自殺は誰も救われない、だから僕が救おう「煉獄のカルマ・第1巻」



死後にも待つドラマ

週刊少年マガジンで連載中の「煉獄のカルマ」の1巻が出ました。連載当初からかなり注目して読んでいたのですが、なかなかどうして面白い。テーマが“自殺”ということなので色々と思わされることもあります。これは自殺したあとのお話です。死んでしまいたい・・・・なんて思ったことは何度でもありました。それでも生き留まって、こうやって漫画を読んだり漫画の感想を書いたりしています。自殺を思い止まらせるような作品だとは思いませんが、自殺をしてしまったあとのことを考えてみるには良いキッカケかもしれません。ありきたりですが、まぁ・・・・自殺はダメだと思いますよ。
そういえば、作画を担当している春場ねぎ先生はマガジンの新人賞出身ですよね。マガスペでの読み切り「カワードクロスワードはとてもよかったです。その頃から絵がかっこよかったのを覚えています。あと、その時も人間関係を描いていたのですが、やっぱり上手いなぁと感心しきりです。個人的には、この作品のエロパートが好きなのでじゃんじゃんやってほしいです。


自殺者一人×6が不幸になる

自殺者一人につき六人が不幸になるそうです。この物語はそんな嘘か真かわからない通説を元にした作品になります。なお、↑の主人公・七瀬誠ですが・・・・自殺します。自殺した理由はイジメ。
トイレでオ○ニーさせられたり、腕に偽装自傷痕を作らされたり。それを止める者もおらず、誰に気付かず。狡猾なボスの不和を筆頭に複数人からイジメられる毎日。そんな悲惨な状況に、主人公の誠は絶望していました。ただ、そんな彼にとって、生きる希望もあったのです。一つは絵、もう一つは霧咲さん。



霧咲さんは天使

教室で霧咲さんの似顔絵を描いていたところを見られますが、気持ち悪いと思われるどころか「将来は画家さんだねー」なんて優しく接してくれる美人。趣味である絵と共に、いじめられっ子である誠にとっての大きな大きな救いとなっていました。


霧咲さんが無理矢理・・・・!?

そんな幸せも崩れてしまう。
たった一つので出来事で崩れてしまう。

霧咲さんが階段の踊り場でイジメっ子の不和にキスされていました。絶望する日常の中の癒やしである霧咲さんが、天使の霧咲さんが・・・・不和にキスされていました。この時、不和に対してどれほどの憎悪が芽生えたでしょう。殺してしまっても・・・・くらいの覚悟ができていたかもしれません。












そういうのは家でしよ

・・・・ファッ!?











ここじゃダメ

・・・・ファッ!?(2回目)
なんのことはない。霧咲さんはイジメっ子・不和の彼氏で、しょっちゅうよろしくやっていた仲だったようです。もちろん誠に優しくしてくれたのも・・・・。不和ってクズですよ、クズ。自分が楽しければそれでいいという思考の持ち主なんでしょうね。霧咲さんも天使どころかただのペテン師でした。←NTR好きには堪らんのかもしれない





本当にロクでもない世界。
本当にどうしようもない世界。









その日、七瀬誠は自殺しました―。









・・・・というのが前段。



Welcome to Underground

死んだあと天国か地獄かと思うことがありますが、誠は煉獄という場所に行きます。ただし、そこは誠が通っていた学校。誠が命を絶った学校。そして、そこで待つ謎の女性。
「自殺者一人につき身近な六人が不幸になる。」
そんな彼らを救うための物語が始まります。





誠にとっての六人

さて、どこまで本当かはわかりませんが、自殺者に身近な六人が不幸になるわけですよ。誠にとっての六人は、写真部の女の子、クラスメートの女の子、近所の子供、取り立て屋、犬、SNSの友達。・・・・どういう関係性なんだろうって六人ですが、確かに誠の死後、不幸になります。例えば写真部の女の子は誠の飛び降りを・・・・してしまい、自殺を止めるどころか写真を撮ってしまった自分に嫌悪を抱きます。さらに事故にあって死んでしまうという結末。クラスメートの女の子は霧咲さんの友達でしたが、自分たちも悪いという発言をして・・・・だったり。誠に懐いていた犬は不和グループの一人に撲殺されそうになってました。
自殺とは、自分だけではなく他人を不幸にする行為。
自殺者が持つ業(カルマ)を背負って、不幸にした人たちを助けるのがこの物語。六人を救えるまで、何度も何度も同じ1時間を救わなければなりません。なお、周りから誠は見えません。ただし物には触れます。そんな状況下で六人を救わなければならない誠―。


誠は誰にも見えない

そういう方法があったか!
とりあえず頭をちょっとズラそう。もうちょっとで見えたのに・・・・。
1巻の最初は写真部の女の子を救うために動きまわります。まさかの霧咲さんまで関係してくるわけですが、霧咲さんのその後が見れますし・・・・ちょっと惨めだなぁと思うところもあります。因果応報かもしれませんけどね。そのあたりは是非読んでもらいたいところです。俺も最初の霧咲さんが好きだっただけにゾクゾクしました。ふふふ。



わん!

結局のところ、これは誠が不幸にしてしまうはずだった人たちを笑顔にする物語なんです。絶望して絶望して絶望した結果、自殺を選んだ誠が煉獄で六人を笑顔にする物語なんです。人間、なにも関係無いように見えてどこかで誰かと繋がってるもので、自殺をしたあと誰かに不幸が起きるとわかっていれば自殺自体を考えなおすかもしれませんね。ただ、この煉獄のカルマは自殺したあとを描いてしまった作品なわけです。
犬(名前はサンタ)は誠に良くしてもらっていましたが、誠が死んだことを理解できませんし、一匹ボッチになってしまうわけです。どう救ったかは読んでもらうとして、これだけ笑顔になってるんですから、誠がどれだけ頑張ったかがよくわかりますね。というか・・・・犬の笑顔が晴れやかすぎる。犬の笑顔ってこれだけきれいに描けるものなんだなぁ。





読んで改めて思ったことは、自殺って不幸になる人ばかりだなぁということ。そういう意味では誠の行為も褒められたものではないというか、何とかできたんじゃないかとか思うわけですが、煉獄で業を背負った彼の頑張りには目を見張るものがあります。生前それができてれば・・・・というのは贅沢でしょうかね。もちろん当然の当然ですが、不和が悪いと思います。イジメは絶対にダメですよ、ホント。
まぁ、色々と自分も絶望したことがありましたけど、漫画があってよかったなぁと思う毎日です。漫画があるから俺は頑張れてますよ、ホント。誠は霧咲さんに裏切られましたけど、漫画は裏切らな・・・・いよね?・・・・大丈夫かな???とりあえず好きな作品たちの最終話を見るまでは死ねないと思ってます。とか言いつつ、好きな作品の打ち切りとか勘弁してほしいけどw
春場先生だ!絵が好き!という読む前から好きだった作品ですが、読めば読むほどハマってしまいましたね。そのあたりは原作の廣瀬先生の力も大きいのでしょうけど。ちょっと気になったのは、1巻がまるまる“高校生編”と銘打ってることですかね。誠の物語が終わったあと、別の誰かの物語になるのでしょうか?もちろんまだ救われていない面々もいますし、今後が気になります(雑誌ではいいとこまで行ったけど)。オススメ〜。