何でもあるから四季賞なんだよね「四季賞2011秋」



四季賞ポータブル2011秋

うーん・・・。いや、珍しく何て言えばいいのか分からない四季賞でした。前提として”面白い”ことはあるんですけど、何て言えばいいんでしょう。実に言葉が難しいです。
アフタヌーンが主催する四季賞はぶっちゃけ何でもありですよね。そういうこともあってか「アフタヌーンっぽい」という言葉が妙に当てはまる作品をよく見かけます。それって実は作品的には変化球なんじゃないかと時々思うんですよ。いや、そもそもアフタにとっての王道って何ぞやという部分に陥るんですが。・・・実はアフタヌーンって俺からすると”よく分からん雑誌”なんですよ。
とにかく、何が言いたいのかといえば、今回の四季賞は全てフォークボールを投げられて三振した気分でいます。ああ、三振と言うと×みたいに聞こえますが、逆です逆。面白くてアウトを取られましたが、変化球にしてやられたなぁということです。




○四季大賞
四季大賞は武内香菜先生の「やまもとでんき」が受賞。




平々凡々な家庭かと思っていたら、両親が実の親ではなかった。しかも、両親が人殺しの家業を営んでいた。偶然見てしまった父親の殺害現場から始まる非日常の世界。そして死んでいく両親。まさかまさかの展開に驚きを隠せません。いや、主人公が一番驚いているだろうけども。まさに疾風怒濤。日常と呼べるのは最初の数ページ。その後は銃撃戦があったり、両親の死があったり。あと、冷静にお婆ちゃんが銃の使い方を教えている場面にはちょっと笑ってしまいましたが、基本的にシリアスです。
自分たちが殺しをしていることがバレても、血の繋がらない子供を殺せなかった。血の繋がりも仕事も関係なく、親子は親子だった。そういう作品でした。笑顔で銃を扱う世界なんて想像もできませんが、そんなことにも絆ってものは関係ないのかな・・・・・・・とか言おうと思ったけど、本当に想像できませんね。自分の両親が殺しの家業を営んでたらどうしよう・・・。とりあえず警察に言おうかな(←
余談ですが、web投稿作での初めての四季大賞らしいです。絵も上手いし、話も上手。拳銃がすごく上手いなぁと思いました。まさに四季大賞でした。




四季賞
四季賞は栗本竜磨先生の「ライツカメラアクション」が受賞。




ヒーローに憧れる主人公ですが、実際にはそのスタントマンが精一杯。しかもドジばかりで監督に怒られてばかり。そんな毎日でも、撮影中の唯一の救いはヒロインに癒されていたり。まぁ、そのヒロインが急にヌード写真を出して大変なことになるんですけどね。人それぞれ大変なんだと気付き、最初のウジウジした性格から少し成長する。そんな青年の小さな小さな成長物語です。
とりあえずですが俺はこの主人公が嫌いです。こればっかりは賛否両論かと思います。できないことにタメ息ばかり、うじうじしながら「何で自分ばかり」と嘆く28歳。多分、俺が28歳であることも関係しているかもしれませんが、こういった性格の人が苦手です。明るくなれ、前向きになれとは言いませんが、自分がどうするべきかを思考停止しているのだけが許せないんですよ。読み始めて真っ先に思った感想がこれです。ただ、それなりには成長できることを描いたという点で、作品としてはいいなぁと思いました。あくまで主人公が〜って話だけです。
あと、グッドなチクビさんをありがとうございました。




○特別賞
特別賞は岩見樹代子先生の「絶交」が受賞。




いじめられっ子が持っていた「完全拷問マニュアル」を見つけた委員長が、そのいじめられっ子に拷問を仕掛けるという話。口に画鋲を含んでビンタ。リコーダーをとある穴にズブズブと入れて、そのリコーダーを吹かせたり。最後は剃刀で。そんな関係も訳の分からぬ形で終了し、いじめられっ子だけ転校・・・。拷問マニュアルは自分自身を拷問するために持っていたということですが、俺みたいな者には理解不能です。いやはや困った困った。皆に期待されてプレッシャーな毎日の委員長。拷問願望を持ついじめられっ子。なんぞこれ。
内容はわりとグロい・・・んですけど、絵がキレイでぐうの音も出ません。これを四季賞に提出したのかと驚きつつも、こういった内容で賞が獲れるあたりらしいなぁと思いました。とにかくエロくていいよ!!でも、ちょっとノーマルな作品を見たいものです。
こういう作品を描く方のコメントが好きなんですが、「おまえは真面目だけど真剣じゃない」という言葉が出てきてグッと来ました。






そういえば今回がvol.24の四季賞でした。6年分のポータブルが本棚に収納されてるわけですか。さすがに多くなってきたなぁ、あはは。