トモダチになろうと言える勇気「友達100人できるかな」




1度会ったら友達で、毎日会ったら兄弟だ・・・と教育テレビのとある番組で言っていたのを思い出します。しかし、現実はそんなことはなく、人付き合いほど難しいものはなかったなぁとしみじみ思う27歳の夜。
友達100人できるかなという作品をどう評していいのか分かりませんが、帯文の「これ読んでみて」という言葉が妙にしっくりとくる作品でした。友情もの、漂う哀愁、SF感。どれをとっても夢のある作品だったように思います。誰が読んでも楽しめる娯楽が漫画だとするなら、これ以上に漫画らしい漫画はないように思います。


なろうと思えば誰とでも友達になれる


言うのは簡単ですが、その気持ちになることが既に難しい。もしかしたら向こうはそれほどじゃなかったら???そんな後ろ向きな気持ちが起きて当然です。「友達100人できるかな」という作品を自分なりに解釈すると、”友達になるための残りの1歩を後押ししてくれる漫画”だと思いました。



友達を作る=地球を救う

この作品は、子供の頃に戻って友達100人作れなかったら地球滅亡ねというショッキングな始まり方をします。滅ぼすことは簡単だけど、友達になれるかもしれないから試験する・・・と主人公の直行は告げられ、そして人類を救うべく”友達作り”を真剣に行います。
子供時代ほど残酷、且つキレイな世界はないと思っています。言いたいことは何でも言える。そして容赦がない。ケンカだって何だって、今の子供たちがどうなのかは分かりませんが、振り返ってみると概ねそうだったように思います。しかし、この漫画を読んで昔をとても懐かしんでしまうのは、子供時代というものに対して素敵な思い出ばかりが残っているからに違いありません。



友達になってみせる

もし子供の頃に戻れたら・・・と何度も想像してしまいます。きっとアレもコレも色んなことをやり直そうと思うに違いありません。特に主人公の直行が行ったのは、友達作りという子供時代最大のテーマでした。
ちなみにですが、直行は100人の友達を作りに成功しています(←作品上、当然の流れかもしれませんが・・・)。友達作りをやり直す=成功する確率が高い状況で友達を作ろうとしたら友達がいっぱいできた。これは何を意味するのか。きっと、今の子供たちも、そして昔子供だった今の自分もあと一歩前に進めれば何だってできるかもしれないという可能性があると言ってくれているのではないでしょうか?
もちろんこれは友達作りという限定的なものではなく、子供時代には色んな可能性を秘めていると思っています。少なくとも残念なのは、これを大人になって、そしてこの作品を読んで実感してしまうところでしょうか。今の子供たちがこの作品を読んでどう思うか。きっと何も思わないんだろうなぁ・・・。振り返れるという大人の特権として楽しむのが一番いいかもしれません。


作者のとよ田みのる先生は”まっすぐな気持ち”を描くのが非常に上手いと常々言っています。もちろんこの作品もそうですが、以前の作品たちもそうだったと思います。
友達作りが非常に重要だった子供時代。それを1人のオッサンが乗り切ったという展開。クラスの暴れ者も、普段は馴れ合えない女子たちも、喋ったことがなかったクラスの子、犬や宇宙人まで。
もちろんやり直しという側面が非常に大きいですが、それでも大人の心であっても友達を作れるという一つの可能性を示してくれました。”この人と友達になってみたい”そのまっすぐな気持ちを持って当たってみればもしかして・・・?


僕と友達になってくれませんか?