マイナーをメジャーにする方法論「シャトルプリンセス・後編」




7月23日に「モーニング食 vol2」が出ます。去年の冬に1号目が出たかと思います。今回はB6サイズになっての発売だそうです。前回も言われていましたが、モーニング食というよりはイブニング食という感じはまだ拭えませんね。あと・・・こういっちゃ何ですが、どちらかといえば朝食よりも夕食の話題の方が多いですからねぇ。どちらにしろ楽しみではあります。モーニング食巡りとかやってみたいですねぇ。



そうそう。今週のモーニングでは「ひらけ駒」がとても良かったですね。



聖母ですか・・・?

ついに研修会入りを決意し、今週号ではプロへの最初の門を叩こうか・・・というところまで来た宝。まさに宝の一歩。小さな男の子ながら、自分が熱中できるものを見つけ、本気になっています。いい。こんな息子いい・・・っ。
しかし、息子だけではなく、母親がさらにいい。一人息子の夢が叶うように人知れずお参りしていました。将棋だけじゃなく、将棋を通して宝がまっすぐに育つように祈る母。読んでいてうおおおおおってなりました。こんなお母さんの息子に生まれたかった。え、どの母親も息子のことを思ってる?いやまぁ、そうなんですけど・・・美人じゃん(←




さて、先週に引き続き咲香里先生の読み切り「シャトルプリンセス」が載っています。先週のお話はこちら⇒http://d.hatena.ne.jp/toldo13/20120705/p2



咲先生のバド読み切り

シャトルプリンセスなのかシャトルPrincessなのかはまぁ置いといて、今回は女性二人が主人公のお話です。叩き上げの実業団選手・西条先輩。そして、その実業団へ練習しに来た天才バドプレーヤー・有沢由利の二人がダブルスを組む物語。女の子だけが主人公という男性視点のない咲作品では珍しい?お話であり、どこか百合百合っとしたお話。バドミントンを知っていても知らなくても楽しめるストーリーになっていると思います。




強くて可愛い!

咲香里といえばバド漫画。バド漫画といえば咲香里。それを決定付けたのは週マガでやっていたスマッシュ!でしょう。その前の作品でもあるやまとの羽根から読むと、より楽しめます。これらの作品は中高生の物語です。バドは基本が重要。強くなるための部分を描いた作品になっています。そして、バドを楽しむということの大切さを描いています。で、今回のシャトプリは“実業団”の物語。楽しむことだけではなく、勝ち続けることが求められる世界。同じバドの物語でありながら、大切なものが少し、ほんの少し変わっています・・・。


バドヒロインの誕生・・・?

実業団に入り世界と戦うことになるとどうなるか。答えは簡単でメディアが付いてくるわけです。中高生をメディアが追いかけるのは次世代の選手を持ち上げるため。大人を取り上げるのは、勝てる人間を持ち上げるため。いわば、彼女たちを日本のヒロインとして担ごうとしているわけです。まぁ・・・よく見る光景ですよね。
ビーチバレーの浅尾選手なんて良い例ですね。なでしこJAPANですらそう見えます。バドで言えばオグシオになります。強ければ良い。かっこよければ、可愛ければなお良い。それがメディアの共通した認識です。スポーツなんて何でもいいんです。彼らは話題になるものが見つかればそれでいいんです。もちろん踊らされるコチラ側も多少の問題はありますが・・・。




応援なんてミーハーファンだけじゃん!

常に周囲から期待されてきた有沢はいざ知らず、それまで騒がれたことのなかった西条先輩はご立腹のご様子。それもそのはず。勝ったことや、どんなプレーをしたかではなく・・・容姿ばかり取り上げられたから。強いこと前提でテレビに取り上げられているのはあるんですが、前面に出てくるのは容姿なんですねぇ。オグシオの時も見ましたっけ。
ただ、ミーハーファンであっても、それはバドのファンなわけです。彼女たちを応援してくれているわけです。客寄せパンダであっても、ファンはファンです。そして協会からすればいいお客さんなのです。


協会のオッサン「バドをメジャーにしたいんだ、うえっへっへへ」

これも1つの現実なんですよね・・・。
今回の作品で咲先生はあえてこの“マイナーをメジャーにする”という方法論を描いているように思います。スマッシュ!でも一時期テーマとしていた内容ですから。咲先生の本心がどこにあるのか興味あるところですが・・・。取り上げられる方法はこれしかないけど、メディアを使う方法って正解なのか・・・と。





勝ちたいから

戸惑う西条先輩でしたが、有沢はこのメディア戦略を知った上でダブルスを組んでいたそうです。理由は西条先輩と組めば勝てるからというもの。何と言うか、一枚上手でしたね。思惑はどうあれ、とにかく自分が勝ちたい選択をしたら現状となった。とにかく勝ちたい。誰が何と言おうと勝ちたい。それだけ。・・・有沢は大物ですな。



咲先生が描きたかったことを、2話で描ききっている・・・とまでは言わないものの、導入として非常に素晴らしい作品でした。そういう意味では今回の読み切りは大大大成功でしたね。続くような噂もあるので期待しています。




ここからは勝手な予想?と雑談です。
咲先生はバド普及のためにこれでもかというくらいに力を入れています。人生の仕事を見つけたように描きます。しかし、咲先生の力では子供に普及させるような力ブームを起こせないんです。悪い言い方になりますが、そんなもんなんです。俺に関して言わせてもらうと、作品を通して得ているのはバド漫画というジャンルを楽しめているのであり、バド自体を楽しんでいるわけではありません。
ただ、そういった内容を咲先生が全く気付いてないわけないと思ってます。非常に賢い方なので・・・気付いているのではないかと思います。その辺り、とても悩んでそうですけどね・・・。そういう部分を込めて、今回のテーマに臨んでいるのでは??と勝手に思ってます。スマッシュ!で描ききれなかったものを、咲先生としてやれるだけやる。その気概がとても好きですし、面白さという点で表れているのかと思います。

こんなことを書いて実は全く違ってたらどうしようかと思ってたりしますが、それはそれでまあ・・・。咲先生は咲先生のまま突き進んでほしいと思います。単行本化まで待ちますかね〜。