首から下は人間、首から上はセミ「蟬丸残日録・第1巻」



セ・・・・







セ・・・・








セミだああああああああ!









感じろ、この圧倒的セミ感を

出ました。ついに出てしまいました。講談社界のMAD MAX”と名高いツナミノユウ先生の「蟬丸残日録」の単行本が出ました(勝手にMAD MAXだと呼んでます)。同日に「つまさきおとしと私」という作品も出ているのでそちらも読んでもらいたいのですが、とにかく面白い。ツナミノユウと書いて「天才」と呼びたいほどに面白い。
物語を楽しむというよりは、シュールさがとにかく突き抜けてます。以前、「彗星継父プロキオンhttp://d.hatena.ne.jp/toldo13/20130202/p1)」という継父とヒーローの狭間で悩む青年の物語をやっていましたが、その頃からずーっと人間の内面の悩みを描くのが上手いです。悩みとか陥る状況のほとんどがあるあるだったりもしますが、そこからの葛藤、そして暴走へ。そんな流れがお約束のように広がっており、シュールさが一層引き立てられるわけで。


セミになった男の物語

それでいて、何かしらのアクセントをつけるのが非常に上手いのがツナミノユウ先生です。まさかアクセントが『セミ』だとは思いもしませんでしたが。
主人公の蟬丸は、朝起きたらセミになってました(主に顔が)。笑い飯の「鳥人」を思い出すような設定ですが、鳥人のように謎のインコを持ってきたりネギマを食べたりはしません。いたって普通の人間です。むしろ会社ではあまり目立たない部類・・・・だったにも関わらずセミです。
まぁ、想像してみてくださいよ。朝起きたらセミですよ????しかも顔だけ。あと、ちょっとだけセミの生態が出てきます。人:セミ=7:3くらいではあると思いますが・・・・。ただそうなってくると、セミは一週間しか生きられないわけじゃないですか。セミとなった蟬丸も同じだと思い、まずはPCの整理なんてのをやったりするわけです。






一週間すぎてた

まぁ、死なないんですけど。
7:3と言いましたが、寿命的には7(人側)だったようです。しかし、いつ死ぬか、死んでしまうのかを葛藤しながら生きることになる主人公。このちょっとした葛藤すらも面白いのがこの作品です。自分が死なないということは特に問題ないのですが、周りがソワソワしてしまったり、そのソワソワに気づくセミ野郎とか。俺だったら耐えられないよ、この状況・・・・。


寛容さ・・・・

良いこと言ってる雰囲気出してますけど、飲んでるのはハチミツですからね。あと、この主人公がかなり小者なのは・・・・まぁ読んでください。小者でありつつ、“何か良いことを言いたい”病にもかかってますので(笑)。個人的に一番気になってるのは、ラーメンをどうやって食べたかです(描写はないけど皆が驚く)。作中最大の謎とも言えますが。





ツンデレ上司

なんだかんだ周囲も馴染んできてるのが何とも言えません。特にお気に入りは上司さんですかね。ツンデレ女上司です。しかも年齢は蟬丸よりも下。そんなこともあり、部下(蟬丸)との接し方にも悩んでいます。年上が部下というだけで悩みの種なのに、なんかセミになってた、セミなのに生き続けてるわけですから。色々重なりつつ悩んでいるご様子。とはいえ、年齢に関係なく出世しているということは優秀なのだろうと思います。あと、可愛いしね。




1話目を読んでから瞬時に好きになってしまった作品です。今度紹介する(であろう)つまさきおとしと私と含め、かなりクレイジーな感じがすごい。そもそもセミという設定が謎。それを受け入れる周囲も謎。セミだからこそ起きうる様々なことがすでに面白い。何でセミになったのだろう?という疑問が全く浮かばないのも不思議な魅力でしょうか。あれ?何でセミになったんだ?←今更
ずーっと言い続けてますが、ツナミノユウ先生は天才です。今作もさることながら、前作なども超オススメ。今押さえておくべき作家さん、漫画ですよ!オススメ〜。