戦争に巻き込まれる優しい魔女たちの物語「ディアボロのスープ・1巻」



大暮維人先生推し!!

面白い。ただただ面白い。
昨年末、別冊少年マガジン綺羅星のごとく現れたディアボロのスープ」が面白い。泣けるし、ワクワクするし、何より女の子が可愛いし。別マガは進撃の巨人だけじゃない。そんな勢いを見せつけてくれた作品だと思います。2013年、面白い漫画に乗り遅れてはいけないと思ってる人にとっては、手をつけておく漫画だと言っておきます。え、進撃の巨人?そんなの軽く超えてしまいますよ。・・・・あれ、盛り過ぎか?


宣戦布告を受けた

舞台はエダークス公国と呼ばれる平和な国。そんな国が隣接するスペルビア帝国は近代化が進み侵略国家となっていました。資源ある平和な国エダークスに訪れる軍靴の音。方や農具、方や圧倒的な銃火器戦況は言わずもがなといったところですね。この作品、普通の戦争ものかと思いきやちょっと違います。平和な国、エダークス公国には“魔女”と呼ばれる存在がいます。国民全てが〜というわけではなく、色々な町に一人ずつ魔女が常駐し民を守り続けます。




例えば魔女ナタの場合

人民よ、魔女を称えよ。さすれば魔女は人民を満たさん。

↑はエダークスにおける人民と魔女との関係性を表したものです。人民は魔女を慕い、魔女は人民に多くの施しを与える。例えば魔女の仕事の一つに“魔女のスープ”を作るというものがあります。土地自体にそれほど栄養がなく、あまり作物が育たない土地のため、普通であれば栄養が足りなくなる。ただ、それでも魔女が魔力を入れたスープを作ることで、民は生きることが可能となります。これが魔女の仕事の一つで、人と魔女を繋ぐ重要な関係性でもあります。。まぁ、タイトル通りですね。



例えば魔女ハチヒメの場合

その他に、有事の際には“悪魔”を召喚するという仕事があります。上述していますが、スペルビア帝国が攻めてきたため町の人々を守るために悪魔を召喚して戦います。近代兵器vs悪魔。これがディアボロのスープという作品における見どころの一つではないでしょうか。ハチヒメが使役した悪魔は非常に大きく、いいマトとなり敗北。仇を打つことを約束し、一人敗走・・・。町の人は、ハチヒメを逃がしつつ死亡。


例えば魔女リュウコの場合

西北西の村を守る魔女リュウコは、悪魔のモロクを使役し、村人と、自分を姉と慕ってくれる魔女ウイを守るために戦います。魔女という存在は町や村にとっての代表です。魔女たちが最も強く、というか戦力としては彼女たちだけしかおらず、人民が慕ってくれる限り戦います。なお、兵力差が大きく・・・魔女リュウコは・・・。(死んだ姿はとても残酷です。グロ注意と言わざるを得ない。)







例えば魔女ほおりの場合

魔女ほおり。彼女が主人公魔女だと思われます。主人公ですが・・・ポンコツっぽいです。特に魔女のスープがヤバイです。食べてくれる民の多くから苦情が来るレベルで不味い!!ダメ魔女の修行として滝行をやらされたりしてます(魔女的には屈辱w)。本来であれば代表なんですけど、彼女の言葉に誰も耳を傾けていません。愛されてはいるんですけどねw  いじられキャラと言ったほうが近いかもしれません。ダメな子ほど可愛いという・・・。
ナタもハチヒメもリュウコも。魔女たちは自分を慕ってくれる人々のために戦いました。中にはリュウコのように命を絶たれてしまった魔女もいます。魔女の多くがリュウコと同じ道を辿ったはずです。ハチヒメも傷だらけになりました。ナタも傷つきました。リュウコは残念でしたが、彼女が守ろうとしたウイは生きています。エダークスで最初に襲われた西側の町や村、都市にいた魔女の多くは帝国の急襲によって滅ぼされました。・・・滅ぼされたんです。
(人々が盾となってくれたおかげで)生きているのはハチヒメ、ナタ、ウイ、言及していませんがネネという魔女、そしてほおりが生きています。あと、えーっと、ほおりは戦っていません。


ほおりを助けたいから

ほおりを助けるため・・・村人は自害しました。死体の群れとなって地下に隠したほおりを守りました。帝国軍もさすがに死体の群れの下まで探さないだろうという判断。地下から出てきた時、その場には黒焦げの大切な人たちの姿がありました。もう一度言いますが、ほおりは魔女として落第点です。しかし、人々から好かれていました。ほおりと過ごした生活が楽しく、ほおりを大切にしていた村人は自らの命を持って・・・ほおりを守りました。立派な魔女となってほしいという願いを込めて。






