足もとの月は夢「宇宙兄弟・第25巻」



南波六太宇宙へ―!

とし子宇宙へ・・・・って言葉を思い出した帯文でした。世代だからね、しょうがないよね。
というわけで、モーニング連載の宇宙兄弟。ついに主人公・ムッタが宇宙へと飛び立ちました。ここまで25巻。ヒビトに負けじと新たな一歩を踏み出し、家族、シャロン、仲間に支えられてきた25巻だったと思います。2007年末から連載が始まったこの作品。この8年を長く感じるか、短く感じるか。アニメも実写もありましたが、個人的には長かったように思います。ただ、長くもあり密度の濃い8年でした。





イタい奴?




夢を諦めていいって誰が決めるのでしょう?
夢を諦めていいっていつ決まるのでしょう?






やっぱ無理だな




あなたには諦めた夢がありますか?
あなたには諦めろと言われた夢がありますか?




兄弟で夢見ていた宇宙飛行士という職業。小学生であれば「夢:宇宙飛行士」と言ってもロマンがあるな〜と思われるでしょうか。中学生だと?高校生だと?大人になったら?夢を夢物語で終わらせなかった弟・ヒビト。そして、後を追うように夢をつかむ物語「宇宙兄弟」を始めたムッタ。そんな二人の物語―。



点火

紆余曲折ありましたが、ムッタが宇宙へと飛び立ちます。ムッタに実感はあるのでしょうかね?ついに現れなかったヒビトはどういう気持ちで見届けているのでしょう。ムッちゃんなら当然!なんて言ってるかもしれませんね。
宇宙兄弟25巻、そのほとんどが宇宙飛行士が宇宙へと飛び立つまでを濃密に描いていました。訓練時代の濃さとはちょっと違う雰囲気があって実に面白い。まるで自分も宇宙に・・・・なんて思えちゃうほどに、宇宙までの道のりが描かれていました。




それはムッタの宇宙への夢が叶う瞬間を輝かせる時間であり、ムッタが皆に、支えてくれた皆に感謝する時間だったように思います。






親友との握手

宇宙へ行くことが仕事ではないです。むしろ宇宙へ行ってからが重要。それはわかっているんですが、これまでの余韻に浸りたくなる一冊でした。特に、月ミッションをムッタ自らの手で切ってしまった親友ケンジとの握手は、非常に感慨深いものがあります。
これはケンジからの期待でしょうか。


親の涙

一方、いつもおちゃらけたご両親。正直どこまで何を考えているのか不思議なご両親ですが、やはりムッタの夢が叶う瞬間に目頭が熱くなったようで。一度諦めた夢をもう一度掴もうとする息子に涙腺がゆるくなってしまったのかもしれませんね。いつもとのギャップがとてもいいですね。


最後の教え子

デニールも当然ムッタを見送ります。ヒビトの時はムッタもいましたが、今回は一人だけ。ムッタを見つめる瞳は寂しそうな嬉しそうな。ムッタを最後の教え子としていたデニールの哀愁がなんともいえませんね。
人生はコントロールができる、そう教え子に教えたわけですけど、ムッタは望んで進んでいます。デニールの教え子は立派になりましたね!




宇宙飛行士の訓練、運命、いろんなものを描いてきた作品でしたが、ついに主人公が宇宙に飛び立つところまできました。宇宙に飛び立った者(ヒビト)を見上げるところも描きました。いろんな葛藤、苦労もありました。でも、ムッタは夢を叶えようとしています。




個人的に好きな場面―。







月にね

ムッタが月に行ってくると言う場面。この独特のキメ顔がムッタらしい、この独特のかっこつけ感がムッタらしい。そう思う場面。


お昼なので月は下です

ただ、それを冷静にツッコミをいれるお父さん。このやりとりも実に南波家らしいな〜と思いました。




「夢」



さて、夢という漢字の成り立ちですが、下半分は「夕にかぶせもの=月」を示しているそうな。寝た時に見る夢が漢字の成り立ちの由来ではありますが、ムッタが夢について話した時に月が下にあるというのは・・・・少しロマンチックすぎですかね。ただ、本当の夢(の一つ)は月に降り立つこと。本当に月を下に置いた時(月の上に立った時)、ムッタの夢が叶うんだなぁ・・・・。



まだ飛び立ったばかりで何も行っていません。きっと大ピンチもあるかもしれません。仮にそうなっても、ムッタの現状打破能力の高さを見せつけてほしいものです。ムッタ宇宙編、すごく楽しみです!!!