走り続けるcapetaという物語「capeta・最終巻」



capeta最終巻

capetaが最終巻を迎えました。この作品に何度感動させられたでしょうか。何度涙を流させられたでしょうか。主観的な感想ですが、一昨年から最強雑誌は月刊少年マガジンでした。ましろのおと四月は君の嘘ボールルームへようこそといった感動作、そしてドンと構える長期連載陣。そして雑誌における面白さの厚みを与える連載の数々。今ではこれだけの雑誌になってますが、BECKが終わった時・・・正直言って月マガも辛くなるなぁと思ったものです。しかし、capetaという作品が月マガを引っ張り続けました。今の月マガがあるのはcapetaのおかげだと思います。その点、本当に感謝の言葉以外ありません。俺が感謝するのも変な話ですが。
最終巻を読んだ時、感動という感情ではなく先に満足感が来ました。やりきったなぁと思ったんです。それと同時に嬉しくなりました。
capetaめっちゃおもしれー!!!



いっしょに考えようぜ

マカオGP、ラスト数周になった場面でトップを争ったのは、主人公のカペタと最強のライバル源でした。予選で慣れないコースに四苦八苦したカペタでしたが、何とラストで2位の位置まで追いついてます。その間、源による故意のクラッシュ(カペタも考えたが実行せず)もあり、最終巻の順位(1位:源、2位:カペタ)となってます。
クラッシュを起こした源でしたが、その影響もあって足回りが不安定だったんです。しかし、コースレコードを出すなど絶好調。それもこれも後ろにカペタというライバルがいたからこその走行だったかもしれません。この二人、お互いに天才であり、お互いに怪物。そして、常に高めあえる存在でもあります。
ただ、主人公はカペタなんですよねーw あまりにも天才的なテクニックを見せる源に対し、追いつけずにいたカペタ。そんなカペタが拠り所としたのが本当に苦労した少年時代の思い出。幾度と無くカペタを救ったのは、少年時代を過ごしたカートでの思い出です。夢のなかで少年のカペタが叱りに来たこともありましたっけ。そんなカペタがカート時代に無意識的に行なっていたのが“マシンの声を聞くこと”だったわけで。言い換えると、“マシンの走りたいように走らせる”とのこと。さすがに凡人には到底届かない考え方ですねぇ・・・。


2人の勝負の行方・・・

源の運転が一番速いのか?それともカペタの運転が一番速いのか?レースはそれを決める場所ですが、それぞれに個性があって面白いですね。源は圧倒的なブレーキテクニックを持ち、通常は曲がりきれないポイントまで我慢してブレーキを踏むという芸当を見せます。それだけ相手より速いわけですよ。一方のカペタはスピードを落とすためのブレーキを踏みません。それだけクルマに対して無理な制動をさせていません。それがカペタ“ヌメっと”した運転の秘訣です。
使ってるエンジン、足回り、そしてテクニック。絶対的に一番の組み合わせなんてきっと無いんでしょうね。誰が乗っても一番の組み合わせとか無いんでしょうね。色んな要素がある中で自分にとっての一番を見つけ、それを競い合っています。そのセッティングで、且つ自分に合ったコースの勝負どころを見つけ、カペタも源も走っています。そういったレースの本質をちょっとだけ垣間見ることができたように思います。それまでマシン性能という部分がよく出ていただけに尚更かもしれませんね。
さて、そんな2人の勝負の行方はどうなったでしょうか。正直に言います。どっちが勝ってもおかしくなかったと思います。きっとカペタが勝った物語も、源が勝った物語も面白いに違いありません。まぁ、どうなったかは・・・読むのが一番ですよね!!





