この世界は残酷だクマ「アンズー・週マガ46号読み切り」



猫二匹物語

週刊少年マガジンこそがNo.1だと信じて31年が過ぎました(10/14誕生日)。数年前に色々と長期連載作が終了し心配しましたが、今ではなかなか良い線いっていると思います。ただ、中堅や看板作品がまた終わろうとしているのが気になりますが・・・・。大丈夫だから、大丈夫だから(自分に言い聞かせる)。とりあえず、今週号のグラビア・佐野ひなこちゃんがとても良かったです(現実逃避)。
さて、今週のマガジンにスライムさんと勇者研究部を別マガで連載していた我孫子祐先生の読み切りが載っていました。タイトルは「アンズー」。なんと動物もの!猫を飼い始めた我孫子先生、猫漫画をやりたかったのだろうなぁと思います。ただ、動物漫画を週マガでやった思い出があまりないんですよね。「霊長類最強伝説 ゴリ夫くらいでしょうか←




はあ、クマったクマった。

とりあえず、設定が面白かったです。進撃の巨人か!と言いたくなるくらいに人類がヤバイです。人類が“クマ”に蹂躙され、街には食べ物を探しまわるクマしかいない状況からスタート。自衛隊何やってんの!?と言いたいところですが、クマも相当数いたみたいですし色々あってクマたちに敗北したのかもしれません。まさか動物愛護団体がクマを殺すなと言ってる間にやられた可能性も・・・・?
そんなクマが支配する世界にあって、立ち向かう・・・・猫たち。



トラゾウ



アンズー


そもそもの話なんですけど、ここの舞台は“吉祥寺”です。ちょっとだけグーグルで調べたのですが、吉祥寺付近の町並みが描かれています。途中、井の頭公園にもいる気がします。
トラゾウはそんな吉祥寺付近をナワバリとする猫。アンズーは新宿へ飼い主を追いかけてやってきた、元小金井の猫。自分も中央線沿線のどこかに住んでいますが、知ってる土地が出てくるとちょっと気になりますよね。これ、多分ですが我孫子先生もこの辺りに住んでたんじゃないでしょうか。
さて、物語はトラゾウがクマを撃退して一週間後、一匹で歩いていたアンズーを見つけたトラゾウが色々と世話をすることになっていきます。これ後でわかるのですが、トラゾウの仲間はクマによって全滅しており、吉祥寺にいる猫は彼ら二匹だけだったりします。そういう意味ではトラゾウも少し心細かったのでは?と思いつつ、そもそもアンズーが呑気猫なため兄貴肌のトラゾウが一肌脱いだといった感じでしょうかね。


二匹は仲良し?

まぁ、さすがに読み切りなのでここから大冒険・・・・というところまでは描かれませんが、基本的には“生きる”をテーマにしています。トラゾウたちは他の動物を狩ることで生き延びていますが、自分たちはまた狩られる側となっています。飼い主を失っているあたり、というか全体的に人間がいないというのが面白いです。決して大自然の物語ではなく、人間が近々まで住んでいた街を題材にしているのがなんとも。
ところで、二匹ともオスなんですが、片方でもメスだったらラブロマンスまで発展したかもしれません。いや、ちょっとホモホモしいなと思ったので(猫同士だけど)。ふふふ。


対するはクマ

結局のところ、何でクマが出たんだ?と思うのですが、そのあたりはまぁ連載化されたら明らかになるでしょう。ホッキョクグマみたいなのも出ていたのでタダ事ではないと思われます。あと、我孫子先生の描くクマが怖い。猫達が可愛いだけにクマが怖い。前作に出てきたモンスターたちよりも怖いぞ・・・・って、我孫子先生はこういう絵もできるのだなぁという驚きもあったり。


彼らは生きる

せっかくだから連載で読んでみたいな〜と思いました。ここからなら何でも展開できそうなのと、素直に吉祥寺から新宿までの冒険を見てみたいこと、人間がどういう対応をしているのかが見てみたいな・・・・と。あと、アンズーとクマの戦いも見応えありましたしね。猫なのに人間ぽいのが素敵。
動物ものであり、バトルものであり、世界観としての謎も残しつつ、やっぱり動物の“生きる”ことをテーマにしたお話でした。こういうあたり、我孫子先生らしいな〜と思います。アンズーでもよいですし、別の作品でもよいので、またマガジンで見れたらいいですね。今後も楽しみ。