民のみんなには、内緒だよ「ディアボロのスープ・第3巻」



帯から感じる圧倒的ネタバレ感―

ソウルジェムが濁りそうなんですが・・・
別冊少年マガジンでファンタジーというのは王道であり鬼門だと思うわけです。なんでもアリな雑誌だからこそ、創刊当時から続く流れというのは大切にすべきというか・・・。裏を返せば、ファンタジーがダメになれば別マガもダメになるということですよ。そこんとこよろしくぅ!!
・・・と、いうわけで“魔女”が涙を流しながら、血を流しながら、国のため人民のために戦う漫画ディアボロのスープ」が別マガにて絶賛連載中です。一時期、別マガのそこら中に“魔女”がいたんですけど、ディアボロは魔女の生存競争に残ってますね。個人的にはちょっと変わった魔女たちだと思います。全員可愛いよ>□<

第1話目の試し読みができます
http://kc.kodansha.co.jp/content/top.php/1000006266

とにかく第1話目から圧倒された作品です。設定だけではなく、登場人物・魔女たちの国と人を思う気持ち、自分を慕ってくれる人民たちの気持ちもよく表現された漫画だなと思ったわけです。





魔女のスープは洗脳スープ

それだけにスープの設定には驚かされましたよ。
この作品は、魔女が統治するエダークス公国を舞台にした物語です。エダークス公国に隣接し、産業革命がすでに起こっているスペルビア帝国が攻めこんで来てさあ大変という状態が始まりとなっています。魔女対兵器。普通に戦って勝てるわけがないんですよね。まぁ、そのあたりがこの作品のミソなんですが・・・。
どう戦うのかは見どころなので多少割愛するとして(そのあたりは2巻が面白い)、エダークス公国を支える魔女たちと人民たちとの繋がりがとても泣ける作品だと思うわけです。
「人民よ、魔女を称えよ。さすれば魔女は人民を満たさん。」
これがエダークス公国の最も尊い掟です。やせ細った大地で人民を生かすべく、魔女たちは「魔女のスープ」を作り振る舞います。そのスープがあるからこそ人々は生きることが出来、だからこそ人々は魔女を崇めます。そうそう、窮地の際に魔女が使い魔を使役して戦うというのも魔女が崇められる理由の一つです。



・・・だからこそ、魔女のスープが洗脳スープだという事実は魔女たちを、読者を驚かせました。ちょっとこの設定はずるいよ〜(良い意味で





驚く魔女たち

さて、洗脳スープとはどういうことを言うのでしょう。意のままに操るというのもそれに該当するでしょう。しかし、それ以上に恐ろしいスープとなっています。魔女のスープを飲めば飲むほど「魔女のことが大切」になります。大好きになります。自分の作ったスープを飲むと自分を大事にしてくれる。・・・俺も作ってみたいな(←悪用します
しかし、その事実を魔女たちは知りませんでした。いつの間にか自分たちを人民は慕っていました。それはスープのおかげ?人望からくるもの?スペルビアが攻めてきた時、人民は魔女を文字通り死ぬ気で守りました。それは魔女が大切だったから・・・というより、スープのおかげだったんでしょうねぇ。そういう意味では第1話のカウンターになってて、なおさら感慨深い。もちろんこの事実を知ったまま第1話を初めて読んでみると、それもまた面白いのれす。まぁ、まずは第1話を読んでみましょう。




人殺しに慣れ親しみなさい

敵国に攻めこまれ、当然のように人民に助けられた魔女たち。失意の中、彼女たちはとある男の下に集められます。犯罪者として刑を執行されていたテンマという青年。彼は戦争の仕方を知っているものの、魔女を道具としてしか見ていない男です。しかし、彼のおかげで1巻、2巻と続いた窮地を乗り切ることができた側面もあります。この作品における非常に重要な人物です。


ちょっとした恐怖

何故テンマは魔女を国を憎むのか。何故テンマは戦おうとするのか。第3巻では重要人物テンマの過去話も収録されているので要注目!!
何が一番怖いって、権力者が一番怖いわけですよ。それは世の常なのかもしれませんが・・・。テンマは過去に魔女と魔女のトップ・魔公によって、大切な人を失いました。失い方も斬新というか・・・。大切な人の腕がキレイだったので、魔公さまが持って行きましたとさ。まだハッキリと登場していない謎の人物ですが、怪しさ満載ですね。腕をどうしたんだろう・・・。かなり怖い。


