B級グルメの先駆け的漫画復活!!「駅前グルメの歩き方」



おしながき

99年から2005年までモーニング系にて連載されていた「駅前の歩き方」がリニューアルして「駅前グルメの歩き方」として復活しました。扱う料理のほとんどが今では有名になっているものばかりですが、B−1グランプリ(B級ご当地グルメの大会)が2006年から始まっていることを考えるとかなりB級を先駆けていたように思います。
なお、当時は8品でしたが、リニューアルということで描きおろしが1本入っています。そのためか、なかなか分厚い1冊となっていますね。




第2話 かき揚げソバ

料理を食べる系の漫画はやっぱり、料理の見た目、食べる人の表情がとても大切だと思います。最近だとネイチャージモン推してしまいたくなりますが、なかなかどうしてこの漫画の描写も全く色褪せないものがあります。時代は変わっても食べ物の美味しさは変わらないということでしょうか。
9話、つまり9つのグルメが紹介されていますが、例えば静岡の富士宮やきそばはB−1グランプリで優勝するほど有名なほど美味しいB級グルメも紹介されています。中でもかき揚げソバの話が好きなんですけど、かき揚げと甘めの汁がよくあうんですよね!!夜中に読んだら絶対にお腹がすく話です。主人公が言った「ただ単に・・・ウマイ」という一言がなかなか・・・。





テーマは常食

人気作家の花房徹と編集者の加藤くんが各地を回って色んな食べ物と出会っていきます。中でも主人公でもある花房先生は、地元でしか食べれない「常食」が大好きという・・・。
「常食」とは伝統食、郷土料理、観光料理といったものとは異なり、そこに住む人だからこそ会える料理のことを指します。まさに地元のB級グルメですね。自分も今の北海道に来るまで色々な土地に住んできましたが、もしかしたらそういった料理にいつの間にか出会っていたのかもしれません。皆さんの土地には何かあるでしょうか??北海道だとほとんどが有名になっているのと、自分が北海道に対してまだまだ詳しくないので見つかっていませんが。


最近だとB−1グランプリに代表されるように、逆に自分たちから売り出そうという風潮があるため世に出ていないものはないのかもしれません。その流れになる前にこうやって紹介していたのはある意味貴重な漫画でした。




花房先生の妻・・・泣く

料理の描写は読んでもらえば分かりますが、どれも美味しそうなものばかりです。あと、読んでみると実は登場人物2人のダメ人間っぷりが出ていて面白いです。編集の加藤くんは花房先生を扱いきれていませんが、それ以上にどこか見当違いことばかりするキャラです。おっちょこちょいというかうっかりさんというか。少なくとも敏腕という感じではないです。特にトルコライスの話はもう・・・。

しかし、最も残念なキャラは花房先生かもしれません。別居中の奥さんがいますが、結婚してキラキラの指輪を買ってやると言ってから10年間何もあげていないという男です。さらには人気作家になる前にずっと支えてきた奥さんをよそに自分勝手な生き方をしています。初めて賞をもらった日にお金を持って消えたという話はさすがに可哀想でした。泣きじゃくる奥さんを見て同情せざるを得ません。
さすがに残念賞な主人公すぎる部分はありますが、しょうがないと思える魅力があるのも事実だったりします。孤独のグルメ谷口ジロー先生が帯文を書いていましたが、”人情味あふれる”というのはこういった部分のことなんでしょうかね?(←多分違う




描きおろしは岩茸寿司

冒頭の方でも書いていますが、描きおろしがあります。さっっすがに絵柄が全然違いますね。しかし、描きたいこと、言いたいことは全く変わっていません。そういう意味では過去作品とも遜色の無い内容でした。まぁ、漫画ってそういうものですよね。



こういったグルメ漫画を読むとどうしてもお腹がすいてしまいます。さらに言うと、この漫画を読むと自分で開拓したくなるんですよ。まずは住んでる場所から?それとも旅先で?食べるって生きる事の根幹なわけです。豪勢な料理もいいですが、ふらっと寄って「ああまたこれ食べよう」となるグルメに是非逢いたいものです。