2つの吹奏楽部漫画を読みながら・・・

実は吹奏楽が好きです。昔からというわけではないんですが、所さんの番組で高校の吹奏楽部が色々と取り上げられてるのを見てからというただのミーハーです。生徒一人一人が面白かったし、頑張ってる姿も好きだったし、泣いたり笑ったりの青春が詰まってて本当に好きだったんですよ。そういう意味では吹奏楽というよりは、吹奏楽部の人たちを気に入ってるのかも??

ところで、最近2つの吹奏楽部漫画が終了しました。一つはジャンプSQで連載されていた「放課後ウインドオーケストラで、もう一つが週刊少年マガジンで連載していた「暴走系吹奏楽列伝 ブラボー! Brass Boy」です。連載開始は前者の方が早く、最終巻もちょうど今月発売しました。ブラボーの方は先月終了しました。

放課後ウインド・オーケストラ 1 (ジャンプコミックス)

放課後ウインド・オーケストラ 1 (ジャンプコミックス)

ブラボー!(1) (講談社コミックス)

ブラボー!(1) (講談社コミックス)


男の子が主人公の作品で、女性との出会いから物語が始まる、主人公とヒロインがトランペッター、ライバル高がある、タイムオーバーで失格な話があったり・・・etc。まだまだ探せば出てくるんですが、何か似てるんですよ。いや、別に似てることに対しては特に何も無いですよ?むしろ、少年誌で吹奏楽系漫画をやるとしたら、これらの展開って王道だと思いますし。


むしろ気になるのは相違点です。


まずは簡単に作品の内容を紹介しておきます。
放課後ウインドオーケストラは、主人公の平音佳敏が潰れていた吹奏楽部を再度復活させるお話です。本当は地味で特技も授業中に気配を消すという主人公なんですが、部を復活させたまま部長までやってしまいます。ヒロインの藤本鈴菜や、有名トランペッターの月川海澄たちと一緒にたどたどしいながらも、部として成立させていくわけで。一緒に演奏をする同級生や先輩のキャラが濃いため、なかなか主人公としては目立ちませんが、皆でやることの意義だったり、上手くやるため、音楽を楽しもうとする姿勢だったりを魅せてくれます。特に皆で創る音が大切なんだよっていう話の作り方が好き。そして、絵が好き。


もう一つのブラボーですが、主人公の鳴海克が自分でも知らなかったトランペットの才能を高校で開かせるお話です。すんごいヘタレ主人公ですが、トランペットを吹かせると皆を圧倒させる音を出します。挙句にはライバル高の先生からは暴走トランペッターと言われる始末。ただそれを武器として全体の音を作り上げていく展開は結構いい。ちなみに、あひるの空日向武史先生も巻末コメントで絶賛してました。絵や話の作り方は荒削りですが、作者の鶴ゆみか先生にはまた別の作品で会いたいものです。その時は無駄なエロは無くしてくれると嬉しいです。



どちらにも言えるのは、主人公が部の中心であることです。しかし、読んでいるとその違いがよく分かります。ウインドは皆を後ろから押していくのに対し、ブラボーは先頭に立って引っ張っていきます。皆を前に進めていくのは一緒ですが、その違いが作品に与える影響は大きいです。


例えば、ウインドは本当に「皆の音」を大切にしています。それを端的に現しているのが、海澄というキャラだと思います。本当はプロを目指しているのに、成り行き上、部活動を手伝います。最初はヘタになると嘆いていたんですが、皆でやることにも大きな意味があると自覚していく流れは秀逸。他にも楽器は初めてだよって人間がだんだんと吹奏楽を好きになっていったり、先輩が後輩に教えること教わることの大切さを気づいたり・・・。これって、主人公が後ろに一歩引いているからこそ周りの関係が見てとれるわけです。


一方で、ブラボーは終始吹奏楽をやっています。演奏中に慌てたり、楽器をどう扱えばいいのかをウインドに比べて多めにやっています。その中で自分達の音を先生を中心に作り上げていくという、音楽モノとしては王道を進んでいます。主人公の鳴海が徐々に中心となっていくわけですが、それこそ先頭に立っている証拠かと。



こうやってほとんど同じ設定でも主人公の置き方でこうも見え方が違うのは面白いなーと思います。ちょっと魅せ方は違いますが、それでもやってること伝えたいことって一緒だったりするのも興味深いです。どちらの作品を読んでも、あの時見たテレビを思い出します。そして、青春っていいなーという感覚も甦ってきます。読み比べてみるというのもオススメですし、片方を読んでも楽しめます。どちらかといえばウインドの方がいいかも・・・。何か思い出したい方はどうぞ。


そういや文系のチームプレーってなかなか無いよね。