無感情という圧倒的な個性がすごい、何かすごい「犬神もっこす・2巻」
裸の大将ではありません
モーニングで連載中の謎漫画、「犬神もっこす」の2巻が出ました。謎です。謎です。謎すぎます。でも、シュールなギャグを武器に、とてつもない破壊力を持った作品になっています。
西餅先生はハズレくじ?
表紙裏での一幕ですが、作者の西餅先生は担当さんに「ハズレくじだと思って声をかけた」とハッキリ言われています。これが連載直前のお話。今ではアタリくじになったんじゃないですか??なかなかこれだけのシュールな作品は作れませんよ。一言で言えばカオスな作品です。同じく表紙裏にて描かれる過去のお話を見るに、かなり斬新な生き方をしてきた方のようです。そんな西餅先生だからこそ「犬神もっこす」が描けるんだろうなぁと思ってみたり。
まぁ、ぶっちゃけた話、登場キャラクターの7割が変人ですし、作者の西餅先生も変人なんですよきっと。
演技の練習中(パーソナルスペースの測り間違い)
この作品は犬神くんという不思議な性格をした青年が、色んな人に出会いながら成長し、そして周囲に迷惑をかけまくるというもの。そもそも彼には感情の起伏がありません。基本的には無感情の無表情。笑いもしないし、泣きもしない。ただ、考え方は地味に哲学的。
そんな彼が演劇に目覚め・・・てはいなけど、興味を持ちます。演劇とは当然のことながら何かを演じることです。そこには素の自分ではない何かになりきる行為が必要となります。しかし、人生の引き出しもなければ感情の起伏もない。いや、だからこそ演劇を気に入ったのかもしれません。まぁ、そのせいで周囲はまともに演劇の練習も、いや本番すら向かえられていないようですが・・・。
好みのタイプはヤリマンです
なお、なんと2巻にして犬神くんが合コンで出かけています。彼にとっては人と過ごすほとんどの出来事、出会いが新鮮に映るはずです。そんな犬神くんにとって合コンとは・・・。というか、俺も実は合コンって行ったことないからよく分かんないんだ(〃´・ω・`)ゞえへへっ♪
ちなみに合コンの提案者は犬神くん自身です。演劇の中で「恋愛」という部分に興味を持った異星人・・・じゃなかった、犬神くんが一人一人とデートするのは非効率だから合コンしようぜ!と言いました。この時点で下心は一切ありません。ただただ「恋愛」という犬神くんにない項目に興味を持っただけ。こんな大学生はなかなかいませんし、いてほしいとも思いません(←
で、合コンを呼びかけた張本人が来てきた服が裸の大将。尚且つ合コンの中で「ヤリマンに理解を示す」という結果に・・・。じょ、女性の生態について少しは理解できただけ犬神くんにとっては有意義な会だったかもしれませんね。ヤリマンの理屈が腑に落ちる、ヤリマンの生き様に根本的な魅力を感じる。それが分かっただけでも有意義だった・・・の?ホントに有意義だったの!?
基本的にはお金です
彼の数少ない基本理念は“お金”です。それだけ彼は人間の本能に忠実なのかもしれません。そして、本能のおもむくままに生きているためか、本能の外側にある事項に対してはわりと手厳しいです。
あと、どんな時でも屁理屈だけで話を進めるあたりはすごいです。全てが屁理屈で完成されていますからね・・・。演劇の男性講師に対し、恋愛は性欲であることを説き伏せ、女性講師に対しては恋愛とは条件で成り立っていることを論破します。全て屁理屈で。ただ、感情を見せずに淡々と説明されると、確かにそうかもしれないと思わされるんですよねぇ。正論が全てではないという反面教師にすべき男ですよ。
演劇の真髄へ・・・
演劇に出合い、大学の演劇をめちゃくちゃにした1巻。武者修行(?)のために九州から東京へとやってきた2巻。東京で大暴れな犬神くんでしたが、大切なものに出合い(食品サンプル購入)、愛に目覚め(くまもんが好きだったことを思い出した)、合コンも経験し(ヤリマンに共感する)、本物の演劇を鑑賞するなどの経験をしました。・・・あれ、演劇見たくらいしかまともなことをしてないぞ??いえいえ、演劇修行の締めくくりとして、仲間と一緒に舞台稽古をすることに。
2巻は舞台の途中で終わってしまっていますが、犬神くんはロクでもないことしかしていません。というか、犬神くんの先輩でもある夏目ちゃんが・・・アドリブでやろうとか言うから・・・あんなことに。練習は一切なし。全て本番に賭けました。だからって急に“生きることとは何か”を探り始めるかかよ・・・。さて、この劇はどこに向かうんでしょう。3巻が非常に楽しみです。
シュール。作品を一言で言うならシュール。ただ、そんな一言で語るには惜しい作品でもあります。いや、そもそも一面的なものでは表現できませんね。・・・そんな作品が犬神もっこすです。お腹が空いたからラーメン作ってと頼んだら、水で戻した乾燥ワカメだけをお腹いっぱいに詰め込まれた感じです。その上で、安くて腹いっぱいになれば何でもいいだろと言われた感じ。伝わりますか?伝わった人は握手。伝わらなかった人、とりあえず読んでみてください。この作品、説明しづらいですから。
作中には1ページに1つ以上のギャグが入り込んでいます。嘘です。すいません、言い過ぎました。でも、それくらいの意気込みで描いている・・・はず。本来なら、犬神くんって・・・オチ担当の大ボケなんでしょうけど。大ボケだけでグイグイ行く作品って・・・何か逆にすごい。読みごたえというか、噛みごたえがある作品です。犬神:変人:ツッコミ=7:2:1。これ犬神もっこすの常識ね。1話でも読んでみて笑いのツボがあえば絶対楽しい!!オススメです。
あと2、3歩内容に突っ込んでもよかったけど、きっと犬神もっこすの良さを伝えきれないのと、勿体無い気がしたので。このあたりで。