ブレない男・ガーソ「砂の栄冠・10巻」



祝!?このマンガが黒い1位!!

ついに「砂の栄冠」が2桁巻数を突破しました。野球漫画の多くで巻数が増えるのは仕方がないんですけど、この作品はわりと試合のペースが早い方ではないかと思います。というか、10巻でよくもまぁここまで詰め込んで描けてるなぁという印象です。樫野高校の立場を描いた上で、主人公の七嶋が金を手に入れ、それをうまく運用しつつチームを強化。さらには甲子園にまで出場。決して試合内容が薄いわけでもないのに10巻でここまで描いている。これはスゴイことやと思うよ。
しかしまぁ、“このマンガが黒い”の意味が分かりませんね。他にどんなノミネート作品があったのか気になります。なお、講談社の「野球+お金」漫画の2大巨頭である「グラゼニ」と一緒にお金をくれるキャンペーンをしています。ゼニの栄冠フェアという名前だそうな。景品ではなく現金をプレゼントするあたり異色ですね。プレゼントした現金分のお金が作中から消えてたら面白いのに。ええい、とらえず凡田の給料を減らしとけ(←


さて、「砂の栄冠」といえば主人公・七嶋の頑張りが光る作品です。加えて、トクさんからもらった1000万円というお金の存在も作中において目を引きます。しかし、しかしですよ・・・。これら二つの要素は変化する存在(七嶋の成長&お金は減少)であるのに対し、最初から全く変わっていないとある存在を忘れてはいけません。



砂の栄冠で一番忘れてはいけない存在。




そう!!






私(バカ)を忘れてもらっては困る

ガーソを忘れてはいけません。というか、忘れられません。バカ、バカ、本物のバカが登場です。トラストミーでルーピーな首相も真っ青なレベルで無能の監督。それはガーソ。彼が砂の栄冠であり、砂の栄冠とはガーソのことなんです。言い換えれば、彼を見ているだけで砂の栄冠がまるわかりなんです。・・・と、いうわけで、ガーソを見ながら記念すべき10巻目を振り返りたいと思います。
なおこの場面ですが、相手監督が選手交代しているのを見たガーソが「自分もやってみたい」と選手交代した場面です。ドヤ顔がムカつきますね。もう少し補足すると、外野交代で入れさせられた選手は内野の選手です。適正も思い出せないまま、送り出しています。何度も言いますが、“相手監督がやってたから”という理由だけでチームを混乱させます。それがガーソ!!


七嶋「さっさと死んでください」

七嶋という男は確かに真っ黒です。超腹黒です。ただ、根は真面目な男なんです。そんな七嶋が「死んでください」とハッキリと思う相手がガーソ。悲しいことに、読者全員が七嶋の意見に同意なんです。それが非常に困ったw カスです。
この時のガーソですが、扇の要でもあるキャッチャーのゴンを気まぐれで交代しています。交代したのは1年生の小泉。確か浦秀戦(あれ、東横だっけ?)でも似たような場面を見た気がします。あの時はゴンの内角攻めにキレた・・・という理由があったから(まだ)分かります。しかし、先ほど言ったように、今回の交代は相手のベンチワークに憧れただけです。甲子園のベスト8を決める試合でやるような采配には思えませんねぇ。もちろん、交代した後は知らんぷりを決め込んでます。とことんクズです。




というか、途中で先頭バッター七嶋の場面で代打を出そうとしてたぞ・・・。おいおい、七嶋いなかったらこのチーム終了なんだぜ???まぁ、七嶋が交代されることに気付いて取りやめにしてますが(七嶋が重要だと知っているのは数少ない長所の一つ)。いやでも、何で誰が出ているかを知らないんだろう。




ご臨終です

場面変わって、最終回を抑えたら勝ちという場面。動いたり寝てたりしていたせか・・・くたばっています。ずっとこのままでいいんですけど。この頃にはチームの皆もガーソが無能であることを理解しており、誰も彼を信用しなくなってしまいました。自立心を成長させたという点はガーソ采配の唯一の功績でしょうか。
この後の七嶋がなかなか渋いので結構見どころかと思います。黒い内容だったり、ガーソがクソだたり、顔面ギャグを披露している作品ですけど、野球描写もなかなか素敵。もちろん最後は・・・なんですけど、それまでの過程は魅力大です。なんてったって、七嶋は超一流の投手ですから!!





ダメ監督事情とは

あと、10巻での巻末コラムが結構面白かったんです。内容は“ダメ監督”。今や砂の栄冠のアイドル、マスコットと化したガーソではありますが、実はガーソみたいな監督は多いそうです。まぁ、甲子園という舞台で舞い上がってしまうことも多いようで。
どんな監督がガーソなのかを分かりやすく説明しています。見て損はないです、多分。名監督が「監督の采配で勝つことなんてほとんどない」「優秀な選手が数人いれば勝てる」と言っているあたりが真理でしょうね。ちょっと甲子園での監督を見る目が変わりそうです。








蝕始まる・・・?

この試合の前あたりから魔物だとか神様だとかを言い始めた七嶋。このあたりも最近の特徴的な部分ですね。どこかにベヘリットが落ちているんじゃないかというのを錯覚してしまう程の魔物の群れが描かれます。気を抜いたら魔物が襲ってくる(=負けフラグ)。最後の最後まで全力プレーをすることを仲間に説きます。そうすれば野球の神様に愛される・・・って、なんだか宗教じみてきたなぁw
プロからも注目される七嶋選手。もしかすると・・・教祖の方が向いているんじゃないかな。




監督インタビューでのガーソの名演説も面白かったです。言葉全てが七嶋が試合中に言った言葉でした。ん〜、もうガーソじゃなくて七嶋が全部の指揮を執ればいいのに。こう言っては何ですが、七嶋卒業後の樫野高校がとても心配です。いや、冗談抜きに。
ガーソはガーソだった。これは最初から分かっていたことですが、ガーソ以外のチームの面々が意識改革されてきました。あとは一部の有識者以外がガーソを名監督だと思っていることでしょうか。あんなのカスですよ、カス。目を覚ましてほしいですね。ただ、こういったしがらみが高校野球の一幕なのかと思わされます。
次回の表紙帯は、ガーソが上司にしたくない男1位に選ばれたとかでいいです。まぁ、彼を反面教師にしていきたいと思います。ガーソはクソですが、漫画は面白いので。ガーソの顔芸を見るだけでも価値はあるでしょうか。オススメ。