時代が過ぎても届く優しい音色「ましろのおと」

ロン!ツモ!ロン!ロン!もしくはライジングサン!!!と、最近は麻雀にハマってしまいました。まぁ、まだ2回しかしたことないけど・・・。昨年末に半年ぶりの、人生2回目の麻雀をやったのですが、その時に親の3倍満をあがりました。人生1回目の麻雀での国士無双と同じくらい、それ以上に周囲が騒然としましたねぇ。今ではいい思い出です。
しかし、どれくらい凄いのかって全然知らなくて、仕事の合間に麻雀のルール?をネットで見たりしています。調べていたら麻雀に「三味線」って言葉があるんですね。嘘を言ったりする完全なマナー違反だそうで、もしかして自分もしていたんじゃないの??と不安になってみたり。今度やる時には喋れなくなるかもw


・・・とまぁ、余談がすぎましたが津軽三味線漫画のましろのおとが面白いです。




第1巻で東京に出てきた主人公の澤村雪。独り身の女性の家に居候したり、母親に連れまわされたりでしたが、2巻ではちょっと落ち着いた様子です。それでも1巻に比べて落ち着いたというだけで、なかなか静かに・・・というわけにはいきそうもありません。
津軽三味線漫画!と銘打っており、その名の通り主人公の雪は津軽三味線をやります。師匠は自分のお祖父さん。青森から東京に出てきたのは、そのお祖父さんが亡くなったからなのですが、実はそのお祖父さんは知る人ぞ知る津軽三味線の名人でした。雪も、血筋からか師匠がよかったのかは分かりませんが、とてもすごい演奏者だそうです・・・。


自分で書いてて何ですが”すごい”って何でしょうね?いい賞を獲ったらすごい?偉い人に褒められたらすごい?もしくは、自分がすごいと思ったらすごいとか・・・?非常に曖昧なものではありますが、「でも何かすごい」という言葉が出てきそうな作品になっています。


そして、その曖昧な定義に似たように雪にのってのモチベーションも曖昧だったりします。




作中で散々実力があると言われているのに、残念な演奏をしたりもします。かと思ったら、人を泣かせるような演奏をしたり・・・。気持ちが乗らないからと言えば聞こえはいいですが、常に安定して音が出せないというのは、プロとしてやる場合には致命的かもしれません。まぁ、雪の場合にはプロ云々の前に「演奏を誰のためにすればいいのか分からない」というのが問題かもしれませんが。





春暁を追い求めるヒロイン・朱利

どう考えても雪のモチベーションは確実に師匠であるお祖父さんだなぁと思うわけです。おじいちゃんっ子バンザイです。そんな中、そのお祖父さんの昔の音である「春暁」と呼ぶ即興曲を知る少女・朱利に出会います。朱利は高校で三味線の同好会を開き、自ら津軽三味線を学ぼうとしていました。ひょんなことから朱利が春暁を知っていると知った雪はどんどん朱利と関わり合っていき、ついには雪版の春暁を披露することになります。



朱利は元気がないお祖母ちゃんに春暁を聴かせようとしていました。過去に聴いたという思い出深い音を聴けば元気が出るのでは・・・?と思ったそうで、そもそも雪のお祖父さんが朱利のお祖母ちゃんに春暁を聴かせたのが始まりだったようです。
そして見事雪の演奏はお祖母ちゃんにまで届き、音が繋がっていたことに、過去を思い出したように涙する朱利のお祖母ちゃん・・・。最初は無理だと後ろを向いていた雪が弾くために顔を上げたのは、自分の力以上に周りに後押しされたことが大きいと思います。作中でも「聴く人間に育てられるタイプ」と評されています。そういう意味でも、この作品の肝である雪の成長は周囲との関わりなくしてはありえないなぁと思うわけで・・・。




圧倒する雪の音

漫画という媒体で音を表現するのは本当に難しいなぁとよく思います。ただ、津軽三味線はメロディーを聴くというよりは”響く”と言ったほうが近いのでは???と読んでて感じました。
とても興味深かったのは、途中で出てくるプロの神木清流を”鐘”と言い、雪を”心臓”のような演奏だと言っていたことです。「鳴らすのではなく鳴る」というのはとても雪らしいなぁと思わされました。また、どういった演奏なのかを情景で表現し、演者の気持ちが見える(読める)のもこの作品の音楽の特徴かなと思います。鳴らす方法が重要ではなく、音を鳴らす方の気持ちがこの作品では重要ってことです。


雪の演奏かっこいい。朱利可愛い。何か俺も津軽三味線やりたくなってきたね!(←三味線