子供世界の処方箋「放課後カルテ」



未来ある子供を救う最後の砦

BE・LOVEで連載している「放課後カルテ」が面白い。ものっっっっっっっすんごく面白い。ちょっと違った日常を描きつつ、ありえそうな日常であることを魅せてくれます。舞台は小学校。小学校の日常生活で起き得る子供たちの事故、病気を保険医の牧野先生が解決していく・・・って作品でもないなぁw
前提としてですが、あくまでもこの作品は通常の医療作品のような難しい病気に立ち向かったり、命のやり取りを描いたものではありません。むしろそういったことが起きない事を注意喚起しているような作品だと思っています。日常生活8割、医療2割といったところでしょうか。帯文にある”未来ある子供を救う”作品です。




簡単に死んでしまう

ところで漫画に出てくる保険医というと女医、しかも高確率でセクシーさんなんですけどねぇ・・・。どこにいるんでしょうか?まぁ、俺の子供時代はおばちゃんだったんですけども。どちらとも違いますねぇ。
子供の頃にやった遊びってどんなことをやりましたか?危なくありませんでしたか?ただ、子供にとって危ないことって冒険や遊びなんですよ。例えば高い壁から飛び降りる”遊び”。放課後カルテ2巻ではそんな遊びをやって気胸(肺に穴が開く)になっています。子供の冒険心を遮るわけではありませんが、何があるか分からないのも事実。・・・ただ1つ。困ったら牧野先生に頼ってほしいということ。
この作品ではこういった話題に溢れています。そして、作中で最も特徴的なもの。例えば「こんなこともできないのー?」「仲間はずれな」といった言葉。こういった言葉が危険へと誘います。・・・・そういった時の子供たちの”やらなきゃいけない”って気持ち分かりますよね??




メニエール病

同じ学校に病気の子がたくさん出てくるのは多少ご愛嬌。そういう漫画ですから。
2巻ではメニエール病の子が出てきます。メニエール病というとめまいや難聴が起きたりする病気ですね。一生懸命勉強しようとしても、練習した逆上がりをやってみようとしても何も出来なかった少年。逆に自分がダメダメなんだと無理して頑張ろうとする姿がねぇ・・・泣けるんですよ。周囲、例えば担任教師なんかは「ナイーブ」としてしか見ていませんでした。もしかしたら見過ごされていたかもしれない病気を牧野先生が見抜いています。


こうやって書くと牧野先生が、仕事の真面目な熱血保険医として見られるかもしれませんけど、そうでもありません。というのも、元々は本職のお医者さん。病院でも顔なじみがいるレベル(←このあたりは気になるお話だったりしますがw)。なお、子供に優しくするような先生ではありません。学校の先生としてのお仕事もあまりやりません・・・。





看護する自分を演じる・・・?

そんなこんなで、あまり良くない噂も出てきたり。ちょっと自業自得?かと思いつつ、本当はいい先生なのでね・・・。挙句の果てには”セクハラ”なんて言葉も出てきたり。子供の大人に対する噂って本当に怖いですよ。何を言われるか分かりませんし。


啓ちゃん

なお、2巻ではこの啓ちゃんが騒動を起こしています。というかこの啓ちゃんが牧野先生の悪い噂を流しています。「保健室にいっちゃダメ」だなんて・・・ねぇ。もちろんここでも「行ったら仲間はずれ」的な話題が出ています。あぁ・・・子供世界は怖いですね。
どうして啓ちゃんがこんなことをしたのか。子供のイタズラにしては行き過ぎている感もありますが、もちろん理由もあります。その話もまたとても素敵な話に繋がりますんで、是非是非ご確認いただきたいものです。少し先述しましたが、牧野先生には病院で働いていた過去があります。どうして保険医をしているのかは不明のまま。啓ちゃんの話題は少しその部分に触れています。
啓ちゃんのためにも補足しておきますが、啓ちゃんはとてもいい子です。いつも優しくしてくれるおばちゃんが倒れたときに、逃げずに助けようとしていました。泣きながら「だれか・・・」と助けを求め、求めた先が牧野先生というのが・・・ね。きっと牧野先生の言葉が届いたんでしょう。


「命を軽々しく捉えるな」


「苦しいときは必ず診せにこい」



牧野先生は命を大事にするいい先生です。ぶっきらぼうで、子供に優しくない。いや、もしかしたらそう見えるだけかも??まぁ無愛想ではありますが、本当にいい先生であり、とてもとても優しい作品になっています。
性格?は色々あるかと思いますが、こんな保険医がいてくれたら安心できます。子供がいたら牧野先生がいる学校がいい。きっと安全と、そして成長するのに大切なことを教えてくれる気がする。そんなオススメ作品です。