とあるカラーページ

最終巻で作者の曽田先生は、改めてcapetaという物語がどういうものだったかについて語っています。その中で、何も無かった少年が勝つための様々なスキルを身につけいく作品であると書いていました。カペタのレースはマカオまでしか描かれてませんが、カペタはF1に載る将来が見える作品だったように思います。これは曽田先生も認めるところ。カペタが乗っていそうなチームまで言ってましたねw
さて、そんな場所までカペタが成長できたのは、少なからず周囲の支えがあったからに他なりません。源という最高のライバルがいました。初期のカートに乗せてくれた父親という存在、カペタの生き方の指針を示してくれた社長もいます。イサムがいなければカートで成長できていたか分かりません。リョウという負けたくない相手がいたことも幸いしたでしょう。アキラとの対決が世界で戦うため翼を与えてくれたに違いありません。最終巻冒頭の1ページにあるカラーページ。ここにはカペタの成長に必要だった人たちが描かれています。全員が必要であり、誰か一人欠けても今のカペタはいなかったと思います。もちろんノブやモナミがいなければ頑張ってこれなかったかもしれませんね。カペタは皆に支えられたいた。それを証明するような1ページだったように思います。同級生の女の子・・・?うっ、急に頭が・・・



秦さんの勇気

先のカラーページでカペタの隣にいるモナミと秦さん。モナミは源の彼女ですが、秦さんは・・・・?そんなことを思っていたら、なんと多くの人が見守っている中、秦さんがカペタに告白するというイベントが発生しているのも見どころ。ちなみにカペタの方が2歳年下です。
いつも強気だった秦さんが、カペタにべた惚れというのがいい。すごくいい。「好き、大好き!」のところなんて最高ですね。カペタと秦さんといえば、正月の初詣イベントですかね〜。もしくはスポーツジムでの一幕?何にせよ、わりとカペタの好みとドンピシャだったようです。そもそもカペタさん・・・年上好きやからなぁ。同級生なんていらんかったんや!!(酷



先はまだまだ長い

マカオで良い結果を出したカペタですが、そこからの道のりもまた長いわけでして・・・。源は既に海外で走っていますが、カペタはまだ東洋の一選手でしかありません。また最初から次へのステップを築いていく必要があります。しかし、未知なる世界へ飛び込むのも、最初は苦戦しても最後は何とかしてしまうことも、いつの間にか敵なしになってしまうのも、いつものカペタなんですよね。カペタは苦境をブレイクスルーする知恵も方法も身につけてます。どんな場所であってもカペタカペタのままでしょう。カペタが力を身につけた今、曽田先生が描くことはなくなったと判断しても仕方のないことかもしれません。

願わくば、世界へ羽ばたいたカペタに“新しい竹森さん”が見つかるといいな〜と思います。






今日も明日もずっと・・・

これは最後のページ書かれていた言葉ですが、曽田先生の「物語は終わるけどカペタたちはまだまだ走り続けるよ」という意思が表れていますね。30巻以上カペタを見てきた者として、どんなことが待ち受けていてもカペタは走り続けるだろう、ずっとレースに関わっていくだろうというのが見てとるように分かります。
カペタが今度どういった人生を歩んでいくかは、capetaという作品を楽しんだ読者それぞれが想像してもいい領域でしょう。曽田先生は赤いF1マシンに乗っているだろうなぁと想像していましたが、もしかしたら違うかもしれません。自分が思ったのだと、例えばモモタロー印のF1マシンに乗っていたら面白いなぁとか、源と同じチームだったら面白いかも?あるえるかも?とか、弱小チームにいて強豪チームの源と切磋琢磨してるかも?なーんて思ってみたり。・・・カペタって夢を見させてくれる奴なんですよねぇ。



月マガは天才が描かれることが多い雑誌です。主人公以外の登場キャラはそんな天才キャラに期待を寄せます。もっと言えば、読者ですら主人公たる天才キャラに期待します。そんな期待に応えてもらった場面を見た時、やっぱり・・・泣いてしまうんですよね。特にカペタの不遇からの逆転は、何度見ても我が事のように喜んでしまいます。だから天才漫画は面白い。
さて、曽田先生はまた月マガに帰ってきてくれるでしょうか。正直言うと・・・最初は月マガ似合ってないなぁとか思ってました。すみません。どうしても余所の雑誌をイメージしてしまったので。しかし、月マガの看板作品として堂々のアニメ化、講談社漫画賞の受賞を受けた作品となりました(受賞しないわけねーだろ!って名作だった)。もう月マガは曽田カラーが充満してますよ。帰ってきてほしい。それが今望む精一杯の願いでしょうか。まずは「capeta」終了、お疲れ様でした。また講談社で描かれることを首を長くして待ってます。