わけがわからないよ

怖いと言えばもう一人。エダークスでは魔公さまの下に三権の魔女と呼ばれるトップ3がいました。しかし、その内の一人が他の二人を殺すないし捕まえています。つまり一人の魔女が権力を握ってしまいます。財官の魔女・マナヒという魔女ですが、こちらも顔は出てきておらず・・・。魔公さまを含めて国の中枢は怪しすぎます。仮にエダークスが攻め込まれることを知っていたとかだったらどうしましょうね。




ハチヒメ立つ

要するにですね、現在のところディアボロのスープは3つの勢力が出来上がっています。

1.スペルビア帝国(敵国)
2.エダークス公国(中央・人民を操ってた)
3.反エダークス公国(テンマ・5人の魔女たち)

テンマは昔からの反エダークスなんですが、第1巻から登場している魔女5人組はエダークスのために働いていました。人民と国を守るためテンマの命じるままに従っていた・・・けど、スープの真実を知り第3巻にて反旗を翻します。もちろんテンマと5魔女、そもそも5魔女の中でですら一枚岩ではありませんが、反エダークスとして立ち上がっています。
ちなみに旗振り役は俺のイチオシでもあるハチヒメ!!!超可愛い・・・くせに頭がいい。それでいて第3巻で見せた「王になる」という欲望がね、すごくいいよね。可愛いしね(2回目)。表紙も可愛いよね(3回目)。はぁ・・・恋してしまいそう。
もちろん「王になる」というのは、今のエダークスを見かねてのことなんでしょうけど・・・。ただし、口だけではないことはずっと見せてもらいました。5人の魔女の中で一番冷静に物事を考えられる人材ですし、何より強いのも重要ですね。先ほどの三権の魔女のすぐ下に、六都の魔女というグループがあります。ハチヒメはその六都の魔女の一人です。簡単に言えば、強くて偉いということです。まぁ、王になろうとすれば、他の六都の魔女が敵にもなるでしょうし、三権の一人や魔公さまですら敵となってしまいますけどね。内にも外に厄介なことが多くてやばい、やばすぎる。





ちょーっと気になってることを書いておきます。
魔女が使役する使い魔はどの程度の種類がいるのか、仲間になる可能性はあるのか。これはこの先のハチヒメ・テンマ組が戦うために非常に重要な事項です。そういう意味では、2巻終わりから登場していますが、雑家の魔女の存在も気になります。テンマを慕う雑家の魔女たち。きっと戦力になってくれるだろうなぁと思いつつ、そもそもテンマとどういう関係なの??と気になってしまいます。3巻に収録されたテンマ過去話では、テンマが魔女のスープの正体に気付く事項はなかったはず。そして雑家に会う場面も描かれていません。このあたりは今後でしょうなぁ。
そして、財官の魔女・マナヒが言った「ディアボロのスープの完成」と「新世界」という言葉。そもそもマナヒ的にはハチヒメたちが反旗を翻すことは想定内だったようです。というか、魔女のスープとディアボロのスープは違うものなのでしょうか??あと、新世界という言葉が何処を指しているのかも気になりますな。


この作品における設定力はすごいとしか言いようがありません。個人的には絵や設定、毎号の展開を総合的に見せることが良い作品だと思うわけです。しかし、その中でディアボロのスープという作品は設定力が突き抜けていると思うわけで。多分、漫画の中でも出しきらない部分まで考えていそうです。もちろん絵は可愛いし、毎号飽きさせないような仕掛けを入れています。それなのに絶対にまだまだ考えてある設定を残していると感じるのは脅威です。言ってしまえば先が気になるわけでもあります。
厳しいことを言わせてもらえば、その設定をドドドーンと出せれば進撃にだって成り得ると思う・・・んですよ。1話目に感じたポテンシャルは進撃に負けないものだったと今でも思っています。・・・と言いつつ、そもそもまだ3巻なんですけどね。面白さで言えば全然負けてないというか、別マガでは上位クラスですよ。個人的には10巻まで行ってどんな作品になっているかが非常に楽しみです。まぁ、厳しいことを言うのは期待の裏返しということで(笑)。作者の岡崎先生が作る魔女のスープで読者を是非是非洗脳させてください。オススメ、超オススメ。