グッバイ、もっこすグッバイ「犬神もっこす・最終巻」



「おばあさんが死んだら冷凍保存したい」
犬神さん





「解答したら元のおばあさんではない可能性もある」
おばあさんは





「冷凍しないで普通に死なせてあげれば?」
ご存命だよ・・・っ!


・・・というわけで、大切なおばあさんをずっと大切にしたいという主人公の犬神宗君。おばあさんが死ぬ時のために、いや、冷凍保存のためにお金を貯め込んでいます。彼がお金に汚い理由が最終巻で明かされたんですけど、ごめん・・・ちょっと場所とタイミングを考えようか。・・・おばあさん聞いてるぞ。


全犬神君が泣いた!?

というわけで最終巻です。変な男、無表情、無感情、金に汚いというどこを褒めていいか分からない主人公が演劇をやってみました。そんな突飛な大学物語犬神もっこすの最終巻が出ました。ただの奇っ怪な犬神君の物語かと思いきや、意外な方向へ行ったな〜と思わされた作品です。すみません。作者の西餅先生の意図する所ではないのかもしれませんが、ちょっと涙がホロリと・・・。



犬神君喜ぶ




・・・キモっ。




感情を心の奥底に閉じ込めていた犬神君。最初から喜怒哀楽といった感情がイマイチ希薄でした。1巻では色々なものに興味を持ち、周囲に迷惑をかけながら演劇部で新しい勘定というものを学ぼうとしていました。演劇部部長も相当ぶっ飛んだ人であり、犬神君が面白いからと演劇部に入れています。その後、本当の演劇の勉強をしたり、謎の美少女に興味を持たれたりしながら成長していきました。成長した結果が“謎の飛び跳ね”行為であることに読者としても頭を抱えてしまいます。これで劇の主役になった“喜び”を表現しているというのだから尚更です。
おかしい。彼はどこかおかしい。ただ、彼はそれを自覚しているし、それを変えようとしてきました。そこで出会った演劇部の面々(ドM先輩含む)、ミス研、ビッチ、先生、そしてヒロインの蔵前さん・・・。彼らと接する内に犬神君は“人の感情”を学んでいったのです。・・・って、これ人に使うようの言葉じゃないじゃん!!!






全員集合

全員濃すぎるし!








大量のカニ

カニが出てくるし!




どうなってるんだ、この漫画は!
いや、カニはいいだろ、カニは・・・。
ビッチがいて、ドMな先輩がいて、全く演劇部と関係のない人間を巻き込んで劇に臨みます。しかしまぁ、劇というよりは・・・犬神君の治療みたいな気がします。カニが好きな女性を演じる蔵前さん。彼女の美貌に目を奪われ、数多の男が彼女に交際を迫ります。しかし、彼女を好きになった人間は何故か・・・失踪する。それについて調査することになった探偵役の犬神君が、蔵前さんの役とあーだこーだやりながら物語を進めていきます。
部長原作のオリジナルの劇であり、犬神君を主役に置いているのが特徴。何度も言いますが、犬神君は感情が欠落しています。そんな人間を劇の主役にするというのはちょっとした冒険だと思うわけで。もちろんそのあたりを踏まえた上で探偵役のキャラを決定してはいます。特にお金が大好きという設定は犬神もっこすという作品の中でも重要な犬神設定ですね。なお、ヒロインの蔵前さんが扮する役柄を好きになると・・・何故か蟹工船に乗るそうです。カニ好きヒロインのために・・・カニを獲りに行くそうです。市場へ買いに行くでは飽きたらず、蟹工船に・・・。愛は盲目ということでしょうかね(違






蔵前さんは・・・

さて、犬神君という変わった人間がいるわけですが、彼をかき乱す人間がいます。それがヒロインの蔵前さん。犬神君が心の奥底に閉じ込めた感情をいち早く見抜き、どうして心を閉じるのかを追求していきます。ただ、それに対して非常に嫌悪感(?)を感じている模様。
嫌だな〜という感情が積もり積もると、普通の人であれば怒ったり泣いたりするのでしょう。犬神君は・・・じんましんが大変なことになります。例えるなら・・・イチゴのツブツブみたい。それでもお金のことを考えれば、じんましんも収まるのですが・・・。
ただ、蔵前さんはどうして犬神君に執着したんでしょうね。最終巻ではなんと押し倒したり、あまつさえ犬神君のメガネを外したり、情事モードっぽくなったりまでしてるんですよねぇ。それに対して、犬神君は巴投げをしてます。興味があるからというにはちょっとレベル高いっす・・・。ただ、それが原因で徐々に開けてきた犬神君の心が閉じこもってしまうわけですが・・・。
しかしまぁ、蔵前さんは美人さんですねぇ。作中、一番の美人さんになります。蔵前さんがただカニを食べるという動画をネット上に流して、劇の観客数が増えるほど。美人がただカニを食べて話題になる・・・。それほど美人だってことだよ!!



犬神の目にも涙

とある学生劇団員の物語と言ってしまえばそれまでなんですけど。やはり全体的に犬神君のカウンセリングみたいな側面もあったかな〜と思ってます。この作品、物語(劇)を演じる登場人物たちの生き方が物語(劇)のようになっていて面白いです。そんなわけあるかい!でも、あるかも・・・?そんな劇を漫画にしていたと感じたわけです。以前同じ雑誌に載っていた「デラシネマ」も、映画を撮る男たちの生き方そのものが映画のようだったと感じました。それに近いものがあります。
で、カウンセリングみたいだった・・・と書きましたが、成功したかしていないかはまだまだ分からない終わり方だったと思います。むしろこれから始まっていくのかな〜と。最終巻で行ったカニ劇は、きっかけだったのかな〜と。もっと言えば、犬神君と蔵前さんの関係もこれからかな・・・と。






劇団員・犬神君の成長は始まったばかりだ!!
















・・・って役ぅ!!!







ギャグ漫画としてシュールさが際立った作品でした。めちゃくちゃ面白かったです。特に先輩の狭山さんのドMカミングアウト回は最高に面白かったです。部長と犬神君がぶっ飛んでるだけでお腹いっぱいなのに、お前もなのか・・・と。あの時点で、まともなツッコミがいなくなりました(残念)。そして作品から漂う謎のくまモンステマ臭・・・。
言い出せばキリがないほどギャグが多かったです。最終巻ということで、犬神君の根本を洗い出しながら劇が進んでいき、そしてお約束のアレがあったり。笑いあり涙ありで終わった作品でした。モーニングはギャグもレベル高いなぁ。個人的には作者の西餅先生の次の作品が気になります。また、ぶっ飛んだ作品を描いてくれるでしょう。まずはお疲れ様でした。次回作楽しみにしてます。