凡田夏之介は好きですか?「グラゼニ・8巻」



グラウンドにはゼニですよ

プロ8年目の中継ぎ、年俸1800万円。そんなプロ野球漫画としてなんともまぁ微妙なラインを描いた作品グラゼニ。その主人公の凡田夏之介が転換期を迎えています。というのも、それまで左のワンポイントとしての役割を求められていたのに、何と投手の花形でもある先発投手を任されることに。左の先発不足というチーム事情によるものですが、なかなか苦労しているようです・・・。


先発を頑張ってます・・・

決して無能だとは思いませんが、夏之介が所属するスパイダーズの田辺監督がねぇ・・・。チーム全体の〜というよりは、夏之介の扱いがちょっと・・・と思います。先発として育てようというのではなく、どこか中継ぎの延長のような。元々が中継ぎ根性丸出しの男だったのに、急に先発を言い渡されて、登板間隔に慣れない日々。時にはコーチへ中継ぎ戻せな目線を送ったり、短期間に3回も先発させられたり(3回×3回をパーフェクトに抑える)。夏之介自身は中継ぎをやりたいと思っているのに、それを知ってか知らずか先発で起用し続けます。
というわけで、1巻で中継ぎをやりながらグラゼニを追いかけていた男が、8巻では立派に先発マウンドに立つことになっていたり。なお、前巻の7巻目からに引き続き・・・まだ0勝です。



8巻の主役です

ただでさえやりたくない先発に四苦八苦していた夏之介ですが、そんな夏之介を差し置いて、8巻の主役は捕手へと移っていきます。グラゼニ投手が夏之介なら、こちらはグラゼニ捕手の丸金千太郎。年俸500万の二軍捕手です。レギュラー捕手の寺杉さんが怪我で入れ替わりに一軍に来た千太郎とバッテリーを組まされます。
作中でも描かれますが、プロ野球には一軍の最低年俸制度があるんですよ。最低年俸は1500万円。千太郎からすれば現在の3倍にもなるお金です。なお、差額は日割りによる計算になるため、1試合に出る毎に6万6千666円が支払われます。日当が7万円近い・・・。そんな金額が保証されているのがプロ野球という世界ですよ!!!将来的なものが不安定なことを差し引いても、すごい世界です。


・・・で、そんな千太郎ですが、捕手としてはイマイチです。もちろんレギュラーと比べて〜ということなんですけど、“たまたま”夏之介のボールが良くて被害は最小限に食い止められます。




満塁ホームラン打ちやがった!!

この千太郎という男、なかなか侮れません。親孝行に妹孝行という設定だけでもかなり良い持ち味を持っているのにも関わらず、何と比類なき打棒を持っているという設定。おいおい、野球漫画かよ!とツッコミを入れたくなる存在になっていきます。8巻からのぽっと出のキャラではありません。本当に活躍していくようです。
目がキラキラしすぎて暑苦しいですが、金のために打ちまくります。金という部分を差し引けば、実に野球漫画らしいキャラクターだと思うんですよ。家族のためにどうしても打ちたいと思っていた人間が、偶然にも二軍から引き上げられ結果を出す。何よりも満塁ホームランというのがいいですよ。千太郎の活躍でも野球漫画描けるんじゃない・・・?






夏之介打たれる・・・

ただ、千太郎が打った後、急に不安に襲われた夏之介が満塁ホームランを打たれます。こいつはこういう男なんです。ぶっちゃけて言えば、夏之介のこういう部分が嫌いです。大嫌いです。だって、野球漫画の主人公ってもっと熱いじゃないですか。いや、少なくともそういう主人公ばかり見てきたからなんですけど、夏之介は勝手に不安になって、勝手に打たれてしまう。しかも、ウジウジと自分の小市民っぷりを自虐的に言う。これが野球漫画の、しかも投手としての主人公がやる行為でしょうか。





でも、そんな小物なところも実は憎めない。球漫画の主人公としてはちょっと・・・と思いつつも、こんな人間も嫌いではないなぁと思ってしまう俺も小市民なんでしょうかね。ただ、どうしても言いたいのは、自信満々にボールを放っていた高校時代のナッツにはとても見えない。あの高校時代のナッツならプロでも快刀乱麻のピッチングをしてても・・・と思いたくなる気持ちも分かってもらいたいです。






一方、グラウンド内でのモヤモヤを払拭するかのように、グラウンドの外では・・・








ユキちゃんと初遭遇!!
いや、遭遇はとっくにしていたんですが、読者が待ちに待ちに待っていた、行きつけ定食屋でのプロ野球選手認定”イベントが発生!!もっとナッツに頑張ってほしいと思っていた中で、ついにこのイベントが起きようとは・・・。これはかなり嬉しかったですねぇ。不調気味とはいえ、仮にも先発投手ですから!
というわけで、前々からお近づきになりたかったユキちゃんが、“客が凡田夏之介だった”ことを認識。これは・・・ラブロマンス来ちゃうかも???猛虎魂に溢れるユキちゃんと夏之介・・・。はたして上手くいくんだろうか。楽しみ半分、野球選手として頑張れや夏之介!という気持ち半分。

ああ、でもユキちゃんには夏之介を好きになってもらいたい。結婚したら一流の仲間入りできるような選手に成長するかも・・・。








先発として成功するのだろうか??

しかしまぁ、先述の田辺監督がちょっとねぇ・・・。漫画としては“中継ぎ主人公”という肩書きも魅力。野球漫画の主人公としては“先発投手”というのも見もの。しかも困ったことに、夏之介がようやく先発に慣れてきたところなんですが・・・。0勝先発投手がどんな扱われ方をするのか。次巻以降も非常に気になります。



もうちょっと言えば、今の状態での夏之介の年俸がどうなるかも楽しみです。