君の思い出になれないから「ノラガミ」



ノラガミ4巻の表紙は小福ちゃん

月刊少年マガジンで連載中のノラガミの4巻が出ました。表紙は小福ちゃん。パンツが見えないように感じるかもしれませんが、じっくり見れば見えてきます。ただ、本屋で表紙をガン見してはいけませんよ。通報されるかもしれません(←ちょっとしたアドバイス
なお、この小福ちゃんですが・・・ただの貧乏神です。七福神や鶴亀が表紙のバックにいますけど、彼女はそれらの幸福を無しにできるレベルで周囲は不幸になります。まぁ、可愛いからいいよね。




4巻からは毘沙門編

ノラガミは“あの世”と“この世”の物語。“あの世”と“この世”って全くの別世界なのかと思いきや、実はそれらは平行して存在するそうです。主人公の夜トを含めた登場人物のほとんどがあの世の存在。普段は干渉できないはずのあの世の世界。しかし、悪い気が集まるとこの世へと悪影響を及ぼします。それらを主人公の夜トがスパッと解決・・・してるはず。
ちなみに夜トは神様です。末端の末端の神様です。表紙の小福のような貧乏神もいます。学問の神様だったり、毘沙門だって登場したり。
毘沙門なんて超有名じゃないですか。そんな毘沙門と、末端神様の夜トとは色々あるようですよ・・・。4巻以降の肝はそのあたりです。





ひよりの思い出になれない

さて、あの世には神様はもちろん、幽霊、悪さをする妖なんてのもいます。生きたまま魂だけが抜け出てしまう体質になったヒロイン・ひより。夜トの従者であり武器となる雪音君。様々なキャラクターが登場します。彼らは全て人の姿をしています。というか、人そのもの。
3巻では雪音君が暴走しています。元々は人の子。訳あって死んでしまい、夜トと一緒に行動しています。しかし、中身はただの少年。死んでしまい、生きている者への妬みが大変な出来事を引き起こしています・・・。
そして4巻で気付いてしまいます。夜トと雪音君はあの世の人。ヒロインのひよりはこの世の人。滅多に関わることができなかった存在同士ですが、ひよりの特異体質により関わりが深まっていきます。仲がよくなっていけばいくほど、存在の違いに愕然とさせられます。夜トは神として長く生きていますが、ただの少年でもある雪音君にとっては辛い辛い出来事。




思い出とは・・・

あの世の存在はあまりにもあやふやなものなんです。いつの間にか忘れてしまいます。もしかしたら皆さんも会っている可能性があります・・・が、あの世のことは忘れていくんです。
ある日、雪音君は毘沙門の従者と友達になります。見た目も同年代のためすぐに仲良くなり、彼が木や花の手入れをせっせとしているという話を聞きます。その手入れは30年間にも及びます。それはたった一人の女の子のため。毎年会いに来てくれる少女のため・・・。
その従者の少年、鈴巴(すずは)君?さん?は夏休みに会いに来る女の子と毎年、毎年、毎年待っていたんです。



「花のことはよく覚えていて毎年キレイだと言ってくれたけど






・・・・オレのことは毎年忘れた」



同じ女の子が自分のことを忘れている。向こうは毎年が初恋。鈴巴は毎年が失恋。・・・辛い。そしていつの間にか、その女の子もやって来なくなります。
この世とあの世は同じ世界に立っています。しかし、時間と記憶は一緒ではないのです。そういう意味で、雪音の「ひよりの思い出になれない」と泣く場面がよく分かるかと思います。鈴巴の愛した少女は来なくなりました。ひよりは勝手に成長し、結婚したりするかもしれません。しかし、雪音君は子供の姿のまま去っていくひよりを見続けるだけ。





夜トも・・・

夜トや雪音という生きてない存在、ひよりという生きている存在の対比。毘沙門従者の悪巧みによる毘沙門下ろし。毘沙門と夜トとの因縁。夜トの謎・・・等々。色々複雑なお話になってきています。4巻で一番気になったのは、夜トの謎の部分なんですけどねー。父親が実は・・・という描写もあったり。主役でありながら不思議な存在です。
雪音もそうでしたが夜トもひよりに対して色々と思うところがあるようです。いつか忘れられてしまうかも。ただ、忘れらてもらいたくない。あまり一緒にいればいるほど、生きている存在であるひよりには良くないわけです。そんなわけで、ひよりには自分に関わるなと言うようになりました。twitterではリプ飛ばしまくりですが・・・。神様よ、それでいいのかい?




作者のあだちとか先生は絵がキレイですよね〜。前作は原作付きでしたけど、今作からのお話を作るという点でもなかなかいい物語を作ってるな〜と感じます。月マガ連載陣の中でも珍しく、切ない気持ちにさせる作品です。ちょっと泣いてしまいます。
来年の講談社漫画賞四月は君の嘘と票が分かれるんじゃないでしょうか。もちろん希望的観測ですけどね。次巻も楽しみです。