夢中になれるモノ「ひらけ駒!」

どこかのアニメソングで「夢中になれるモノがいつか君をすげぇ奴にするんだ」という歌詞がありましたね。すごいシンプルなことを言っているんですが、心に残る一言です。もちろん大人になってからでも遅くはないです。ただ、子供の頃から夢中になれるモノがあるという方が人生楽しいかもしれませんよ。俺は・・・まぁ、特にないんですけど(←



泣いてねーし

モーニングで絶賛連載中の「ひらけ駒!」は、将棋に打ち込む少年・菊地宝の物語。人生を賭ける?ようなしのぎを削る将棋界のお話ではありません。プロ、奨励会を描いた数々の将棋漫画とはちょっと違います。その手前、将棋クラブ、道場でのお話です。
人生が懸かるような話ではありません。ただ、それでも好きになったことに対して負ければ悔しい。宝君は将棋で負けました。これは泣けるほど夢中になっているということ。もちろん勝った対局ではものすごく喜んでいるんですけどね。子供らしい無邪気さ溢れる作品だなぁと思わされます。あと、対局中は真剣そのものなんですよ。


絶対勝つ!

好きだからこそ勝ちたい。でも、負けたら悔しい。
この絶対勝つ!というのは5巻目での描写なんですけど、最初の頃はのほほんとした少年だったんですよ。徐々に徐々に強くなるにつれて、勝ちたい気持ちが増えていっているように見てとれます。
このまま例えば奨励会に入るような話になるのか、もしくはプロ棋士になるのか。将来的な話は気になります。宝君の先生も言っていますが、宝君は「将棋が好きなんです」。好きでい続けられれば。強くなり続けられれば。もしかしたらもしかするかもしれませんよ。


テレビゲームやインターネットといった色んな誘惑がある中で将棋に夢中になるという宝君。そんな彼の周りいる少年少女物語もなかなか面白く描かれています。共通しているのは将棋に夢中であるということ。そして、もう1つ特筆すべきは宝君のお母さんの母性です。



宝君に何が・・・

小学生ながらのちょっとした冒険。”1人で牛丼屋”を実行しようとした宝君でしたが、券を買って、外に出てしまいます。そして、お母さんに電話しています。このエピソードがすごく好きすぎる!将棋をする宝君のかっこいい姿もいいですが、こういった年頃の子供っぽいエピソードがとてもいい。何でもかんでも完璧にできる、できた子供なんてそうはいませんよ。こういった失敗が次の成功につながっていきます。あぁ、宝君に俺の母性がくすぐられるううううううう。
俺の田舎には牛丼屋はおろかマクドのような場所がなくてですね・・・。ちょっと羨ましいエピソードでもありました。

菊地家はどうやら母子家庭らしい??父親については全然出てこないんですよね。そのあたりがすごく気になります。自分なんかは父親に将棋を教えてもらったんですけど・・・。とはいえ、ものすっごくいい親子になっている菊地家を見ると、父親がいるいないなんてのはあまり関係ないのかもしれません。


ガッチガチの将棋戦を楽しむような漫画というよりは、一人の少年の将棋を通した成長と、周辺ののほほんとした日常を楽しむ作品だと思います。とにかく将棋を楽しむ姿がいい。あと、こんな素直な子供がほしい。素敵なお母さんがほしい。通常の将棋漫画と一線を画す良作です。オススメ。