音は届く、どこまでも届く「四月は君の嘘・6巻」



激おこです

宗教にそれほどこだわりがあるわけでもないですが、もし仮に漫画の神様というのがいるのであれば感謝したい。四月は君の嘘という名作を読ませてくれてありがとうと感謝したい。まぁ、某漫画の神様がご存命なら、自分はもっと面白い作品を描ける!と言いながらペンを握りそうですけどねw
1巻のヒロイン・宮園かをりちゃんが泣きながら頭を下げるシーンで心を鷲掴みにされてから、はや6巻目です。とんだボーイミーツガール作品ですよ、ホント。素直に今一番心に来る、感動してしまう作品になっています。読んでないというのであれば勿体ない。今年、読んでおいてほしい作品の一つです。なんせ・・・講談社漫画賞受賞作品ですからね!!おめでとうございます!!やったー!!
http://corp.kodansha.co.jp/award/manga.html


さて、主人公の有馬公生がプンプン丸になりそうな勢いで起こっています。それもそのはず、本当は6巻の主役となるはずだったヒロインが・・・失踪してしまいました。





お似合いの2人・・・?

この作品は2人の中学3年生、有馬公生と宮園かをりによるラブストーリーです。公生はピアノ、そしてかをりちゃんはヴァイオリン。それぞれの世界で将来を嘱望されており、音楽の力か愛の力か、2人はボーイミーツガールしています。不思議なことにお互いを「君」と呼び合い、公生はピアノを通して告白状態ではありますが、方やかをりちゃんは謎が多いまま(公生のことをどう思っているかもあやふや)。音楽の情景に感動させられまくりな一方で、恋愛パートも気になるところなんですけども。
かをりちゃんがヴァイオリンのコンクールに招待され、伴奏に公生を指名しているところから6巻は始まっています。演奏中の自分の音が聞こえなくなるという病に悩まされる公生。自らの音を見つけられないまま伴奏をするも、かをりちゃんと言い争いが絶えない毎日のご様子。喧嘩している状態も日にちが過ぎる頃には名物となっていたり。


主役の座はいただくわ

そもそもピアノをやめていた公生。それを復活させたのは彼女でした。公生がピアノをやめた理由は母の死によるもの。周囲も公生がピアノを再開することはないと思っていた中、音楽のなせる業か、恋が起こした奇跡か、公生はピアノを弾き始めています。それが「四月は君の嘘」という作品の根幹といったところでしょうか。
・・・で、今度のコンクールは公生はあくまで伴奏なんですよ、伴奏。あくまでも主役はヴァイオリンのかをりちゃん。それなのに、本番当日・・・・・・・彼女は来ませんでした。



いや、このまま「〜FIN〜」とかになったら、それはそれで(別の意味で)すごい作品となったことでしょう。しかし、公生は突飛な行動に出ます。


色々と悩む公生


師匠「衝動に身をゆだねるべきだわ」

会場に来ない今日の主役(ヴァイオリニスト)

衝動に身をゆだねる公生

伴奏の公生が一人で演奏を始める

自分がすごいことを証明する

宮園かをりはもっとすごい




僕は凄い、宮園かをりはもっと凄い

何かがおかしい。
いやいやいや、その理論おかしくない?えっ、衝動に身をゆだねた結果だからしょうがない?無茶だよそれはwwww 野球を観戦してる途中に選手がサッカー始めたらどう思うよ。無理あるでしょ・・・?
でも、やってしまうんですねぇ。何度も言いますが、ヴァイオリンのコンクールで伴奏のピアノしかいないんですよ。普通ならあり得ませんよね。しかし、彼らが元々選んでいた曲はクライスラー作曲「愛の悲しみ」・・・のラフマニノフピアノ編曲版。ピアノ用の曲です。これを選んだのはかをりちゃん。もっと言うと、公生の母が愛した曲でもあります。

四月は君の嘘公式ピアノ動画です。演奏が終わった時、思わず拍手してしまいました。





ピアノを弾いてもいいんでしょうか

話は戻って公生の“音”について。
彼は今、音が聴こえない状況にあります。それは母の死に直結したトラウマから来ています。ピアノの演奏者として自分の音が聞こえないのは致命的であり、ピアノを弾くことすら恐れてしまった公生。まだ復活の途中・・・。
トラウマの1つとして、最後に酷いことを母親に言ってしまった(そのまま死んでしまった)という事実があります。母は自分を愛してくれていたのか。自分は母に対してどう接するべきだったのか。色々と悩み、2人を繋げていた絆でもあるピアノに現在手を置いていることに自問自答中です。


