四季賞にページ数は関係ない「四季賞2011冬」



四季賞ポータブル2011冬

近年稀に見る薄さでした。四季賞2011夏が最厚だったように記憶していますが(ZNTV東京支局が四季大賞)、それに比べてなんと薄いことか。ページ数にして78ページです。これに品評と表紙がついているだけ。この80ページ以下の中に3作品。もちろんページ数に上限はないのですが、下限は17ページ程度。正確には「16ページ以内なら2編以上」という規定があるくらいです。
まぁ、ページ数なんて関係ないんですけどね。なかなか楽しい新人賞レースですな。
講談社の新人賞としては、アフタヌーンシリウスが一歩抜きん出ているかなぁと思っています。シリウスはわりと即戦力!って感じですが、アフタは将来性!って感じで。どちらも読んでて面白いので、手に取る機会があればいいなと思います。




○四季大賞
四季大賞は鍋倉純樹先生の「ただいま!春機発動期!!」が受賞。



金髪主人公の告白

女性が苦手だった主人公が、ある日クラスの女の子を好きになります。名前を呼ぶのも照れるほどなのに、告白しようと一念発起。イケメンだったらなぁとか思っていたせいか、告白の時に、何と金髪になってやってくるという・・・。読者全てが「それは違うだろ」と思う中、それを指摘しつつ告白を断るヒロイン。次の日、黒髪に戻して笑顔で挨拶する二人の姿がとても印象的な作品でした。
青春ものってよく分からないんですよね。どれも同じように見えて。ぶっちゃけた話、この作品も同じだったかな・・・と。ただ、鬱屈していくような作品ではないのがとても好印象。ヒロインの誰にでも優しくできる性格と、その明るさ。告白を断る時の真っ直ぐに理由を伝える姿や、あとフォローのしかたも。俺がこのヒロインと同じクラスだったらきっと彫れてたに違いありません。
主人公の「チョコを食べると先端が痒くなる奇病」設定が地味に面白かったのですが、それによってクラスの女子に”オ○ってる”と噂されて女性不振に陥るという流れが面白かったです。こんな主人公でも、たった1度の出来事で生まれ変われるんだなぁとちょっと嬉しくなる作品。最後の最後で初めての笑顔を見せた主人公に嬉しくなる作品。あとは長めの作品ができればなぁと期待しています。




四季賞
四季賞は花輪園人先生の「乗る男」が受賞。



これ死んでないんだぜ・・・

とある3兄弟の長女が殺し屋アル・ミホイルに狙われている?しかし、その長女も実は殺し屋で。二人の戦いは壮絶を極め最後には相打ち。気付くとアル・ミホイルは生き別れの弟で。3兄弟の長男がその壮絶な死闘の跡を見つめ―。
・・・という作品ではありません。

構ってくれない長男を勉強部屋からおびき出すべく、本気で殺し屋を演じた長女と次男。というか、ただのアホな話でした。最後の最後で長男がそのノリに付き合ってあげるというオチまで完璧でしたね。
迫真の演技をする二人の絵を見ていると、意外とそっち方面での作品を描けるんじゃないかな??と思えるんですが、それをしなかった、ギャグ漫画にしたというのは面白かったです。
まぁ、正統派のギャグ漫画じゃないので、今後の作品をどうするのかというのが気になりますけどね。




○特別賞
特別賞は中世千尋先生の「たかえさん」が受賞。



ワンカップ大関!!

説明不要。ワンカップ大関に命をかけるたかえさん(元スーパーモデル)が歌って踊って、最後に星になる。それだけ。意味が分からないと思いますが、最後の最後までよく分からない作品でした。いい意味で。
感想もなにもないんですけど・・・。というか何を書けと言うんだろう。最初から最後まで勢いで突っ走った作品でしたねぇ。あのページ数だから突っ走れたかなぁと思います。水の上を走って沈まずに向こう側へ行ききった感じですね。もちろんずぶ濡れですけど。
あと、担当した編集さんの一言「あとはきれいなコマ割りを習得しましょう」に笑ってしまいました。読後に見返したら、確かにすごいコマ割りしてましたね。ギザギザでした。確かに不思議ですわ。斬新といえば斬新だったのかも。
何かよく分からないですけど期待はしたいと思います。





気を抜くと「ポストの中に勝手に入れられてるどうでもいい宗教の本」と間違えて捨てそうな薄さです。いやしかし、目立つ薄さだなぁ(笑)。次回も期待してます。