スポーツ漫画という名のレース

皆さんは共振という現象を知っていますか?
Yahoo!の辞書では
「振動体に固有振動数と等しい振動が外部から加わると、振動の幅が大きくなる現象」
・・・とあります。理科の実験で2つの音叉が共鳴するところを思い出してくれればOKです。
いきなり何を聞くんだと驚かれるかもしれませんが、
実はこの共振という現象、乗り物においては非常に邪魔な存在だったりします。
例えば自動車で走っていて、急にタイヤに共振現象が起きるとガタガタして走れなくなります。
自動車ではわざとこの共振現象を回避するような構造を取っているそうです。


前置きが長くなってしまいましたが、私はスポーツ漫画と自動車は似ている思っています。
自動車は、ある目的地に向かって進んでいく乗り物です。
直進だけではなく、右から左、障害を乗り越えて突き進んでいきます。
それはスポーツ漫画も同様で、優勝、勝利、引退・・・といったゴールに突き進んでいく作品ばかりです。
そこまでにはたくさんの障害が待ち受けており、それを乗り越えながら辿りついた時に達成感が芽生えます。


しかし、冒頭に述べた共振が起きてしまったらどうでしょうか?
走れなければゴールに辿りつくまでがとても困難になり、挙句の果ては到着しないことも・・・。
困難な道のりでゴールに届かないのであればまだしも、自己の欠陥でたどり着かないとしたら―。




では、スポーツ漫画にとっての共振とは???
それについては、読者に先の展開を読まれることだと思います。
スポーツ漫画ほど展開が読みやすいジャンルはありません。
なぜなら「主人公が勝利することこそが至高」としているのがスポーツ漫画だからです。
ピンチを作りやすく、逆転しやすい。状況を理解しやすいことも展開が読みやすい理由になりますね。


だからこそ、面白いスポーツ漫画は真っ直ぐ進み続けるわけです。
そのためにはどこかで共振をずらす必用があるわけで。



例えば、今一番面白いスポーツ漫画とも言えるジャイキリ。
ジャイキリについては自分の勝手な解釈ですが、リーグ戦をメインに描いていることが大きいように思います。
高校サッカーのように勝たなければいけない、優勝しなければいけないという点をずらしています。
その他にも、理由のある強さ=戦術が光っていることもあると思います。


少女ファイトは人間としての成長物語を全面に出すことで共振をずらし、
我らがスマッシュ!は恋愛を用いることで共振させていません。
同じくジャンプのダイヤのAは主人公のワンマンチームではない、強いチームにいるという手法です。
ベイビーステップは弱者のメンタルや着実な成長により、地味な共振だけさせて読者に気付かせてません。
ジャンプにあるアイシールドなんかは、アメフトという読者が知らないジャンルというのが強いですね。




逆に共振しまくりじゃん!!と思われながら人気のある漫画についてですが、
例えば某メジャーなんかは共振とか気にならないくらい、進む道が困難なわけですよ。
共振外しの漫画がF1なら、メジャーはダカールもビックリのオフロード仕様です。右も左も関係ありません。
読みながら展開を予想は出来るものの、笑えるほど苦境が多すぎます。
このタイプのスポーツ漫画は多いですね〜。まぁ、こういう作品を好きな人もいるということで・・・。




王道王道と言いつつ、ありきたりな内容の作品には燃えません。
読んですぐに打ち切られるなと思ってしまったスポーツ漫画も同じです。
トンデモとリアルについて一度書きましたが(http://d.hatena.ne.jp/toldo13/20081118/p1)、
これについては読む人の好みが出るので今回のお話にはそこまで当てはまりません。
ちなみにリアルなスポーツ漫画が私は好きです。





結局、次はどうなるんだろう??と思わせたスポーツ漫画は面白いです。
それはスポーツ漫画の持つ前に進もう!という力が強いからです。
困難を乗り越え、そしてその先に待つゴールを目指してスポーツ漫画は突き進むわけです。


これほど多くのジャンルが掘り下げられた漫画もありません。
それでもまだまだ面白い作品がたくさん出てきているのはすごいことだと思います。
私はスポーツ漫画が大好きです。これからも面白いスポーツ漫画が読みたいなぁ!!オッケーイ!



あ、ちなみにスマッシュ!が面白いよ。