この感動を言葉にする方法を僕は知らない「四月は君の嘘・第18話」(※単行本派は注意)
「四月は君の嘘」
この漫画は・・・・・・
想像を絶するほどに
神漫画だ。
月刊少年マガジンが今一番面白い雑誌じゃないかと思うのは贔屓しすぎでしょうか。その理由の1つ、いや、その絶対的な理由は、「四月は君の嘘」が載っているからです。この作品に関しては、どれだけハードルを上げても足りない。絶対的に足りない。毎月毎月、まだこちらの予想の上をいくのかと感嘆させられます。そして・・・泣かされます。
“君”のために弾こう
ピアノを捨てまた拾うことになった主人公・有馬公生。公生にピアノを拾わせるキッカケとなったヒロイン・宮園かをり。この二人の物語。この二人のボーイミーツガール。それが「四月は君の嘘」です。
前々話でピアノをやめた理由が描かれました。かなり衝撃的な事実でしたが、ピアノに対してトラウマを抱えるのも仕方がないかと思います。『天才・有馬公生』と呼ばれた少年時代、彼にピアノのイロハを教えたのが公生の母親でした。彼女は体が弱く、ただただ、公生にピアノを教えるだけのマシーンと化していました。しかし、少年公生は“お母さんのため”にピアノを弾きます。
そんな体罰も含めた先に待っていたのは・・・拒絶でした。
お前なんか死んじゃえばいいんだ
その後すぐ・・・公生の母親は亡くなりました。ごめんなさいも言えないまま亡くなりました。そして、公生は自分の弾く音を失います(音が聞こえなくなります)。
そんな公生が再度ピアノを弾き始め、自分の音を取り戻そうとした時に出た言葉が「君のために弾こう」でした。これには感涙してしまいます。辛い過去を引きずる公生と一緒に音を奏でてくれたのはかをりちゃんでした。自身のヴァイオリンコンクールを台無しにされても公生にピアノを弾かせたのはかをりちゃんでした。今回のピアノコンクールのために、ナマクラ公生を叩き直したのはかをりちゃんでした。そんなかをりちゃんのために弾こう。それがピアノを取り戻した公生の答え・・・。
“君”だけでいいや
自分にもう一度ピアノを与えてくれた“君”にだけ届けばいい。それは感謝。感謝の演奏です。ありがとう。ありがとう。ありがとう。そんな感謝の言葉が“自分の音”を奏でながら伝わります。今、公生は“かをりちゃんのため”にピアノを弾きます。
この作品のすごいところは、サブキャラ全てが公生に向いていること。そして、それぞれの話も神がかっていること(これがまた面白いんだぁ)。また、公生によるかをりちゃんのためのピアノを甦らせた一因にもなっています。オススメは女性ピアニスト井川絵見物語(http://d.hatena.ne.jp/toldo13/20120507/p2)ですかね。珠玉の一話だと思います。是非、単行本で確認してください!!
“君”がいる
四月は君の嘘という作品でとても気になって見ているのは“君”という言葉です。公生の友人たちはお互いに名前で呼び合っています。しかし、公生とかをりちゃんだけはお互いを“君”で呼んでいます。公生はかをりちゃんを“君”と呼び、かをりちゃんは公生を“君”と呼びます。
公生「僕の中に君がいる」
かをり「やっと帰ってきた 君がいるよ 有馬公生君」
その二人の共通の回答が「君がいる」こと。このシーン、激烈に痺れました。ついに二人が邂逅します。ああ、やっぱりかをりちゃんは公生の本当の演奏を知っていたんだな。公生は自分のピアノに気持ちを込めることができたんだな。ピアノの演奏中、演奏描写の中で、とてもとても嬉しくなりました。言葉にならないような嬉しさです。
“君”がいる
in かをりちゃんのヴァイオリンコンクール
その根幹には、やはり自分のコンクールを潰してまでも公生を甦らせたかをりちゃんの姿があります。コンクールの最中、かをりちゃんへのピアノ伴奏を途中でやめてしまった公生。なんとかをりちゃんまで演奏を止めてしまいました。再度伴奏を促すかをりちゃんですが、その時点で失格です。まるで「公生の演奏が無ければ意味が無い」とでも言うかのように・・・。
・・・そこでも“君”がいました。
かをりちゃんが公生のために弾いたヴァイオリンの中に君がいます。そして場所は変わり、公生がかをりちゃんのために弾いたピアノの中に君がいます。
届くといいな
公生の演奏はかをりちゃんに届いたでしょうか。
届いています。
かをりちゃんのためだけに弾いたピアノは本当に届いたのでしょうか。
届いたに決まっています。
だってそれが「四月は君の嘘」という作品だから・・・・。
この作品はすごい。本当にすごい。演奏シーン自体がすごい。その中に登場キャラの気持ちが散りばめられていてすごい。どれだけ賛辞を送れば十分なのでしょう。もう分かりません。何度泣いたか分かりません。かをりちゃんの伴奏をした公生の話は鳥肌ものでした。天才有馬を倒すために努力し続けたライバルたちの話は筆舌に尽くし難いほどに震えました。そして、ついにやってきた公生の演奏は、言葉で表現するのは無理でした。想いの1/100も語れてません。
1話目が載った時、「人気作品の特急券を既に購入済み!!」と言いました(http://d.hatena.ne.jp/toldo13/20110406/p3)。今更ながら、言っといて良かったwと思う次第です。今月号の話がピークだとは思いません。まだ何かが待っている。そんな期待をさせてくれる第18話目でした。
気になったのは最後に出てきたオバサンですかね〜。公生を凡才と呼ぶあたり意味深です。公生が母親に死んでしまえと発言した時に公生母の付き添いをしていた女性かな?と予想。どちらにせよ、凡才・有馬公生のスタートです。またどんな演奏が描かれるか。どんな人間模様が見れるのか。心臓のドキドキが止まりません。
1つ懸念があるとすれば、ここで美辞麗句を並べすぎて4巻レビューに書くことが無くなったということだけね。これ以上の言葉を持ってくるだけの語彙力は持ち合わせていません。困った>□<;