誰かのために―。




そんな気持ちが強い作品であり、戦力差という部分がとても大きく大きく伸し掛かる作品でもあります。第1話では全く歯がたたない魔女たちと、ただただ殺され続ける人民の姿が描かれました。確かに悪魔という力は強いですが、最強の格闘家が兵器に立ち向かうようなものです。普通であれば全滅。このままいけば公国も終了。そんな中、切り札とも言える男が一人。



テンマという謎の男

“魔女”という存在が際立つ中、エダークス側の対抗勢力唯一の男・テンマ。第1話ではりつけにされながら、また魔法が使えないように罪人が刑を受ける塔に閉じ込められていました。長年目隠しをされており、常人であれば精神がおかしくなりそうな刑に処せられているにも関わらずへらず口を言い続ける謎の男。
ただ、戦術眼はなかなかのものです。エダークスが戦略なしに次々と町が落とされる中、エダークス側の人間としては多分彼一人が戦争を知っているようです。生き延びた魔女たちはテンマのところへ集められ、彼に従うように中央の魔女から命令されます。ほおり、ハチヒメ、ネネ、ウイ、ナタという魔女たちに対し“4回も実験できる”と不穏なことを言うあたり怪しすぎです。




魔女システムについて

魔女といっても一律的なものではなく、使役する悪魔は違うようです。また、階位というものが存在し、偉さ(給金)も違うそうな。生き残ったメンバーの階位で言えば、ほおりが一番下ですね。努力を重ねれば階位も上がるようですし、ハチヒメのように飛び級するほど優秀な魔女もいたり。魔女家系の中でも一握りの者しか魔女になれないようです。当然、女性のみ・・・のはず。
また、悪魔についても名前が付いていたりと多岐にわたる種類がいそうです。リュウコとウイが同じく“モロク”という悪魔を使役しているのはちょっと気になるところ。最初はペットに名前を付けるような感覚なのかな?と思ってたんですけど、ある程度悪魔の種類は決まっていて、自分に合った悪魔を呼び出すんじゃないかと思われ。あくまでも可能性なので、似たような悪魔が多数出てくる可能性もありますし、個人個人での特注悪魔が出てくる可能性があります。この悪魔の特性という話題が掘り下がってくると、もっともっと楽しくなってきそうな予感。

ハチヒメ:階位4。悪魔はアスタロト(でかい)。
ネネ:階位8。巨乳。悪魔はブエル。
ナタ:階位9。悪魔はフルフル(火を扱える)。
ウイ:階位13。悪魔はモロク。
ほおり:階位15。悪魔はバフォメット(スライム状)。



ほおりを守った連中がいるんだ・・・

この作品の根源的なものは、やはり第1話にあると思うんです。平和な国を襲った未曾有の危機。その中で、エダークスという国の成り立ち、魔女制度について、そして人々の強さを思い知らされるわけです。大切な人たちに守られて生かしてもらった魔女たちがいる。いつも身近にいてくれた魔女を守ろうとした人たちがいる。魔女を救った方法は様々ですが、“誰かが誰かのために”が根付く国に起きた戦禍。涙無しには読めません。
また、生き残った魔女たちがテンマという不気味な存在に率いられながら、それこそ彼女たちが苦手とする戦争・人殺しに加担していくわけです。平和ボケした魔女に戦争ができるのか。テンマは何をやらかそうとしているのか。本当にエダークスを守れるのか。とてもとても楽しみな作品です。あと、ほおりちゃんのパンツペロペロ。



1巻ではテンマによる対帝国戦が数回発生しています。なかなか面白い戦いをやってくれているのも見どころ。ロクでもない奴ですけど、腕は確かだと思う部分が大きいです。最後の最後で「えっ?」という展開があるのも重要。なお、テンマと喧嘩しまくりのナタさんはかなり無能な模様(←重要
もっと戦術面が面白いことになると・・・今後の作品が素晴らしいことになると思います。それとエダークスの中央都市がどんな考えを持っているのかも重要。意外と降伏したら?という派閥がいる可能性もありますし・・・。まだまだ掘り下げ要素が多くて楽しみです。女の子が可愛いのも素敵。まだまだ可愛い魔女が増える可能性もありますしね〜。兎にも角にも、第1話を読んで泣きましょう。オススメ。超超超オススメ。