キスが止まらぬ恋がある「恋と嘘・第1巻」



嘘とキスは使いよう


人の手が2つある理由を知ってるかい?
1つは人を抱きしめるため、
もう1つは運命の赤い糸を二本結ぶためにあるのさ。










ちっぽけな物語

マンガボックスにて連載中の「恋と嘘」の単行本が満を持して登場。すでに話題作となっているようですが、絵の可愛さ、恋愛物語としての純粋さ、そして、ゆかり法という設定。全てがグレートです。確実に話題作となるでしょう(多分)。もしかするとボックス初の・・・・?



一人の恋?二人の恋?

主人公・根島由佳吏(通称ネジ)は恋をしています。高崎美咲という美少女に恋をしています。ネジと高崎さん、彼ら二人は小中高と同じ学校に通ってました。そして、ネジは高崎さんに・・・・小5から恋をしたまま、何も言えず、見ることしかできず5年の歳月が流れてます。
ずっと好きでい続ける。これって結構難しいことですよね。しかし、とある事情でネジは慌てていました。彼が16歳を迎えるその日までに、どうしても好きであることを伝えなければならなかったのです。


政府通知というリミット

ざっくりと説明しますが、ネジのいる世界では超・少子化対策基本法、通称ゆかり法と呼ばれる法律が当たり前となっています。この法律は、人の遺伝子情報等々を元に、16歳となった男女の結婚相手を“国が”決めてしまうという法律です。そこに恋の始まりはなく、好きだから結婚するという世界ではありません。結婚して好きになる、いや、結婚することが当たり前なので・・・・この作品の世界の「好き」はちょっと違うのかもしれません。
考えられるメリットだけ言っておくと、まぁ・・・・・俺みたいな結婚不適格者がいなくなるってことですよね。法律の名前にもある少子化対策にはうってつけでしょう。だって、結婚しなきゃならないんですから。いや、それはそれでありがたいかも(私情)。
ただし、それは本当の好きなのでしょうか。そんな世界で楽しいのでしょうか。一目惚れで結婚なんてあり得ない。小学生、中学生で恋い焦がれた相手とはどうにもならない。そんな法律なんですよ。ぶっちゃけて言えば、幼馴染のお隣さんという設定があり得ないわけです。






君が好きだと・・・・

でも、告白しちゃう。
この恋は普通の恋じゃありません。正しい好きなのに、正しくない好きなんです。それでも、ネジは5年間の好きを彼女にぶつけます。ネジはフラレてもいいと思っていたはずです。ただ、ゆかり法の政府通知が来る前に、気持ちだけは伝えようとしたわけです。


二人の気持ちは本物でした

ネジに誤算があるとすれば、高崎さんもネジを好きだったということでしょうか。ネジが彼女を好きになった話と、彼女がネジを好きになった話が一致していたのが非常に良かったです。というか、高崎さんがかなりのネジ通になっていたのは面白かったです。キュンとしました。ネジが高崎さんをマジマジと見ていたように、彼女もまたネジを見ていたようです。


私もずっとずっと好きでした―


そう語る彼女の言葉は、やはり本物のようです。でも、ディープなキスまでするのはすげーなと思いましたが。それだけ好きだったということでしょう。





結婚相手は国が決める。それが当たり前な世の中で、5年間好きであり続けた二人の物語。超純愛。超ラヴい。ずっとずっと好きどうしたった主人公と激かわヒロインの恋愛。ああ、なんて素晴ら・・・・













たった30分だけの二人の恋愛

ところがどっこい、そううまくはいきません。
告白してからの30分後、愛し合えると思いきや・・・・ネジに政府通知が来てしまいます。しかも、奇跡的に高崎さんが表示されたと思ったら、何故か消えてしまうという謎(この謎が後々まで効いてきそうな気がしますが)も発生。0時に16歳を迎えた途端、政府の方がやってきて、ネジに結婚相手決まったぞと連絡までしに来てくれます。






ずーっと好きだった女の子と両思いになれた日、国によって別れさせられます。・・・・・なんて日だ!







