ゴールネットも魂も揺らすサッカー漫画「コラソン サッカー魂」

ついに本日札幌にハンカチ王子こと斉藤佑樹選手が上陸しました。これに札幌は大騒ぎでした。三時すぎに見たテレビでは、NHK以外のテレビ局が全て入団会見でしたからね。佑ちゃん大フィーバーですよ!!!
ところで、そんな斉藤選手ですが、契約金1億円プラス出来高払い5000万円、年俸1500万円という契約だそうです。新人としては最高の契約なわけですけど、大学を出た青年が1年で1500万円もらえるとかすごい世界だと思います。そもそも野球の年俸って高いですよね。昔は1億円というだけで最強だったと思うんですが、今では2億3億なんてよく見ます。もっと言えば、大リーグなんてもっともっと金額がすごいです。
しかし、そんな人たちばかりだけではなく、中には色々とくすぶっている選手もいたりするのがこの世界。そんな部分にもスポットを当てた作品がモーニングで始まりました。



モーニング新連載グラゼニ

さすがの森高夕次クオリティである。高卒新人8年目で年俸1800という自身が認めるほどの微妙な選手が主人公。上がらず下がらずで、野球よりも選手たちの「年俸」に興味があるという、本当にいそうなキャラだったりします。自分の年俸より上か?下か?を常に考え、下であれば抑えられるという自信がどこかにあるわけで。ただ、安い年俸でも活躍する選手もいれば、どこかのスンヨプさんのように年俸に見合った活躍ができない選手だっています。
それでも、こうやってプレーではなく「年俸」にスポットライトを当てたというのはとても面白いです。まさにグラウンドにはゼニがある。



ところで、森高先生のスワローズ好きには頭が下がる。野村監督っぽい人や古田みたいな捕手。むしろ、主人公のサウスポーでスリークウォーター気味の中継ぎが1800万というのが燕っぽい。
野球しかしてこなかった選手たちは、いつ引退になるかも分からない状況で、引退後に何ができるかも分からない状況でプレーをしています。10年20年という仕事ではないだけに、こういった年俸が高いのか安いのかは人それぞれ感じるところはあるかもしれませんね。月イチ連載ということなので、第2話が今から楽しみです。




さて、講談社はかなりスポーツ漫画が充実していますよね。特にサッカー漫画は非情に多いです。しかし、サッカーという1つしかないスポーツに対して、講談社では多角的に捉えて数々の連載が行われています。グラゼニと同じ雑誌に連載しているジャイキリについては語るまでもありませんが、久しぶりに「サッカー日本代表」を熱く描いているサッカー漫画といえば「コラソン」です。



W杯への出場が危ぶまれる状況になり、新しく迎えられた名将へルマン監督。そんな監督が新しく呼び寄せた魂のFW戌井凌駕がサッカー日本代表に新しい風をもたらす新感覚日本代表漫画です。ただし、その風は暴風雨以上のものでしたが・・・。
監督や選手に暴言は当たり前。日本にいた時も協会に喧嘩を売って日本を追い出されました。プレースタイルも狂犬そのもの。ファールまがいのものから、いやらしいテクニックまで様々です。しかし、彼には点を取ることへの執念があり、貪欲に、そして絶対に点をもぎ取ります。そんな戌井を少なからず認めだす選手が揃ってきた・・・という最新第3巻。




作者の塀内先生のサッカー好きには頭が下がります。スマッシュ!を描いていた咲先生も自分の好きなものを漫画にしていましたが、それに負けないくらいの情熱で塀内先生はコラソンを描いています。
本物のサッカー日本代表好きにとっての最近の悪夢といえば、ドイツW杯でオーストラリアに逆転負けをしたところまで遡るでしょうか。あれは本当に悔しかったですね。見ていたサポもそうですが、きっと選手たちもとてつもなく悔やんでいる試合かもしれません。その悔しさをバネにしてか、南アW杯では良い結果を残すことができました。しかし、塀内先生はその悪夢から這い上がろうとする選手たちを今描いているのです。


もし戌井のようなFWがいたら・・・。


素行が悪くても点を取ればFWとしては最高です。ただ、日本人のメンタル的に戌井を許せるだけのものはないと思うので、実際には素行のいい点取り屋が出てきてほしいと思うに違いありませんけどね。塀内先生はFWということでカントナやドラゴン久保をイメージしたそうです。確かに久保には期待させられたなぁ・・・(遠い目)。





サッカーとえいばW杯の開催地に落選してしまいましたね。いけるとは思っていなかったのでそれほど落胆はありませんでした。こういった行事を取り仕切るのはサッカー協会なんですが、この協会についてはあまりいい評判を聞きません。やれ派閥だ老害だといい話はありませんね。確かにどこかの政府と同じで、トップの機関がしっかりしていないなぁと思うところがあります。ちなみに俺が一番気にくわないのは、ホームの試合ばっかりやってるところだったりしますが・・・。
コラソンでも協会のメンバーが相当悪い感じで描かれているので、塀内先生もあまりいいイメージは持っていないのかもしれませんね。



少し話題がそれましたが、宿敵オーストラリアと対戦する日本代表の姿が第3巻では描かれています。ヨーロッパでも活躍する選手がいるチームに対し、戌井は一歩も引かず1点をもぎ取ります。しかし、過去の悪夢であったり、メンタル的な部分から来るミス、不運などが重なって日本がピンチに陥っています。まぁ、この試合の結果がどうなるのかは分かっているので、そこは続きを楽しみにしておきましょう。



この作品は少し前の日本代表を完璧に反映していました。戌井のいない代表が現実の日本代表であるんだと描いていたと思います。今では監督も変わって違うチームになっており、何ともいえません。それでも、日本代表の試合をうまく伝えていると思います。試合中に選手は何を考えているのか。サポーターはどういう気持ちで見ているのか。協会はどれだけ腐っているのか。時折入ってくるサッカー通の記者による説明も、難しすぎず、非常に端的にサッカーを表現しています。
選手個人個人が一体何を思っているのかまで描き、まるで読者も一緒にサッカーをしているんじゃないかと思えてくるような作品になっています。Jクラブや高校サッカーといった気心の知れた仲間とする一瞬の閃き型サッカーであったり戦術型のサッカーであったりといった作品と違い、日本代表だからこそ、国を背負った独特のプレッシャーを持つサッカーが読めます。サッカー好きにとっては深く読んでしまう作品であること間違いなしです。