そのロボはイケメンで独立二足歩行する・・・お掃除ロボット
残念なことに、たえが殴ってしまったおかげでこのロボはドMへと変貌します。これがまた面白いというか、ド変態というかw イケメンなのに変態。うーん、何でこんなことになったんだwww ただまぁ、変態な部分を包み隠さないロボなだけに、たえの心境も変わっていきます。もちろん鉄拳なたえの姿を見ても当たり前のようにいてくれる友人たち。あぁ、いい友人を持ったな〜と思うわけですけど、兎にも角にもロボットの印象が強い作品だったと思います。
四季大賞、四季賞共に絵のレベルがビックリするほど凄いわけですけど、もちろんこの作品も負けず劣らず。絵がすんごいです。女の子が可愛いというのもありますけど、鉄拳シーン(たえによる暴力シーン)も迫力がありました。恵先生、何でもいけますやん・・・。なお、今月出るグフタの読み切りに登場予定とのこと。そちらも楽しみです!!