終わらない物語、終われない物語「よいこの黙示録」

イブニングでよいこの黙示録を連載していた青山景先生が亡くなった昨年の10月。ネットでテレビで・・・、その日は色んなところで話題になりましたね。当時は無駄話のアクセス数もとんでもないことになりましたが、あれほど悲しいアクセス数も無かったですねぇ。
最後の呟きが話題になった青山先生のTwitterも今は削除されたまま放置されています。よく分からないのですが、こういう場合ってアカウント残したままなんでしょうかね。正直、消した方がいいんじゃないかな・・・と思ってる方ですが。



よいこの黙示録2巻

そのTwitterでも青山先生は「冬には2巻が出る」と言っていました。そこから少し時間はかかってしまいましたが、2巻がついに発売されました。これが最後。本当に最後。講談社側も色々と思うところがあったと思います。続きが無い作品であること、青山景という人間を知らない限り買わないであろう「よいこの黙示録」をよく出したな・・・とちょっと驚いています。

よいこの黙示録は、”子供たちによる宗教”を描いた作品でした。不思議な能力があるんだと教祖に担がれた森ユリカ。そのユリカを使って裏から宗教をやろうとした伊勢崎大介。”宗教”という渦に巻き込まれるクラス。そして担任の湯島朝子。彼ら彼女らが何をするのか、何が起きようとしているのか。それを見ているだけしかない朝子のエロさ。そんなドキドキ感が漂う作品でした。



宗教から始まるクラス作り?

ユリカの力に感服して宗教に混じる人間と、信じられずに離れていく人間とがクラスに存在し、それはまるで本当の宗教が作られていく過程を見ているようでした。正直、面白かったです。小学生という時期にこういった話をやるのか・・・と。
惜しむらくは最後の話となった”うんこちんこーず”が一体どうなるのかが分からないこと。おい、うんこちんこーずはどうなるんだ。うんこちんこーず・・・。青山先生に問いたい。うんこちんこーずをどうするつもりだったの??


まぁ、そんなうんこちんこーずのことはほどほどに、2巻になってから益々面白くなっていったんですけどね。伊勢崎の思い通りに動いていた1巻から、ユリカの教祖としての振る舞いに圧倒される面々。ユリカが決めた暴力についての取り扱いなんてゾクッとしました。案外まともな宗教であり、だからこそ危ういという二面性・・・。




この作品の続きが気になりませんか?




・・・残念ながら続きは読めません。青山先生が亡くなってしまったので。
こんな中途半端なところで止めやがって!という気持ち、読者として何もできなかったのだという気持ち、2巻を読んで改めて去年の10月の複雑な気持ちを思い出しました。皆さんはどうでしたでしょうか。
さて、もう少し愚痴(?)を読んでもらうことになって申し訳ないのですが、結局2巻は全ページを漫画で埋めることはできませんでした。読んでいただければ分かりますが、設定資料集、ネーム、今後の展開について等のお話が載っています。特に今後のお話、伊勢崎の部分はちょっと興味深かったです。そして最後の最後に載っていたラスト1ページ。



ラストの1ページ


手と手
顔と顔
声と声
言葉と言葉
世界はつながってつづいているのだ

これは昨年の大震災時に青山先生が描いた応援イラストとその言葉です。ドジな朝子が転んでいて、それに手を伸ばす青山作品キャラ。何でこんなイラストを描ける先生が・・・。
辛いというよりは悔しいのかなぁと思います。最後の呟きで「思い残すことはない」と言っていましたが、読者がそれで納得できるわけありません。少なくとも俺は無理です。無理でした。正直、まだ読みたかったです。気分的にとっても複雑です。とはいえ「思い残すことはない」とまで言っていた青山先生はきっと走りきったんでしょうね。この2巻が大きな区切りだということで・・・青山先生、お疲れ様でした!素敵な作品をありがとうございました!




まぁ、色々と思うところはありますが、漫画家さんを応援できるサイトで常にありたいなと改めて思う作品でした。