どこかの政府に分けてあげたいくらいに枯渇しない才能たち「四季賞2010冬」

アフタヌーンといえば四季賞!そして、四季賞といえばgood!アフタヌーン!!そんなグフタから、3月は2作品ほど単行本がでます。




サヤビトの表紙がピンクで、こはるは年中ピンク色。そんな意味(?)では一足早い桜吹雪となりそうな気がしますね。それにしても・・・こはるの笑顔は何かすげーなwww







というわけで、2010冬の四季賞です。今回はやばかった。いつもレベルは高いですが、今回は色々と期待させてくれる作品ばかりでした。







○四季大賞
四季大賞は、みやあやた先生の「二人の記録」が受賞しました。




これは是非一度読んでもらいたい!!絵と珍生物と軍人が好きだというみやあやた先生ですが、まさかそれを全部混ぜるとは・・・。
魔法使いの世界から、ナチスドイツの迫害を受ける人々のところにやってきた少女。使える能力は人を優しくすることができるというもので、目の前の人をどうにか殺させないように奔走します。
多分、ナチスドイツとユダヤの人々のお話だけで読める作品にだと思います。むしろ、四季賞ならそこそこの賞を獲れたんじゃないでしょうか。そこに何故か魔法少女を投入して、しかもその魔法少女が全然、全く、違和感が無くお話の中に溶け込んでいるわけで。本当に読んでいて「何これ!?」と驚きました。そりゃ四季大賞になるわ・・・。
特に面白いなぁと思ったのは、「優しくなれる度合い」でした。魔法の世界では全てを許せる程の効果であったものが、現実の世界では”ほんのちょっとの優しさ”にしかなりません。もちろん殺すのをやめるというレベルではあるのですが、予想していたような性格が変わってしまうほどではなく・・・。現実なんてそんなものなのかなぁと思ってしまいました。もしかして、ちょっと自分が優しくなれる時ってこんな魔法少女が暗躍しているのでは?と思ってみたり。
なお、この魔法少女は魔女にはならない・・・はず。




四季賞
四季賞は、星すばる先生の「異国息子」が受賞。




はぁーんっ(*´Д`*)。ルリが可愛い、可愛いすぎるよルリルリ。
大量の人を殺す兵器を作った博士が最後に残した良心のフミ。機械の身体でできているフミは心を持ち、博士が育てていたルリを代わりに育てていきます。
審査員のかわぐちかいじ先生や担当編集の方も言っていますが、とても絵が素晴らしいです。女性(少女)向けでもいけるんじゃないの?と思ったりもしましたが、それはそれで新鮮でした。とにかくルリが可愛いとだけ言わせてください。少女が丁寧語で喋るとか大好きです。怖い夢を見て泣くとか大好物です。
絵の上手い下手が作品を決定付ける理由にはならないと思っていますが、こういったきれいな絵は確実に武器になると思います。今回受賞した四季賞作家さんの中では一番連載を持ったらいいなぁと思える漫画家さんでした。




○特別賞
かわぐちかいじ先生の特別賞は、山下竜一先生の「オアシス論&日陰の氷」が受賞されました。




アラフィフの職場でこっそり描いているらしいです・・・が、山下先生は一体いくつなんだろうか?とにかく、漫画をこっそり描くというレベルではないなぁと思いました。2本描いていて、その2本とも全然違うスタイルのストーリーでした。
オアシス論は中二が中二してるお話でした。弁当男子ってのが何か好きです。好きな女の子と喋ったり、ちょっと悪めの先輩と仲良くなったり。そんな青春ものでした。一方の日陰の氷は、法医のお話でした。お金があればいいと行政解剖のアルバイト引き受けた女性主人公。死と向き合う職業の手伝いをしながら、実は妊娠していて中絶費用を稼ぐために・・・という。自分の子供を堕胎する(殺す)ために、解剖の仕事をするってすごいな。
オアシスの青臭い雰囲気が好きです。日陰のテーマが好きです。それぞれを描けるというなら分かりますが、全然違うものをやりましたというのが凄いです。まぁ、かわぐち先生が言っていた通り、絵が煩雑な感じがするのはご愛嬌ということで。むしろ別に仕事しながらこっそりということで、せっかくなのでこのまま漫画家専業で???ちょっと期待しています。むしろ、いい人生経験をしているからこその・・・という部分が大きいかもしれませんけどね。




今回の四季賞もレベルが高かった!!!次から次へとよくもまぁこれだけの才能が集まってくるなぁと感心しながらいつも読んでいます。四季賞に選ばれた中から、さらに選ばれた人しか連載ができていないというのも、漫画業界はすごい世界だなぁと。四季賞最高!!