必要なのは小さなきっかけと、ほんの少しの勇気「正義の禄号」

月刊少年マガジンを読むと勇気をもらえる。いつもそんな気分にさせてもらえます。”あと一歩だけ足りない”そんな時に読むと、ほんの少しだけでも踏み出せるような気がします。
全ての作品に共通していることではありますが、ここではあえて「正義の禄号」推したいと思います。



主人公は引きこもり

主人公の正太は引きこもり。夜にコンビニへ出かける以外は外に出ず、ましてや高校へも通っていません。あるのはPCの中の世界と、部屋から見える小さな世界だけ。そんな毎日にあっても、「たいくつだ」と言っているあたり生粋かもしれません。
そんな時、優秀な兄が持ってきたロボット?の禄号によって世界が激変していきます。


正義のロボット・禄号

見た目はかなり小さいんですが、中身はかなりの高性能。相棒をヒーローに変身させる能力を持っており、ここでは引きこもりであるはずの正太が選ばれています。
また、禄号は正太にしか扱えません。制約も多く、本人のやる気で変身の可否が決まったりしますが、このやる気システムが正太のヒーローとしての自覚を目覚めさせます。




変身後の正太

ちょっとした正義を貫けた。悪人から人を守れた。そんな経験を積んで行きながら成長していきます。中には銃を持った悪人もいたり、禄号と同じシステムを持った敵も現れたりします。長年引きこもっていた正太からすれば、立ち向かいたくない相手ばかり。すべてが夢なのでは?と現実逃避することもありました。身体中がボロボロになってしまうこともありました。それでも立ち向かおうとしたのは、禄号が与えてくれた小さな小さな勇気のおかげ。そしてその小さな禄号は正太にとっても大切な友達になっていきます。


最初は「何だコイツ??」と言っていた時期もありますが、徐々に仲良くなっていき、いつの間にか本当の相棒として認め合っていくまでに・・・。兄に禄号を”コレ”呼ばわりされてマジ切れしたお話には目頭が熱くなったものです。


何があって引きこもったのかは分かりませんけれども、引きこもってからできた初めての友達を大切にしたいという気持ちは清清しくて素敵ですよね。また、外に出るようになってから出会った新庄軍司(通称:ショーグン)は人としてのお初友達になりました。



謎の敵と戦うショーグン

「人を助けるのに理由なんているか」という言葉はまさに熱血の王道です。不良だけど実は優しいというショーグンとの出会いがさらに正太を成長させていきます。誰でもないショーグンと出会えたということが偶然ながらも良い方向に流れていけば・・・と思います。



ところで、タイトルやこのチンチクリンが「禄号」という名前なのが気になります。禄という言葉はお給料みたいな意味があるわけですが、むしろここではお金というよりは”勇気”を与えてくれているのかなと思っています。禄号が正太に禄という名の勇気を与えている。そんな気がします。また、禄を六と考えた時に、まだ似たようなのが5体はいると考えたほうがいいかもしれません。事実、1巻では禄号のシステムを持った謎の敵と戦っていたり・・・。

禄号と出会い、禄号との友情やショーグンとの友情を通して引きこもりだった自分から一歩一歩成長していく。正義の禄号はそんな漫画です。ネットや部屋の中で収まる生活もまた一興。しかし、外にある世界が不安ながらも可能性を秘めていることもまた事実。勇気は不器用な気持ちに勝る。そんなことを気づかせてくれる作品です。オススメ。