ネジの結婚相手

で、ネジの結婚相手がこれですよ。めっちゃ可愛いじゃねーか!!!!・・・・は?意味分かんないし。超美少女と好きになってキスしたら、その次に超美少女と結婚できるだ??どんな主人公だよ!!!ふざくんなし、マジでふざくんなし!!!彼女は真田莉々奈。高崎さんが天然美少女健康体みたいなものだとしたら、莉々奈はお人形のような可愛さですね。はぁ・・・・納得できん。世の中どうなってるんだ←二次元の物語に嫉妬する31歳の漫画ブロガーの気持ち
多分ね、ネジと高崎さんだけで物語を作ることだってできるんですよ。でも、そうではなくて、莉々奈も登場してからがこの作品の本番なんですよねー。




わりとドジっ子

莉々奈は有名女子校に通っており、そこで勉強もトップという女の子。ただし、性格上の問題で友達はいません。周囲からサナダムシなんて呼ばれてますし・・・・。まぁ、女子って怖いですからね。
とはいえ、彼女の性格が悪いというわけではないんです。ちょっと人付き合いが苦手なだけ。ちょっとストレートにモノを言い過ぎるところがあるだけ。そんな莉々奈との出会いは最悪でした。しかし、徐々に二人の距離も近づいていきます。主に高崎さん関連で〜の話ですが。



好きってなんだろう。




ひょんなことで語ることになったネジと高崎さんの恋物語。それに興味を持った莉々奈が、「好き」とはなにかを考え始め、ややこしい感じで面白くなっていくわけでして・・・・。
ネジと莉々奈は好き同士というわけではありません。また、友達というわけでもありません。二人は国が決めた婚約者同士。友達以上ではありますが、恋人以上でもある。不思議な不思議な関係です。しかし、ネジには好きな人がいる。好き同士になれた人がいる。莉々奈にとって、「好き」とは何かを知りたいと思った莉々奈にとって、ネジと高崎さんは良い教材となるわけです。







3人一緒

どうしてこうなった!?
コミュ症の莉々奈が高崎さんに声をかけ、何故か意気投合する→莉々奈邸で3人揃う。この流れがめっちゃ面白いのでぜひぜひ読んでもらいたいです。高崎さんがネジのどこを好きなのかを語る場面、かなりすごいです。というか、どんだけ好きやねん!!!と言いたくなるレベル。


分かっとるやんけ

特に好きなのが、高崎さんが莉々奈にネジのどこが良いかを質問した場面。莉々奈の回答に高崎さんがいい表情をするんですよねぇ。その場面で、いやその回答で、高崎さんは莉々奈を認めたと思ってます。だからこそ3人で会っても何もなかったのだと思っていますが・・・・。あと、その裏で初めての友達(高崎さん)ができた莉々奈が嬉し泣きしているのも非常に良いです。




3人の関係ができあがり、何故か莉々奈はネジと高崎さんのキスを認めます。というか、1日1キスを命じます。・・・・莉々奈はNTRとか好きなんですかね?(違
もちろんそれを許容する高崎さんも不思議ですけど、その関係性にさらにややこしいものを持ってくる人間が一人・・・・。







男×男

寝ているネジにキスをする友達の仁坂くん(♂)。
ネジの両手の小指には、高崎さんと莉々奈への赤い糸が結ばれています。そしてネジの股からは、仁坂くんへの赤い糸が・・・・ってことですか?1巻ラストでのことですが、衝撃的でした。莉々奈のネジへの気持ちがまだハッキリとしたものではありませんが、何気に3人からネジは好かれているっぽいです。モテモテだなぁ、あはははは。ちなみに、仁坂くんは超絶美少年で女子からも大人気なんですよねぇ。ネジは美形に好かれる何かがあるのかも。まぁでも、男はノーサンキューっす。






設定がかなり絶妙なところにあるおかげで、恋愛が面白いことになってます。高崎さんがグイグイきているのと、莉々奈の恋愛へのちんぷんかんぷんなところ、そして仁坂くんの謎。ネジは解決できるんやろか・・・・。一番の理想は高崎さんとネジなんですけど、そうなると莉々奈が超かわいそうなので。というか、高崎さんの名前が出てきた政府通知がかなり気になります。そもそも、制度についても気になりますし・・・・。意外と高崎さんに政府通知の相手が仁坂くんだったりしてね。なーんて。
あと、高崎さんが莉々奈に「私じゃダメだから」と語ったところも気になりますね。自由な恋愛ができないってのも悩ましいものです。まぁ、自由な恋愛社会なのに相手もいない俺が語るのもおこがましいですが。あぁ、軽く死にたくなってくる。
色んな人間の恋模様もありつつ(男を含めですが)、隠さなきゃいけない気持ちもあったり、何か根本的に・・・・な部分もあるような気もしますし。・・・・続きが気になる。どうなるんだろうこれ!!恋愛漫画が好きな人、絶対に面白いと思うのでオススメ〜。