姫とヒロと最高のフィナーレ「怪物王女・最終巻」



限定版を買いました

月刊少年シリウスを創刊(あたり)から支えてきた怪物王女。ついについに最終巻が出ました。怪物王女といえば、シリウスの看板作品。週マガで言う一歩。アフタで言う女神さま。月マガで言うなんと孫六(でいいのか?)。それだけ雑誌内でも地位ある作品が終わってしまいました。正直に言えば残念でしかありません。ただ、限定版に付いてくる作者の光永康則先生による各話解説を読むと、本当に自ら幕引きを考えて終わらせているようなので・・・。何と言うか潔い・・・ですよねぇ。
というわけで、最終20巻には限定版があります。光永先生によるカラーイラスト集であったり、各話解説であったりが載っています怪物王女ファンなら買うしかない!!なお、通常版も買っております。




王位継承の戦いも終盤

怪物王女といえば、ホラーテイストでありながら可愛い女の子がギュンギュンすることで有名ですね。また、何を持って本筋とするのか混乱してしまうほどに単独シリーズが多いのも特徴。そのシリーズ毎のお話がまた面白いんですよねぇ。
例えば20巻最初のお話では海獣に襲われています。人の気配があるようでない街を訪れ、いつの間にか潮位が上がり、沈みゆく街の中で戦うお話。結論的には巨大なタコの仕業だったようです。巨大でユカイなタコが、自身でコツコツと作った街風テーマパークに人をおびき寄せて襲っていました。それを、主人公でもある姫が・・・気品だけで倒しました(間違ったことは言っていない)。
というわけで、かなり単発シリーズが多いんですけど、その根幹には、怪物たちの王の血筋として王位継承争いを兄妹たちと繰り広げるというストーリーがあるわけで・・・。フヒトやエミールといった王子はさておき、王女側としての最大のライバルでもある姉のシルヴィアが最大の障壁・・・。




わいるどまんさん「令裡は戦友」

話は変わって、姫のお仲間のお話もある程度の結論が出されてます。特に人狼のお偉方に対して「令裡は戦友だ」と言い切ったわいるどまんさんには痺れました。いつも仲の良い喧嘩ばかりしていますが、本来は交わるはずのない種族同士で戦“友”だと言ったんです。わいるどまんさんカッコ良すぎ・・・。それだけの死線をくぐり抜けて来ましたからね。このお互い認め合っている感じがとても好き。
一方の令裡の方は、まさかまさかの吸血鬼新キャラ投入という・・・。吸血鬼のグレタさん(令裡の幼馴染)を最後の最後に投入して、令裡に吸血鬼世界への復帰を勧誘しています。もちろん断ってます。むしろ、人狼界へと出頭させられたわいるどまんさんを心配してたり。めっちゃいい関係ですね!!!20巻分の友情が二人を繋ぎます。ぶっちゃけ、この二人の関係性がとても好きです。



“あっち”の姫が大変

さて、作品で最も重要となる話題、王位継承問題にも決着がついたようなつかなかったような。とりあえず、姫がシルヴィアの世界に引きずり込まれ、分の悪い戦いを強いられます。もちそんそこに駆けつけるのは、血の戦士たるヒロ。何というか・・・最強だな〜、この子。
姫を救うべく時空を超え・・・というのは、20巻分のお楽しみかもしれませんね。読者に怒られないかな?と光永先生は心配してましたけど、というかこの終わり方は決めていたようですけど、らしいっちゃらしい終わり方だな〜という感想ですよ、俺は。まぁ、怪物王女が好きな人は納得して読んでたんじゃないかと勝手に思ってます。


最後は勢揃い

姫はシルヴィアを倒せたのかどうなのか。姫は王になれたのかどうか。そのあたりは20巻読んでこそだよな〜と思います。多分、ここの文章を読んで想像がつく終わらせ方とは違うと思われます。逆に最終巻だけ読んでも絶対に分からない仕組みにもなってますねぇ。これは当然かもしれませんが。


ホラー好きにはたまらない作品でしょうね。光永先生もそのあたりを意識していますし。残念ながらホラー知識はないんですが、とても楽しめたことは重要です。何が一番大切って、“絆”を大切にした作品だってことです。光永先生も語ってますが、怪物王女という作品は言ってしまえば「姫とヒロの物語」なんですよ。姫はヒロを心底信頼し、ヒロは姫を本当に大切にしている。色んなものを削ぎ落としたら、きっと姫とヒロの関係性だけが残りそうな気がします。それだけ大切な事項ですし、それこそが怪物王女だとも思います。

この物語はヒロという少年が、姫という少女と出会う物語なのです。

これは光永先生のお言葉ですが、この言葉を読んで「あぁ〜確かに」と思ってしまいました。これほど納得させられたのは久しぶりです。



怪物王女が終了というのは個人的になかなか感慨深いものがあります。1巻の絵とかを見直しながら、だよね〜とか言いながら読み返すわけです。本当に好きな作品でした。でまぁ、最終巻が出たらいつも必ず言ってる言葉があります。「次回作が楽しみ」っていつも言ってるんです。でも、光永先生・・・とっくに「南Q阿伝」やってるんだよなぁ。なので、あえて言うなら、次回作はとっくにやってるけど続けて頑張ってください!!めっちゃ面白いです!!・・・ということで。




南Q阿伝もかなり面白い・・・というか可愛いですよ!!