目指せ次世代の看板漫画家「四季賞2011春」

やばい、やばいやばい。今月のアフタヌーンに載っていた田中雄一先生の「まちあわせ」がやばい。



帰ってきた奇才・田中雄一

2009年の四季賞を「害虫駆除局」で受賞し、本誌で「プリマーテス」という読み切りを描いて度肝を抜きました。何かグロい。でも読んでしまう。そんな作品を描いています。
で、今月号のアフタヌーンの作品も116ページの読み切りでした。いや、読み切り向きな漫画家さんかなとは思いますが、これからもずっと連載なしの読み切りでやるんでしょうかね・・・。
ちなみにお話の方は不思議生物の関わる恋愛ものです。一度読んでみてほしいなぁと思います。もちろんグロ耐性ある人は・・・ですが。好きな人から引き離され、不思議生物の精子を注入されるという部分に嫌悪感を覚えました。オチもまぁ・・・。でも、面白いと思うんですよ!!怖いもの見たさ(?)に是非どうぞ。



そんな田中先生も昔は四季賞を通ってきたんだ・・・。というわけで、2011年春の四季賞感想です。



2011春




○四季大賞
四季大賞はLea先生の「アオムシス」が受賞しました。




助けたアオムシに連れられて〜、やってきたのは夢の国??
飼っている鳥にベランダで見つけたアオムシを食べさせようとしたら「助けてください。列車なんです。」と語りかけられます。そのまま食べさせるのをやめますが、いつの間にかその列車に乗せられていた主人公。時間も食事も何もかも心配することのない世界が構築された列車になっており、まるで成長をどこか拒むような・・・?
姉のドラマ録画のお願いで現実に引き戻され逃げようと画策しますが、アオムシさんに襲われてしまいます。何とか逃げ切りますが、結局その世界は何だったのか、どうやって救われたのか、ちょっと独特で不思議な作品でしたねぇ。
選者のうえやまとち先生は「こんな漫画が読みたかった!」と選評で言っています。正直、この言葉に違和感を覚えます。そこまでだったか・・・?と珍しく批判してみたり。終わり方がどこに着地しているのかが不明です。多分、そんな部分も評価しているんでしょうが・・・。アオムシと主人公のそれぞれが自分の世界に戻る・・・のはいいんですけど、もっと締まる形ならうえやま先生の言葉以上の作品になったかなぁと。
ただ、Lea先生の世界観の作り方や絵の表現は非凡なものを感じました。あくまで読者目線でしかありませんが。せっかくなので連載を持ってほしいなぁと思います。





四季賞
四季賞はイシダナオキ先生の「おから」が受賞しています。




豆腐づくりと油揚げづくりが超絶うまいおっさんの技を盗め!!とばかりに若者が特攻(?)します。その若者は自身も老舗豆腐屋の跡取りという立場におり、周りから愚図だノロマだと言われ続けた中で、技を盗みにいきます。
ただし、若者の実力はなかなかのものだったり。自身の店は経営のために味をおろそかにしようとしており、本当の豆腐を探しにきた・・・というわけです。そんな勤勉且つ本物の腕を持っているということを知ったおっさんが弟子として認めます。最初は海原ナントカ先生じゃないかというほどのあしらわれ方をしますが、自分を超えろてみせろと言いきります。
余談ですが、豆腐大好きです!!暑い日に冷え冷えの豆腐にちょっとの醤油でがばっといきたいですよね!!結構、おいしい豆腐とまずい豆腐の差が激しかったりしますけどね(笑)。
で、この作品についてはすごく人間的な物語でありながら、豆腐という分野の知識をしっかり書いていたり。作者さんが好きなだけ??それにしても詳しい(と思われる)ですよね。元は豆腐屋だったりして???好きなものを描くというのも大切ですよね。まぁ、まさかの豆腐でしたが・・・。
あと、主人公が一切喋りません。そのため感動も悲しみも全て顔で表現しています。見ただけで美味しいのかどうか判断できるって・・・大切ですよね。次の作品がどうなるか楽しみです。





○特別賞
特別賞は田沢ユタカ先生の「面を打て」が受賞でした。




とある剣道教室での物語で、自分の才能をあきらめきった主人公がライバルや恩師(♀)との出会いの中で自分の剣道を見つけていきます。勉強があれば剣道なんて・・・と思っていた主人公が一念発起し、ライバルに勝つまで頑張ってやる!と大会に臨むまでの流れが素敵です。強さは才能だけで決まるものじゃなく、あきらめ悪く努力した人間が強くなり、そしてそんな人間こそがかっこいいんだ・・・と。
ぶっちゃけ物語自体が軽いです。才能だ努力だを1話だけで語りつくすのってほぼ無理だと思うんですよ。ただ、その軽さのおかげか、まっすぐスパッと突き進んでいった感があります。これも漫画だなぁとちょっとニンマリしてみたり。読みやすさ、読後感は他の2作以上だということは付け加えておきます。
あと、猫山先生はきっと処女。





ちょっと四季大賞でゴネましたが、すごくアフタっぽい(←最上級の褒め言葉)なと思いました。そういった部分も大切ですよね〜。また、この中からアフタの看板として活躍してくれるような漫画家さんが出てくることを祈ります。