動き始める音と時間と恋心「四月は君の嘘」

今一番泣ける漫画は何かと問われたらきっと月刊少年マガジン地震のハナシ」と答えるでしょう。作者はあの悪名高き佐佐木勝彦先生。月マガで最もやんちゃをしてた漫画家さんですが、面白いけれどもあまりの毒の強さに好き嫌いがあったかと思います。ちなみに俺は大好きです。
その佐佐木先生の実家は東北。そんなわけで現在、あの大震災で被災した実家を訪ねて実録の漫画を描いています。やんちゃをしすぎていたギャップからか佐佐木先生の描く実態が全て本当なんだなと実感してしまいます。これがリアルか・・・と、被災者たちの本当の声ってこれほどにリアルなのかと、涙が出てしまいます。この漫画を毎月読むことの方が、下手なテレビを見るよりよっぽどいい。



さて、そんな月マガですが、あの名作、あの傑作が読みきりで登場しています。



Mr.釣りどれん・海

フィーッシュ!!という叫び声に見覚えがあるでしょうか。
「あきら翔ぶ!!」「DANDANだんく!」「ホームセンターてんこといった作品で有名なとだ勝之先生の描く釣り漫画「Mr.釣りどれん」が読み切りで大復活です。特にあきら、だんく、ミス釣りの3作品はそのスポーツに興味がある人もない人も夢中にさせました。まさに子供の憧れ的作品です。
また、ホームセンターてんこは編集ではなく作者さんが売ったという新しい扉を開けた作品でもあります。とだ先生とは、新しい試みをしつつ、読者をドキドキワクワクさせてくれる漫画家さんです。

無印ミス釣り時代が連載された時、ルアーフィッシングブームが巻き起こりました。かくいう俺もその1人です。ミス釣りを読んでロッドやリール、ルアーを集めましたね。ああ、全てが懐かしい・・・。



カイザーがいる!?

とだ作品の特徴でもある、「ドキワク感」という点はしっかりと押さえています。シーバスを狙う主人公と、それに興味を持ち始めるヒロイン。素人同然のキャラが興味を持つからこそ読者も興味が持てる。それを実践した作品がとだ作品です。しかし、カイザーが出てくるとは思いませんでしたね。ああ、懐かしい。もしかすると連載化もありえるんでしょうか・・・。楽しみです。





釣りどれんが復活したら月マガの陣容もより強固になるなぁとホクホク中です。そんな月マガの中でも今一番注目しているのが四月は君の嘘です。
作者の新川直司先生といえば「冷たい校舎の時は止まる」の作画とさよならフットボールを描いた方です。さよならフットボールで魅せた少女の強い想いと、そしてあの気持ちのいい表情にしてやられたものです。
今回の「四月は君の嘘」はボーイミーツガールな物語。昔はピアノの才能に溢れていた主人公の有馬公生。友人・渡亮太のデートの付き添いで宮園かをりと出会いますが、そのかをりに一目惚れ・・・?してしまいます。かをりの無垢な笑顔、そして彼女が操るヴァイオリンに魅せられはするものの、彼女が好きなのは友人渡亮太という・・・。



ケーキに夢中なかをりちゃん

いや、もう可愛いっす。ケーキに喜び、子供と無邪気にお話し、猫と見るや飛び込む。これで女子高生というんですから、文句なしの完璧美少女。何で新川先生の描く女の子ってこうも可愛いんだろうか・・・。ふぅ。
今月号の話にあった、有馬がかをりちゃんをどう思っているかを表現した言葉がとても新川作品の女の子を表現していると思うんですよ。

食べ物に恋をして、日常のささいなことに恋をして、ヴァイオリンに恋をして、音楽に恋をして・・・。だから君は輝いているのかな―。これはたぶん憧れっていうんだ、きっと。

輝いている少女に恋をしてしまう。憧れてしまう。そんな少女を描けるのが新川ヒロインの最大の魅力だと思います。


そんなわけで、主人公の有馬が夢中になるのもよく分かります。まぁ、現状は一方的すぎてどうにもなりませんけどね。第1話にて公園で遊ぶかをりちゃんを盗撮(まがい)していた有馬。最初っから変態扱いされており、今回の話に至っては”友人A”だそうです。友人Aて・・・。



君は私たちの憧れだもの

しかし、不思議なことに友人Aだと言った有馬のことをかをりちゃんは昔から知っていました。それもそのはず。有馬は本当に小さい頃は天才のような存在だったそうです。ヒューマンメトロノームと言われたほど正確な演奏をし、8歳にしてオーケストラと共演するほどの神童。
そんな有馬をかをりちゃんは「憧れ」だと語ります。お互いがお互いを「憧れ」という不思議現象です。もちろん多少なりとも意味合いは違いますがね。




友人Aを伴奏に任命しちゃうぞっ

有馬は途中で自分のピアノの音が聞こえなくなるそうです。きっと精神的なものが大きそうです。有馬が今ではピアノをやめてしまった理由です。
そんな有馬を今度のコンクールの伴奏に選んだかをりちゃん。同じ学校だった、新しく友達になった、ちょっとお話した程度で選ぶようなものではないと思うんですよ。ましてや今の有馬はポンコツです。そんな簡単に選んでいいんでしょうか。また、有名人であった有馬を知っていたのに友人Aと呼んだりと不思議なことだらけです。自由人と壊れたヒューマンメトロノームとのコラボ・・・か。


ただ、弾けなくなった有馬のピアノがもしかしたら・・・という部分で楽しみです。さらに言えば恋も動き始めるかも・・・?宮園かをりという少女を中心にした恋物語に今後も期待です。かなりオススメ。




今年中に1巻は出てほしいね。