音が聴こえなくなるのはおくりもの

音が聴こえないは“おくりもの”。そう言ったのは、公生の母の友人であり、現在の公生の後見人でもあり師匠でもある瀬戸紘子。外部からの音がない状況は、逆に自分がイメージする音を出せる状況だと力説してます。もちろんそれだけの技術があることが前提です。そして、その技術は公生の母が与えてくれていました。
これから公生が弾く音は、彼の指と足と心と本能のままに奏でる音。外部情報のない、自分が弾こうとイメージしたそのままの音が演奏されます。そこには彼の母が残した徹底的な技術があります。彼の母が残した・・・音があります。


公生に残した想い出

公生という少年のピアノは、一人で築き上げたものではなく彼の周囲が与えてくれたものです。彼の母が残してくれたものでもあります。
そう考えてみると、5巻以前で見せた公生の母親の姿がちょっと違って見えてきますね。ヒューマンメトロノームとまで称されたピアノマシーンを作り上げた公生の母。ミスると公生を叩いたりもしてます。公生がちょっと感情を込めた演奏をして、キレたりもしてます。ぶっちゃけ酷いと言わざるを得ないレベルの鬼教官でしたが、母親としての彼女はどうだったんでしょうね。
公生にピアノを弾かせるキッカケを作ったのは紘子さんでした。公生の才能に気付き、いち早く公生の母にピアノをさせることを勧めました。その時、きっと公生の母は喜んだことでしょう。紘子さんから「公生は天才だ」と言われ喜んだでしょう。ほんのちょっとした間違いはあったかもしれませんが、きっと公生が公生たりえるのは、母のおかげでしょう。





6巻はとても好きな巻です。
1巻のかをりちゃんとの出会いに心を鷲掴みされました。2巻、3巻での公生の久しぶりの演奏、かをりちゃんに支えられながら圧倒的な熱量で演奏を魅せられました。4巻、5巻では公生のライバルによる対抗心メラメラな演奏、新しい公生を印象づける演奏に涙しか出て来ませんでした。そして、6巻です。まだ演奏の途中でしかありませんし、かをりちゃんとのやり取りの多い巻でしたけど、それ以上に“これまでの有馬公生”と“これからの有馬公生”を描いていました。
かをりちゃんは、暗い闇に沈み込んでいた公生を引き上げてくれました。公生の母は、思い出と技術を残してくれました。






魅了し始める音・・・

そんな公生の音が届き始めます。ヴァイオリンの演奏を聴きに来た観衆に届き始めます。
ヒューマンメトロノームではなくなった、公生の音は変わり続けます。最初は母が残した“技術”だけによる演奏、そこから母が残した“思い出”とかをりちゃんが与えてくれた“勇気”による演奏へと切り替わります。この場面、とてつもなく痺れます。漫画なので音は聴こえません。でも、すんげー音になったというのが分かる場面。ゾクッとする場面。四月は君の嘘ってすげーなと思わされる場面。
観衆がすげーと思う時、だいたい読者的にもすげーと思ってます。当たり前ですが・・・。



私達の息子がお別れをしに行くから

そして演奏は終盤へ―。残念ながら続きは7巻に行きます。ヴァイオリンを楽しみに来ていた観衆にどこまで公生のピアノは届くか。彼を見つめるライバルにどんな音として捉えられるか。いないかをりちゃんへのクレームw、死んだ母への惜別の音はどこまで届くか・・・。きっとすべての人に音が届くことを信じて。7巻が楽しみですね〜。




主役はかをりちゃん・・・かと思いきや、公生が主役なシリーズと相成りました。かをりちゃんがヴァイオリンで活躍したのって最初くらいじゃないかな??以前にも、入院したり、クスリを大量に飲んでいたりと不穏な状況なだけに心配です。6巻でもかをりちゃんの両親が登場し、こちらもやはり不穏な感じ・・・。うーん、どうなってるんだ??まぁ、コンクールでのかをりちゃんの活躍は影を潜めてますが、要所要所での公生へのサポートは素晴らしいです。四月は君の嘘というタイトルを見ていて一番心配なのが、四月に出会った彼らが四月に別れることになったらどうしよう・・・ってことなんですが。ちょっと心配しすぎかもしれませんけどね〜。
しかしまぁ、何度読んでも面白いですね。講談社漫画賞も納得の面白さです。1話目からずーっと面白いと言い続けてきましたが、世の中がようやく追いついたな〜と思うわけです。今回で6巻目。集めるならそろそろじゃないですか??絶対に読んでほしい漫画ナンバー1です。オススメです。