恋の花咲く路地物語「路地恋花」

good!アフタヌーン、通称グフタが絶好調です。ずっと月刊化してくれないかなぁと祈る毎日ですが、編集部的にも漫画家さん的にも隔月のほうが絶妙なのかもしれません。読者的にはアレですが・・・。
まぁ、それ以外にも思うところはたくさんあるんですけどね。パラレジ休みすぎじゃないか〜とか、純潔もあと少しボリュームがあればなぁ〜とか、ビリオネアが読みてーとか。ただ、それでも鉄風は面白いですし、夏の前日に欲情したり、こはるにドン引きしたり。トライアルライドが読めるのも嬉しいです。


中でもグフタの純粋な恋愛漫画部門を一手に引き受ける路地恋花はかなりgood!です。



3巻発売してます!

いつの間にやら3巻まで出ています。路地恋花はちょっと変わった表紙・・・紙質をしています。いや、紙なんかに全然詳しくないから分からないんですけど表紙の下から絵が少し見えます。これ何て言うんでしょうね。
で、さらにマジマジと見ていると、3巻が秋っぽいなぁと思うわけです。じゃあ1巻や2巻は?と思ってみて見ると、やはり春夏秋冬をなぞっているようで・・・。まさか冬の4巻で終了だったりして。それはそれで辛いなぁ。



久しぶりに綴での物語

いくつか好きなストーリーの話題に触れたいと思いますが、1話目に出てきた綴というお店での物語の続編がありました。
そもそもこの作品は、とある路地を舞台にした職人物語且つ恋愛物語です。自らの腕を磨きつつ細々と生計を立てる職人(卵)が、路地内やお客さんとの恋愛に花を咲かせています。そして、その第1話が綴というお店でのお話であり、本の特殊製本を生業にしている女性が主人公だったりします。そんな部分から、最初の方で書いた”変わった表紙”に繋がっているのかなぁと思っています。

綴の女主人・小春と元バンド十和田さんの関係にちょっとニヤニヤするお話。帯文の「恋も仕事も、かけた想いの分、輝くんだ。」にもあるとおり両方に頑張ってる小春が描かれています。ちょっと自分のやっていることに自信がなくて、十和田さんを逃げ道にするんですよ。昔バンドマンだった十和田さん。つまり、昔は輝いていた十和田さんに、今でも輝けるはずの小春がちょっと「自分には才能がないので」と逃げ腰になって怒らせる・・・。まぁ、結局は小春も頑張るんですけどね。
誰かが誰かに期待するって往々にしてあると思うんですが、それに応えられないからってどうってことはないと思いますよ。まぁ、十和田さんに関して言えば小春にかなり期待している、こいつはできると思っているようですが・・・。ようは小春も”職人さん”なんですよ。


他にも美容師さんのお話(涙涙の失恋もの)、靴屋さんのお話(お客さんに恋する話)なんてのもあります。個人的には靴屋さんのお話も好きです。



椿靴工房の椿さん

初めてのお客さん、母親を亡くした父娘のために靴を作ってあげるんですが、女性らしく(?)その二人にかなり気持ちを入れ込んで靴を作ってあげています。亡くなった母親の形見を、自身も愛した父娘に作ってあげます。ただ、「この自分の気持ちは違うな」と気付き、勝手に愛して失恋してます。でも、何かそれがいい。これが女性の職人っぽいなと俺も勝手に思ってみたり。初めてのお客さんだったというのが大きいかもしれませんね。


あと、この作品の特徴としてですが、次のお話に繋がる人物が必ずといっていいほど出てきます。



ふきこ路地

3巻冒頭の美容師さんのお話の中に小春がポツンと出てきます。で、小春の話の中にも椿靴工房の椿さんが出てきます。そこからの椿靴工房では分かりづらかったんですが、大家さんへの物語へと繋がっていってます。まぁ・・・・・・・・・大家さんはかなり謎の存在だったんですけど、3巻終盤にしてようやくという感じで登場しています。いや、本当は大家さんの話で最終回だと思ってたんですけどね(←
小春たちの時代での大家さんと、大昔の大家さんのお話が収録されています。現代版はちょっと可愛らしいお婆さんって感じですが、昔はそれはもう可愛い方だったようです。昔は家を守ることが全て〜という時代だったため、父親の言うことが正解だという生活を送っていました。そこから出会った学生さんに恋し、アメリカへと旅立ってしまいました。そこまでの流れがかなり泣けます。とりあえずお母さんは偉大です!!!
路地の名前はふきこ路地。どうしてその名前は付けられたかは是非読んでいただきたいなぁと思います。ちなみにですが、大家さんの旦那さんが住んでいた長屋と同じ路地です(ここだけちょっと一瞬で気付きにくい)。



実際の路地を舞台にしているそうですが、物語のテイストはかなり麻生先生らしいものになっているんですよね。現代にも残る職人気質が恋愛と絡んで面白いことになっています。そして、方言で話す女性の何たる可愛いことか・・・。言葉を聞くだけで恋しそう。男性にも女性にもオススメの作品です。