ヒーローは連れ子の心を掴めるか「彗星継父プロキオン・1巻」



新しい親子関係を築けるか?(なにげに表紙裏が面白い)

めっちゃ面白い。
ITANで連載している「彗星継父プロキオンが面白い。ヒーローものかと思いきや、ヒーローという設定が日常の足を引っ張る設定が素敵。特に変身前と変身後の“子供からの”反応が違いすぎて面白い。変身後はまごうことなき世界のヒーロー。ただ、変身前は職業不詳のナヨナヨ眼鏡。ツナギ+ワイシャツ+ネクタイ+サンバイザー+指ぬきグローブ。これが・・・、これが・・・あなたのお義父さんよ(´;ω;`)ブワッ





彗星人が地球人と恋に落ちました

彗星人のプロキオン、地球名は流星士郎。侵略宇宙人から地球を守るためやってきた彼は、地球に降り立ったその日に女性(+息子)と出会います。離婚届を出しに行く途中に出会い、二人は恋に落ちます。ただし、彼女はすぐさま海外へ転勤することになり、日本に残されたのは星士郎と連れ子の天川郁生・・・。ぶっちゃけ、うまくいってません。
そもそも、いきなり父親だと言われて納得できるわけがありません。家に帰ってきた星士郎に対し、「いらっしゃい」の一言。心を開かない郁生に対し地球人的な接触ができない星士郎(宇宙人)。何というかナヨナヨしてて、ニヤニヤしてて、力強い父親というスタイルから程遠いのが難しい。宇宙人だからね、仕方ないよね。・・・特に何が一番痛いか。それは星士郎が仕事を明かせないということ。本当は正義のヒーローとして怪物たちと戦っていますが、それを明かすわけにもいかず。何よりも、急な敵の襲来によって親子の時間をぶった切られるというのも痛い。というか、敵の登場タイミング悪いですwww





プロキオンはヒーロー



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でも、星士郎はダメオヤジ(仮)


プロキオンを見てはデレデレの郁生。そして、それは自分だと明かせない星士郎。作中ではプロキオンの戦闘シーンなんてほぼありません。むしろ、星士郎と郁生の得も言われる悲しい心の戦闘ばかりが描かれます。とは言っても、星士郎は努力してます。努力がいけない方向になっているのも否めません。でも、頑張ってるんです。一目惚れした女性が一週間後にいなくなり、連れ子と二人きりの生活をしている宇宙人としては頑張っている方だと思います。ただ、ただ、人間としての星士郎は微妙。正直微妙・・・。




(注)どちらも宇宙人です

何度も言いますが、ヒーローたるプロキオンの戦闘シーン(活躍場面)はあまり描かれません。ナントカパンマン並にあっという間に敵は倒されています。星士郎:プロキオン=1:9くらいかと思われます。そんなわけで、地球人としてのお話が多く、郁生の祖父だったり、嫁(仮)の妹だったり、妄想癖の激しいお隣さんだったりが登場。中には星士郎と同じく、子供との距離を悩む宇宙人の父親だって登場します。意気投合してますが・・・敵です。


(注)どちらも宇宙人です

郁生のクラスの先生は宇宙人。転校してきた少女も宇宙人。なんともまぁ・・・狭い世界ではあります。先生の方は賞金稼ぎだったりします・・・が、副業でもある先生業の方が忙しいという。そこそこ強いらしいんですけどねぇ。プロキオンに惚れつつあるようですし・・・。あ、もちろん星士郎には全く興味がない模様。
一方、転校してきた女の子の釈ちゃんは郁生にベッタリだったり・・・。星士郎が仲良くなったお父さんは釈ちゃんのお父さん。もう完全に家族ぐるみですな〜、あははは。・・・4人中3人が宇宙人ですけどw。ちなみに釈ちゃんのお父さんは宇宙的な企業の中間管理職です。父親も娘を自分のことを“弊社”と呼び、相手のことを“御社”と呼びます


釈ちゃん、ぐうかわ。

1巻の終盤で釈ちゃんが変身し、クラスのピンチを救います。この後、大変なことになるわけですが・・・。何が一番大変って・・・郁生の本当の父親が出てきて1巻終了ってことでしょうなぁ。あ、釈ちゃんの方はわりとクラスに受け入れられています。先生は変身せずに乗り遅れてますが。とにかく、宇宙人の皆さんも色々と大変なようです・・・。





プロキオンにご執心

郁生が心を開かない理由もよく分かります。星士郎が辛い状況だというのもよく分かります。その関係性がとても面白いんです。職業ヒーロー。でも無職。どこかで聞いた設定ですが、重要なのはそこではありません。それが原因で家族関係、継父としての立場が危ういという点が非常に面白い。無職だけど敵を倒すことで得られる報酬が2億ある。そんなお金があっても稼いだ方法を明かせないからどうしようもないクズに見える。プロキオンは頑張ってる。頑張ってるんやで・・・。
もちろん周囲のキャラクターの個性も作品的には外せないです。例えば星士郎のお仲間もおかしな人間(宇宙人)がいっぱいですし、郁生のペット(プロキオンの友)ですら星士郎に気を使ってくれる宇宙犬。主要キャラで唯一のマトモな人間は郁生くらいなんですよね〜。先述した郁生の祖父たちもおかしいっちゃおかしい気がする・・・。まぁ、そのあたりは読んでもらって確認してもらうということで。
あと、出てくる敵のフォルムも凝ってて好きです。夢の世界(ヒーローもの)に社会的なものを持ってきすぎて好きです。世界の平和はもとより、親子の絆を作り上げることはできるのか。今後がとても楽しみです。オススメ〜。



書き終わってから、作者はシュメール星人描いてたって言えば大体のものが掴めるんじゃないかと思ってしまった。