嘘つきは出会いの始まり「四月は君の嘘」



くじけそうになる私を支えてください

たった1コマ。ちょっとした一言。そんなことで読者は作品を好きになるものです。
月刊少年マガジンで連載している四月は君の嘘がとてつもなく素晴らしい。今年1巻しか出ないのが非常にもったいないなと思う作品です(2巻は来年1月の予定)。作者は新川直司先生。作画担当として月マガで「冷たい校舎の時は止まる」を、初の全オリジナルとしてイーノで「さよならフットボール」を連載していました。
まぁ、そんな紹介はほどほどにしてですね、今回は”ボーイミーツガール”な作品です。主人公の元ピアニスト・有馬公生がヴァイオリニストの宮園かをりと出会い、中学生という多感且つ最も勢いのある時期を突っ走る(まだ始まったばかりだけど・・・)内容になっています。
冒頭の絵は自身のコンクールの伴奏を公生に泣きながら頼むかをりちゃん・・・という場面。1巻の終わりの部分ですが、この消えそうになる自分の勇気を支えてほしいと「懇願」するかをりちゃんに胸打たれました。普段は明るくて、いるだけで周りが輝くような少女。そんな普段からは想像できない場面に心打たれてしまいました。


何度でも言います。


たった1コマ。ちょっとした一言。そんなことで読者は作品を好きになるものです。






かをりちゃんはヴァイオリニスト

全国規模のコンクールで観客を魅了したかをりちゃん。決して楽譜通りに演奏する人間ではないタイプながらも、観客を魅了できる演奏をします。
一方の公生はというと、小学校まで神童のように扱われていた存在ながら、ある時から演奏ができなくなってしまった・・・という残念主人公。演奏中に自分の音が聞こえなくなる、ほとんど心理的な病気に罹ってしまっています。どうやらピアノを教えてくれた母親が影響しているようで・・・。母親が亡くなったのが3年前、そして公生が演奏できなくなったのが2年前。何かありそうです。



ここで少しタイトルにもなっている”嘘”について言及しておきます。実際のところ、誰が何の嘘をついているのかハッキリと言っていません。”四月”の何が嘘なのか分かりません。四月は君の嘘―。分かっているのは春に二人が出会ったということ。



かをりちゃんの嘘

公生に伴奏を頼むちょっと前の話になりますが、かをりちゃんは公生を知っていたと語ります。もちろん超がつくほどの有名人でした。それを知ってて当たり前・・・なんですけど、かをりちゃんは公生を「友人A」と呼びながら、知っていることを隠していました。いやはや、きっと何かあるなぁ・・・。



実はもう少し男女関係に関して色々とあるんですが、その部分は是非是非読んでいただいてもらいたいなぁということで。ちょっと面白いなぁと思ったんですけど、音楽に携わっているキャラクターは「ヴァイオリン」と呼び、全く関係ないキャラクターは「バイオリン」って呼んでるんですよね。細かいなぁww






1巻冒頭:モノトーンに見える世界







1巻ラスト:カラフルに色付いている


ピアノという人生の目的、そして自分自身でもあったものが無くなり、モノトーンの世界にいた公生。それがたった1巻の中で、宮園かをりという少女を通してカラフルな世界へと変化していく様は必見です。皆さんにとっての1コマ、そしてキャラが見つかることを祈ります。超オススメ。










・・・あ、一つ言い忘れてました。







単行本派の皆さん、2巻の内容はもっとすごいです。