月マガが送る次世代の看板作品「ボールルームへようこそ」



ダンスをやらせてください

1話目を読んだ時、講談社新連載の中でも久しぶりにビビッときた作品ボールルームへようこその1巻が出ました。掲載紙は天才作品が多い月刊少年マガジン。看板作品のcapetaにはまだまだ見劣りする部分もありますが、作品が持つ魅力、期待感、そしてダンスやってやんぜ!という勢いはcapetaに比肩するものがあると思います。ただ一言、この作品は凄い。

人生の目標も無く、ただ漠然と生活し、イジメにあってもヘラヘラしていた主人公の富士田多々良(中学3年生)。学校の先生から志望校くらい出せと怒られ、帰り道にはお金を集られ。ただ、それでも何かを変えなきゃいけないと思う少年なわけです。そんな多々良少年が出会ったのが社交ダンス。人生を変える社交ダンス。多々良の渇望していた”何か”を見つけ、熱中していきます。



ヒロイン・しずく

なお、ボーイミーツガール且つ、ボーイミーツダンスな作品になっています。社交ダンス・・・という特性上、やっぱり男女がくっつくわけじゃないですか。ウブな俺にはとても無理な競技です>□<ウヒー
余談になりますが、作者の竹内友先生もボーイミーツダンスだったそうです。その情熱を全てつぎ込んでいるからこそのボールルーム〜という作品が出来上がっているのでしょうね。そういえば大好きな作者さんの1人に咲香里先生がいますけど、咲先生もバドミントンに出会ってから作品にその情熱をつぎ込んでいます。好きなものを描く。こういう姿勢って漫画家さんの作風にとっても非常に重要なんでしょうね。



見ろ!

競技ダンスというと、ウッチャンナンチャンを思い出す程度でしかないんですが、背筋をピンと伸ばしながらフロアを縦横無尽に動き回る。その中にも基本的な技術、そして自身とダンスの魅力を出し切るわけで・・・。素人意見ではありますが、社交ダンスって”徹底的な自己主張”だと思うんですよ。目立ってナンボ。華やかであれ。誰よりも目を惹かせるものを見せなきゃいけない。逆を言えば、そんなダンスの世界に多々良という目立たない代表が参加しても大丈夫なんだろうかと心配にもなりますが・・・。
まぁ、それがこの作品のミソであり魅力なんだと思います。この作品を読んでいくと、ダンスそのものの魅力が膨らみます。もう一方で、主人公・多々良の才能という点も目を惹きます。天才作品と言えば聞こえはいいですが、その中にある努力めいたものも見逃せません。そして、天才に”期待する”周囲も重要となってきます。天才は期待に応えるから天才なんだと思うんですよ。そして、それを楽しみにしている読者もいる・・・。この関係性が天才漫画には重要だと思うわけです。



踊り続ける多々良

1巻でもいくつかイベントが発生しています。例えば、ダンスに引き合わせてくれたプロダンサーの意地悪指令で、”やめ”と言われるまで基本ステップを踊り続けるというテストを受けさせられています。多々良は何と朝まで踊り続けています。あーすればこーすればとプロダンサーのダンスを目に焼きつけ、何度も何度も頭の中で動かし、身体を動かし。気が付けば朝と言う状況。よほど集中して踊っていたことが伺えます。もっと言えば、それだけダンスに熱中してしまった・・・ということでもあるんでしょう。ああ、これ一歩が鷹村に課せられたジャブ練習(葉っぱ試験)を思い出すなぁ。
何にせよ、覚えたこと、いや見たものを繰り返す作業が大好きなようで。中途半端に踊ってしまうとプロで頑張ろうとしている皆に失礼だと感じる真面目さも作用しているようです。努力する才能とはよく言ったものですが、多々良からは何か別の天性の才能を感じる・・・。
ただ、ダンス競技ということで相方も必要になってくるわけです。ヒロインのしずくも例に漏れず同年代最強の男子を連れています。その男子が持つダンスへの集中力も多々良を燃え上がらせたりしているのですが、まぁそのあたりは読んでほしいものです。1巻の最後の最後ではとんでもないことになってたりしますけど・・・。



ダンスブーム?を作り出すんじゃないかと期待しています。もっと言えば、意外とドラマとかアニメにしやすいのかもなぁとまで・・・。それだけの熱量がこの作品には詰まっていると思うんですよ。この作品は第2のcapetaになれる存在だと思います。さすがは月マガ!!どんどん才能を出してくるなぁ。この雑誌、やはり侮れないっ。




ちょっと俺も多々良に刺激されてダンスとかやってみようかと思いつつ、腰が痛くなったのでやめました。こんなん無理やで。