夢は叶うと信じる君へ「虹色インク・第2巻」



描け!

好き。本当に大好き。
マガジンSPECIALで連載していた「虹色インク」の最終巻が出ました。最終巻とはいえ、まぁ・・・・2巻なのですが。もっと続けてほしかった。続けるだけの熱量・ポテンシャルはあったと思います。多少贔屓目ですが。
おいおい、そんな2巻終了の、まるで打○切りな作品を勧めるのかよと思われるかもしれません。それでも推します。それでも推します。ただただ読んでほしい。それほどに語りたくなる作品です。


目指せ漫画家!

主人公の小石川タイチ。彼は漫画家を目指しています。1巻では漫画家を目指していること、同じクラスの虹崎(ヒロイン)が天才漫画家(のタマゴ)だと知ること、負けじと努力することがメインとなっていました。2巻からはそんな二人の関係もありつつ、タイチが漫画家を目指して本格的に走りだすところが描かれます。
1巻のラストではついに自分の漫画を描ききり、2巻では・・・・酷評されるという状況になっています。色んな漫画家さんや編集者さんも言っていますが、とにかく作品を一つ作り上げることが第一歩なようです。あーだこーだ言いながら、作品を作らずに消えていく人もいるはずです。それだけ、漫画を作り上げることは大変な作業・・・・らしいです。


オタクだと言われても

もう少し1巻の話をしておくと、タイチ、そして虹崎は学校で浮いた存在となります。漫画家を目指す。言葉ではかっこいい目標ですが、やはりどこか現実味のない夢だと思われることでしょう。さらには“オタク”というレッテルを貼られ、バカにされ、虹崎に至っては原稿を川に捨てられたりもしてます。
俺はね、俺は本当に本当に漫画が好きなんです。漫画家さんも、編集者さんも、印刷所さんも、書店さんも、もう漫画に関わる全ての人を尊敬してます。でも、夢を語ることって難しいのだという現実も見えてしまいます。それが大人になったという証拠なのかもしれません。ただ、この作品は漫画に関わりたいという夢を思い出させてくれる作品でもあります。だからこそまぁ、1巻の原稿捨てられ事件はマジで腹が立った。ジョークとして受け取れないほどに、タイチも虹崎も本気だった。だから俺は腹がたったわけで。参照⇒http://d.hatena.ne.jp/toldo13/20140925/p1





新人という仲間

さて、ここまで書いておいてなんですが、タイチと虹崎の二人には大きな差があります。
ぶっちゃけ虹崎は何年に一人の逸材。一方のタイチは・・・・お世辞にも絵が上手いとは言えません。漫画への情熱だけで成り立たせてるというタイプ。このタイプが多いのか少ないのかはわかりませんが、少なくとも虹先は新人賞を取っているのに対してタイチは・・・・というくらいの差はあります。
ちなみに1巻ラストから2巻最初の方で、虹崎よりも低めの賞ではありますが、受賞した新人のタマゴたちが出てきます。バトル漫画が好きだったり、恋愛漫画が好きだったりと千差万別なタマゴたち。○○世代と呼ばれる日は来るのか?現実世界の新人さんはギスギスしていないか?そーんなことを思いながら読んでいましたけど、賞レースにもまだ出てきてないタイチを含めて雑談ができるほどに、タイチのネームを一緒に考えたりできるほどに、漫画が好きなタマゴたち。


ココにいたい

タイチはそこにいていいのか?そこにいてもいいだけの実力を得られるのか?という2巻の物語。とはいえ、虹崎のネームをより良く修正できる能力もありますし、他の人にアドバイスを聞けるだけの上昇思考もあります。全ては大好きな漫画のため・・・・。






ケンカもしました

ただ、タイチも悩むわけですよ。担当編集にダメ出し&ダメ出し&ダメ出しの連続。何が良くて何がダメなのか。考えすぎて悩み、数少ない理解者である虹崎をまともに見れなくもなってます。同い年で同じクラスにいる漫画がすきな少女、自分より才能を持った少女に嫉妬します。このあたりは漫画家さんの方が共感できる部分かも?
時が経つほど、↑で自分のネームについて討論した(虹崎の)同期たちにも先を行かれているわけです。成功することしか考えていなかった、漫画が好きだという気持ちだけで漫画を描いていただけだったタイチも焦るわけです。



・・・・でまぁ、その後のタイチがどうなるのかは是非読んでもらいたいです。ここまで書いたら想像できるかもしれませんし、予想外かもしれません。ちなみに俺は予想通りでした。



虹崎のお手伝い

終盤、虹崎の初読み切り漫画を手伝うタイチ。あ、エンドはアシスタントとかではありませんのであしからず。日程ギリギリだったのでタイチに手伝ってもらってます。この場面で「虹色インク」というタイトルの理由が明らかになりますが、まぁそこも読んでもらうとしてですよ。

近い将来・・・オレ以外のもっと大勢の人が・・・虹崎の魅力に気がつくよ

この場面がとにかく胸にきました。それは、こういうブログをやっているからでしょうか。作者の宇野先生が新人さんだからでしょうか。漫画を読んでいて、この才能はすげー!!!って思える時が好きです。毎日そんな才能に出会いたい。そう思っているからこそ胸にきたのだと思います。
いつの間にかブログも10周年を迎え、漫画レビューなんてのも廃れてきてますし、よくぞまぁ続けてるよなぁ、やめたいなぁとか。そーんなことを思ってたわけです。でも、面白い漫画に出会いたい、面白い漫画を紹介したい、面白い漫画に感謝したい。そんな気持ちをもう一度奮い立たせてくれた作品です。←とりあえずしばらく頑張ります



もし漫画の神さまがいるのであれば、「虹色インク」を読ませてくれてありがとう・・・・って言いたい。





この作品は現実とかけ離れた部分があるかもしれません。もっとドロドロとした部分もあるのかもしれません。漫画家という職業はもっと明るい未来ある職業なのかもしれません。
一つだけ言えるのは、天才との才能の差を感じつつ、漫画が好きだという気持ちで、むしろそれだけで漫画家という子供の頃からの夢の尻尾を掴んだ少年の物語だということ。個人的には、その「好きだ」って感情すら才能だと思うわけですよ。学校でバカにされても、自分の夢のために努力できる。ある意味、それだけ尖った作品だったなと思うわけですが、そこが飛び抜けてるとかすごい作品だと思うわけですよ。
バク○ンが現実を見せたのなら、虹色インクは夢を見せた。そう思うわけです。
皆さんは漫画に何を求めるのでしょう。
1巻を読んだ時、「漫画が好きでよかった」と毎日叫んでも恥ずかしくないことを勇気づけてくれる作品と評しました。自画自賛になりますが、これほど端的にこの作品を説明できる言葉はもうないです。もし、漫画が好きなのであれば一度読んでもらいたいものです。漫画が好きな人間の一人として、何か得られるかもしれませんし、得られないかもしれません。←読んだあとのクレームはノーサンキューな
これだけ絶賛しといて2巻までという・・・・。本当にお前には漫画を紹介する能力あるんか?と思われそうですが、逆に考えてほしい。2巻の中にこれだけ熱量を込めた作品が読めるのだと。オススメです。




この作品のラストについても語りたかった。近い将来、俺以外のもっと大勢の人が、宇野先生の魅力に気がつきますように