君は僕のために頑張れる「まじもじるるも魔界編」

渡辺航先生は講談社作家さんです!!某熱血自転車漫画のおかげで、秋○書店さんのイメージが非常に強いですよね。もちろん好きですよ、弱虫ペダなんとか。しかし、渡辺先生は講談社、それもシリウスで連載しているんですよ。作品はまじもじるるも。自転車漫画に負けず劣らず・・・泣ける作品なんですよ。


まじもじるるもな物語



消えた主人公・・・

・・・と、その前に、現在連載しているのはまじもじるるも魔界編」になります。以前は「まじもじるるも」をやっていました。その時の主人公が柴木耕太という変態。スケベな耕太の無駄に熱いパンツや胸への愛情を見るだけでも楽しめる物語でした。
そんな無印では、女の子の大敵でもある耕太の前に”魔女見習い”のるるも(美少女)が登場します。彼女は魔法のチケットの束を渡し、1枚につき1回の魔法を使えることを耕太に教えました。そのチケットが全て使われると、るるもは”魔女”として正式に認定される・・・と。



そして、チケットが全て使用されると耕太は―





死ぬ




柴木耕太という男は、エロくてスケベな女子の大敵。それと違った面で見ると、実に義理堅い男だったように思います。るるもの「魔女になりたい」という願いをどうしても叶えてあげたい。自分が大切に想った女の子(=るるも)の夢だからこそどうしても叶えたいと思ったわけです。もちろん、自らの死を知りつつ・・・。
ここで問題なのが、るるも自身が耕太を殺すことになることを知らなかったという点にあります。るるも自身も実は不幸を集めたような少女であり、優しくしてくれた耕太に対して大きな大きな恩義を感じていました。もし、耕太が死ぬことを知ったら???彼女はきっと夢を諦めるでしょう。




○柴木耕太という男



耕太母「かなしくないわけない」

そして、「まじもじるるも魔界編」は耕太の葬式から始まります。そうです。結局、耕太はチケットを使い切ってしまいました。車に轢かれそうな少女を助けるためにチケットを使ったのが最後です。
親も兄弟も、親友も。いつも耕太を怒ってばかりだった風紀委員の幼馴染も。全員、全員が泣いていました。無印版を読むと、アホな言動ばかりでしたが、それ以上に皆を惹きつけていたのがよく分かります。特に耕太の母親が涙する場面は号泣もの。「バカな子だからこそ かなしいのよ」・・・当たり前の言葉なようで、非常に重い一言でした。



かっこいいですね・・・よかった

話の流れで後輩の女の子に耕太が死ぬ原因を話しています。見知らぬ少女のために自分の命を使った。そんな耕太をかっこいいと言ってくれる子がいた。もしかしたら、その後輩の子からるるもが責められてもおかしくない状況。そんな中で「るるもと同じ気持ち」を言葉にしてくれたことは、耕太もるるもも多少なりとも救ったのではないかと思っています(ここはあくまでも俺の感想)。




○るるもが頑張る物語へ
まじもじるるもという作品は、大きなすれ違いが生んだバッドエンドな物語だったのかもしれません。耕太がるるものために悩んだ物語。るるもがちょっとずつ優しくなれた物語。ただ、チケットを使わない幸せが続かなかっただけの物語。
皆が大粒の涙を流した柴木耕太という男を殺したのは、マジ=モジルカ・ルルモという魔女だった。これは紛れもない事実です。結果としてそうなっています。ただ、全てを打ち明ければ、きっとるるもを恨む人間はいないでしょう。「るるものために頑張った柴木耕太」だったんだなと、ちょっと嬉しくなるかもしれません。いや、読者の1人としても、ちょっと嬉しい事実です。しかしながら、るるもにとって大切な人間であった幸太へはどうすればいいか・・・。




るるもが耕太のためにできること

「ありがとう」
この一言をせめて耕太の魂に伝えることを決意します。まぁ、ここからがまた大変なんですけどねぇ。絶望と絶望をかけあわせたような結末と、ちょっとした不思議な希望がこの後描かれます。そのあたりは是非是非読んでみてほしいなぁと思います。無印から揃えるのはちょっと大変かもしれませんけどね。オススメです。




帯文では、作者自ら「頑張る女の子の物語」として描いたと言っています。確かに弱虫〜が男の子の物語であることを考えると納得のお言葉でした。
とりあえず、るるもには幸せになってもらいたいです。これは切に願うものです。誰から与えられるものでもなく、自ら幸せを掴んでほしい。耕太のため、そしてるるも自身のため、頑張れるるも!!負けるなるるも!!できれば俺の娘になってくれ!!