動かぬ北極星と育ち始める恋in島根「ナビガトリア・第1巻」



最後の恋が叶いますように

そうだ島根に行こう!
作品を読んで初めて知ったのですが、島根って“縁結び”で有名なんですね!やはり神さまが集まる土地は違いますな。有名な出雲大社があったりとご利益はすごそうです。片思いの特効薬?両思いの人たちにとっては末永い幸せを保証する?そんな土地・島根を舞台にした漫画「ナビガトリア」が面白いんです。いや、超面白いです。
田舎・・・と言い切ってしまうと島根の人に失礼ですけど、都会のように慌ただしくない土地で育む恋。また、田舎特有のお話もあったりと楽しいことになってます。もしかしたら恋したくなるかも?もしかしたら田舎に住んでみたくなるかも?苦労も多いけど、見つけたいものが何かあるかもしれません。とっても雰囲気の良い作品です。


いきなりですが・・・

いきなり主人公が騙されます。仕事に疲れ、都会の喧騒にも疲れていた主人公のこより。島根に住むというネットの友人に会いに行ったら・・・いませんでした。いや、正確には中の人が中学2年生の男の子でした。友達に会うつもりででかけたら、実は騙されていました。まぁ、その男の子自体は決して悪い子ではないんですが・・・。
遊びに行った家、野々村家には3人の兄妹とお祖母ちゃんが住んでいました。3兄妹はそれぞれ長男・昭、長女・梢、次男・実という名前で、図らずも騙してしまったのは末っ子でもある実。いや、東京にいるネットの友人に“島根においでよ〜”で本当に来る人なんていないだろ・・・という理論です。いや、確かに・・・。


酒グセ悪いんです

東京から年頃の女性が野々村家にやってきた。これが瞬く間に話題となります。特に長男・昭と近所中で恋仲であると、東京から彼女がわざわざ来てくれたと噂になります。で、野々村家で開かれる宴会中、酔っ払ったこよりが不用意なことを言ってしまうわけです。
「プロポーズまで済ませた仲でっす♡」
そしてこの言葉を信じる隣近所の皆さん。アンタ今日会ったばかりじゃないか・・・。なんつーことを言い出すんだ。酔っぱらいは怖いなぁ。いや、しかしこの瞬間、野々村家と、島根にノコノコと騙されてやってきたこよりの奇妙な関係が始まります。





お嫁さんになってあげようか

一生から見ればほんの短い時間ではありましたが、彼女が野々村家から得たものは大きかったようです。両親が亡くなった後、頑なに家と家族を守ろうとする昭。その昭に無理してほしくないと願う二人の妹と弟。何だかんだで昭を気にかけてくれるご近所の皆さん。
特に昭については、色々と思うところもあるようで。自らを北極星と呼び、皆の中心として動かないことを決意する昭。家族のためとは言いながら無理しているのも見て取れます。“仕方がない”。田舎に暮らしたことのある人間にとっては割と理解できるお話ではないかと思います。そして、そんな昭に対して、北極星だって微妙に動くんだぞ!と「お嫁さんになってあげようか」とこよりは言ってしまうわけです。まぁ、1巻ではお嫁さんになることはありませんが、この先・・・北極星の気持ちが動くことだってありえますからね。
ちなみに、タイトルのナビガトリア。これって北極星のことなんですよ。田舎で家を守ろうとする動かない昭=北極星としてこのお話は描かれます。






でまぁ、お嫁さん宣言の後、こよりは一旦東京に帰ります。仕事が嫌になって有休を取得。友人(だと思っていた人間)を頼って島根に行ったら、守りたくなる家族と一生懸命でどこか寂しそうな北極星に会った。そんな彼女が東京に戻った途端―











無慈悲なクビ宣言

こりゃもう島根に行くしかないな・・・。





そしてまた、一宿一飯だけだと思っていた島根に行きます。
雑誌的なお話ですが、末っ子の実に騙されて島根に行ったお話は読み切り掲載でした。BE・LOVEさん的に言うと「ワケあり才能シリーズ」。その中で、お嫁さんになることはなく東京に戻ったんです。で、本格連載を迎えるにあたり、こよりは会社をクビになってます。出会いもあり、クビもあり、そして本格的に・・・島根生活へ突入!!BE・LOVEさん曰く「いま、地方がおもしろい!」そうです。






友達と寄り道とかいいな

本格的に島根を舞台にし始めてふと気付いたんですが、なし崩し的に野々村家に居ついているんですよねぇ。このあたり、こよりと野々村家の関係性が面白いです。それだけ受け入れられているということでもあるんですが、こよりと昭の関係性は・・・どうなんでしょうねぇ。俺はニヤニヤして読んでますが。
一方、こよりと他二人の姉弟とはうまくやっているように見えます。例えば、家事全般を任されている梢がこよりに弱音を吐いている場面などが描かれます。昭曰く、梢が弱気な部分を見せたことはないのですが、こよりには言った、言ってしまったわけで・・・。両親が亡くなって10年以上、家事をやってきた梢は、同い年の子たちが過ごしたような時間を持っていない。そんな子がずっと誰にも言わなかったであろう悩みを言った。長い間ちょっとずつの無理を続けていた家族が変わろうとしている?偶然やって来たこよりが何かしてくれそうなしてくれなさそうな・・・。



あるからいたいの

というわけで、1巻では島根に長居することを決めるところまで描かれます。昭からは何もないと言われますが、それに対して「あるからいたい」と言い切るこより。実や梢たちに無理矢理行かされたデートでの一幕だっただけに、ちょっと・・・照れますね(〃´・ω・`)ゞえへへっ♪






別に世界を救うようなお話でもないですし、これぞ青春!という作品でもないです。本当に田舎のとある家族に起きた出来事を描いています。でも、なぜか惹きつけられる面白さがあります。俺も田舎に住んでいたからこその共感部分があるのかもしれませんし*1、こよりという女性の性格が面白いのかもしれません。偶然行った土地に住みつく東京の女性という設定が俺はとても好きです。
2巻予告では何やら恋模様に不穏な空気が出ているのも◎。とりあえず、2巻が出るまでに俺も島根で縁結びしてこないといけませんね。そうだ島根へ行こう!!




話の途中にちょっとだけ描かれる、島根・・・というか田舎でのあるあるが面白かったです。確かにテレビのプレゼント応募はとっくに終わってたりしますよねw

*1:人に言わせれば田舎ではないと言われるので、上には上がいますが